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守ってくれる人

告白

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 放課後がやってきた。もう逃げることはできない。
 私は言わなければならない。私の秘密を。
「ダイヤ。…来たよ」
「…入ってくれ」
  みんなが訓練をしている間にダイヤに指定された教室に来た。
「さぁ…きかせてもらおうか」
「うん…」
 私はダイヤの正面の机にすわった。
「まず…ひとつ目。私は、この世界の住人じゃなかった」
「……そうだと思った。お前は学園以前にこの世界の常識に対してうとすぎると思った」
「そしてもうひとつ。ひとつ目とつながるんだけど、私はもとの世界でこの世界のことを知っていた。というか…大好きな世界だった」
「そのことに関してもそうだとは思ったが…どうやってこの世界のことを知った?」
「この世界でいうエトンみたいな物が私の世界にもあって、そこに存在したフィクションの世界がこの世界だったんだよ」
「そうか…」
「だから私はこの世界にこの先起こることも知っている」
「それは…すごいことだな」
「でもだからこそ…私が相手側に捕らえられたら大変なことになると言われたの。その情報を共有することは危険なことだと」
「…よく話してくれた。お前のその覚悟に、私は全力で応える。リリィ。絶対にお前を護るよ」
 そう言うとダイヤは私の傍に来て私を抱きしめた。
「ダイヤ…ずるいよ…」
「ごめんな。…でももうお前を疑うことはない。ともに戦おう。この世界で」
「うん…うん…!」
 私はダイヤの腕の中で泣いた。
 しばらくして私が落ち着いた頃をみてダイヤが話しかけてきた。
「どうだ?落ち着いたか?」
「うん…」
「今日は、訓練やめとくか?」
「ううん…やる…。私、強くならなきゃだから…」
「…そうか。絶対…強くなろうな」
「うん…!」
 私たちは教室を出て運動場へ向かった。

「あ、2人とも来た!」
「何話してたの?」
「えっと…訓練のこと」
「リリィ…みんなにはまだ言わないか?」
 ダイヤが小声で話しかけてきた。
「うん…いや…やっぱり言う…。みんなを信じる」
「わかった」
 そう言うとダイヤはみんなの方に向き直った。
「みんな。今日訓練が終わったら少し話をする。寮に帰ったら私の部屋に来てくれ」
「ありがとう、ダイヤ」
「何の話?」
「それはまた後でな。よし、ストレッチだリリィ!」
「うん!」

 そして訓練後…ダイヤの部屋に集まった。
「話って何?」
「リリィのことについてだ」
「リリィねぇね…何かしたの?」
「ううん…そうじゃなくて…」
「どうしたら強くなれるかとか?」
「おすすめの特訓法とかですか?」
「いやいや、おいしいパンケーキの情報でしょ~?」
「おい、リリィが話しづらいだろ。静かにしろ」
 ダイヤの一喝で場が静かになった。
「…えっと…実はみんなに隠していたことがあるの」
「え…」
「別に、騙してたとか!…そういうことじゃ…ないんだけど…。私…ほんとは…天使じゃなかったの」
「いやいやぁ~その羽根はニセモノだって言うの?それは無理があるよ」
「この身体自体が…私のものじゃないの」
「おいおい…じゃあまさかリリィは誰かの身体を乗っ取って…?」
「そういうことでもないの!私…別の世界から来たんだ」
「別の世界?このジュダストロ以外の世界ってことか?」
「身体は…どうしたんですか?」
「私の魂が生成したらしいんだけど…そこはシンバが1番詳しいはず」
「シンバに導かれたのか」
「そう」
「…ってことはメロウ様の直属の…」
「うわ!リリィやっぱすごいんじゃん!」
「しかもそれだけじゃなくて…私、この世界のことももとから知ってたの」
「それはなんとなくわかるかも。だってリリィねぇね、みんなのことすごくよく知ってるんだもん。会って間もないのにさ」
「それも今までのこと以上…今より先の未来のことも」
「じゃあリリィはこの先のこと全部知ってるんだな!」
「いや…全部ではないけど…。というか話の内容も変わってきてるの。私や私以外の異世界人がこの世界に来たからだと思うんだけど…」
「なるほど…リリィの情報は役立ちそうだが万全ではない…と」
「じゃあリリィさんは何の目的で連れてこられたんですか?」
「天使不足だから戦いに参加して欲しいって…」
「あんまりじゃない?だって勝手に連れてきて死んじゃったら…」
「この身体が死んでも魂と元の身体は残るからあっちの世界に戻れるらしいの。ただ、あっちでもらえる報酬はなくなるらしいけど」
「じゃあリリィは報酬のためにここにいるのか?」
「いや…そうじゃないよ。いくら報酬があるからといっても多分他の人たちも戦いたくなんてないとは思う。私は…みんなに会いたかった。元の世界で、私に勇気をくれたみんなに」
「リリィ…」
「みんな、こんな私でも仲間でいさせてくれる?」
「当たり前だろ!なんでお前が異世界から来たってだけでのけもんにするんだよ!」
「でもこのことは他の人には絶対秘密だよ。このことが知られたら、私は敵に攫われるかもしれない…」
「そんなことさせない!」
「みんなで守るから!」
「絶対言わないよ!」
「安心してください!私たちはみんなリリィさんの味方ですよ!」
「みんな…ありがとう!」
「よし!じゃあ今日はここでこのままお泊まり会しよう!」
「さんせ~い!」
「いや待て、ここは私の部屋だ!」
 途端にダイヤが慌て始めた。
「だからいいんじゃ~ん!お宝見つかるかな~?」
「ちょ…おい!やめろ!」
「お~これは!何やら怪しい本が!」
「やめろって!」
「クローバー!こっちは抑えとくぞ!」
「ありがとうスパーダ!えぇと…なになに?」
「ふんっ!」
 スパーダの拘束を瞬間的に断ち切ったダイヤがまだ表紙も見えていなかった本を奪還した。
「あ~!本がぁあ!」
 ダイヤの部屋で夜は更けていった。

 みんなが寝静まった頃、ダイヤが話しかけてきた。
「…リリィ。起きてるか?」
「う…ん…。ダイヤ?」
「今日はすまなかったな。お前をふるいにかけようとして」
「仕方ないことだよ…。それにね、ダイヤ。ダイヤがどうしてそこまでするのか、私はちゃんと知ってるんだから。どちらかと言うとずるいのは、私の方かもしれないね」
「…!そうか…お前の世界ではこの世界の出来事は物語になっているんだったな…」
「うん…。だから、知ってるんだよ。ダイヤのことも…その…真実も…」
「真実…!それはっ!……いや…やっぱりいい。このことに関しては、私は私自身で受け止めなければならない」
「うん…それがいいと思う」
「知っての通りだが…私は親友を見捨てて勘当された。恥知らずの、騎士の風上にも置けない軟弱者だと。私は…だからこそもう逃げない…全てを護るのだと誓った。リリィ。お前がこのことに関して知っていることがあっても、教えてくれるな。私はこのことだけが私の戦う意思であり自らに課した呪いでもあるんだ」
「わかったよ。私もダイヤを頼りにしてる。一緒に頑張ろう」
「あぁ!約束だ!」
 この誇り高い騎士に待ち受ける真実を、私は知っている。でもだからこそ、私はその時にできる事があるとも思っている。その時のためにも、これからの鍛錬に気を緩めて臨んではいけない。絶対にこの6人で、ジュダストロを平和にしてみせる!
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