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episode 16
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僕は、袋から桜の苗を取り出す。
「なに?それは」
「桜の鉢です」
「えっ…」
「これなら、病室でも見ていただけるかと」
突然、流川さんの頬を涙が伝う。
僕は予想していなかった、突然の事に大慌てする。
「ご、ごめんなさい!何かしたくて、何もないなって思っていて……そんな時に、これしか思いつかなくて」
「ふふっごめんねは無しだよ」
涙を拭きながら、笑っていた。
この笑顔は心から出ている笑顔だと、そう思う。
「でもずるいな、だって春まで生きれないんだよ?」
「で、ですのでこれを」
僕は、続けて鞄の中から一枚の紙を取り出す。
それは、桜の形に折られたメッセージカード。
「これを、これから毎日持ってきます」
「……なに…これ…」
「中に一言だけですけどメッセージを書いてあります」
「…開けても?」
「もちろん」
中を開けて、さらに涙が溢れ出る。
”僕を救ってくれた言葉をありがとう”
「なんなの…救った言葉って……私そんなこと言ったかな?」
「はい、この短い時間ですが、確かにいただきました」
流川さんは笑いながら、泣いていた。
僕は、傍にいた。
何もせずに、ただただ傍に。
あの日の流川さんが、そうしてくれたように。
「なに?それは」
「桜の鉢です」
「えっ…」
「これなら、病室でも見ていただけるかと」
突然、流川さんの頬を涙が伝う。
僕は予想していなかった、突然の事に大慌てする。
「ご、ごめんなさい!何かしたくて、何もないなって思っていて……そんな時に、これしか思いつかなくて」
「ふふっごめんねは無しだよ」
涙を拭きながら、笑っていた。
この笑顔は心から出ている笑顔だと、そう思う。
「でもずるいな、だって春まで生きれないんだよ?」
「で、ですのでこれを」
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