ほしくずのつもるばしょ

瀬戸森羅

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おはなし

あの夏の日

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 ジワジワとセミの鳴く中、駄菓子屋へと続くあぜ道を走った。
 その手には汗にまみれた幾らかの小銭を握りしめて。
 あの夏の日、ぼくらはいつまでもそんな日々が終わらないものだと思い込んでいた。
 いつか大人になるんだなんて思いは漫然としていて、憧れもあったけれど何よりその毎日が楽しかった。
 夕焼けが河川敷を鮮やかに照らす度に、明日のことだけを考えていた。
 何もかも懐かしい。
 ただただ前を向いていた日々。
 ぼくらはいつから大人になったのだろう。
 気がつけばあの駄菓子屋は駐車場になっていて、あぜ道は無機質なアスファルトになっていた。
 あの夏の日の面影は、完全に失われてしまった。
 しかしその胸にはいつもあの頃の情景が浮かぶ。
 振り返ることばかりが得意になってしまった。
 前ばかり向いていたあの日は遠く、昨日よりさらに向こう側を目指した。
 あの夏の日は。
 あの夏の日は。
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