ほしくずのつもるばしょ

瀬戸森羅

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おはなし

双子の星

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 時を同じくして生まれた星があった。
 恒星から少し離れたところに生まれたコール。
 恒星から少し近いところに生まれたツィア。
 2つの星は双子の星として恒星セルシウス系に生まれた。
 コールは寒い星だった。
 星の表面ではあらゆるものが凍りついていた。
 ツィアは暑い星だった。
 星の表面では常に燃えるような暑さだった。
 コールにもツィアにも民がいた。
 表面では暮らせないため、宙を知るのはどちらの民も上層の大気管理を司る上級層の民しかいなかった。
 双子の星では、同じ頃に宙の存在が下級層の民たちに公になった。
 寒さを知る民は暑さを、暑さを知る民は寒さを求めていた。
 やがて100年の時を経て、双子の星はお互いの存在と環境を知る。
 これこそ我らが求めた星だ。
 2つの星の民は、星中の民を集めて同じ時に星を旅立った。
 誰もいなくなった星に新しい民が来た。
 暑さを知らず対策できなかったコールの民は、ツィアに降り立つ前にその船が燃え尽きた。
 寒さを知らず対策できなかったツィアの民は、コールに降り立つ前にその船が凍りついた。
 どちらの民も助からなかった。
 双子の星には民がいなくなった。
 恒星セルシウスは自分の存在が憎かった。
 双子の星には今も民はいない。
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