異世界転生補佐官になったけど担当女神が幼すぎる

瀬戸森羅

文字の大きさ
52 / 257
普通な俺は転生しても普通を目指す

戦う覚悟

しおりを挟む
 大穴とはいえそれはぽっかりと大きく穴を空けるばかりではない。
 外周のどこから入るかで全く違うルートにたどり着く迷宮のようなものだ。
 それはいずれも洞窟のように入口のあるもので、そこに入って初めてガレフの内部へと進行することができる。
 暗く深く見える穴の中央部分も、上空からそこに入ったとしてこれらの天井の上に落ちるだけだろう。
 例えば今俺の目の前にあるのは、緩やかな傾斜になった地下へと続く洞窟だ。その入口が目に入るだけでも三つある。この先が繋がっているのか、はたまた全く別の洞窟になっているのかはわからない。
『フィーナ。どれに入ればいい?』
 人型に戻ったフィーナに声をかける。
「そんなのわかんないですよ。ガレフはどこに何があるかなんて全く見当もつかないんです。おまけに魔素の影響でことあるごとに内部構造が変わるので同じ場所にたどり着くことはほぼないでしょう」
『そうなのか……』
 進むしかないってことね。
 直感で真ん中の洞窟を選んだ俺はその洞窟の中へと足を踏み入れる。
 その時、周囲の景色が歪んだような感じがした。
『え?』
「早く入っちゃってください!」
『あ、うん』
 促されるままに洞窟の中へフィーナと共に進む。
 すると、今入ってきた入口に魔法陣のようなものが現れる。
『なにこれ!』
「ガレフの洞窟は入れる人数が決まっていて規定人数に達するか最初の人の入場から一定時間が経過すると自動的に入口が封印されるんです」
『え、じゃあ帰れない……ってコト!?』
「変な狼狽え方しないでください……帰れない訳では無いですがもしここから出たらもう入ることはできないんです」
『それはあの、どういうことなの?』
「さぁ……オレは別にその仕組みについて詳しい訳ではないですから……でも玄関のカタチくらいは知ってます」
『まぁそう言われると確かに当たり前にあるものって別に構造までは知らないけどさ……』
「細かい説明はルルーさんにでも任せてオレたちは先に進みましょう!」
『いいのか……?』
 戻れなくなることはないという言葉を信じて先へ進むことにした。


 洞窟に入ったというのに不思議なことに暗くはない。
 それどころか木漏れ日のような明るささえある。
『俺たち……地下に入ったよな?』
「あぁ、ガレフは基本そうなんですよ。魔素の影響で地上の環境が再現されてるんです。だからここではほとんど地上の暮らしと変わらない生活を送ることもできますよ」
『あ、そうなんだ。じゃあなんで外に出てくんの?』
「……ヒトだけはいないからです」
 フィーナは悲しそうに答える。
『それはまぁ……イヤな理由だよな』
「まぁヒトを捕食するためという以外にもヒトの作るものに興味のある者もいます。純粋にヒトと暮らしたい種もいれば……壊したい種もいます。その理由はまた様々です。破壊を楽しむ者もいれば……今まで暮らしていたガレフを荒らされた復讐を果たそうとするものもいます。何にしても未だに魔素を取り込まずにいるのはヒトくらいですしね……」
『なんでヒトだけはそのままなんだろうな』
「わかんないですってば」
『あぁ、ごめん』
「でもオレが思うに、ヒトが受け入れていないからってこともあるかもしれません」
『ほう?』
「身体は強くないけれど、ヒトには意志の強さがあります。多分それが魔素による変態を防いでいるのかも……」
『マゾのヘンタイ……?』
「ちがいますよっ! もうっ!!」
 俺が茶化すとフィーナは真っ赤になって俺の背をはたいてきた。
『まぁでもわかった。魔素ってのはそういう風に何かを変えてしまう性質があるんだな』
「何でもありですよほんと。この洞窟は森になっていますが中には海になってたりするところもありますし……」
『そりゃほんとになんでもありだな……』
「逆に言えば今回は動きやすくてアタリのフィールドだったかもしれませんね!」
『そうだといいがな』
 喋りながら進んでいたが、ここに来て目の前に何かがいることに気づいた。
『ん? フィーナ、止まろう』
「……はい」
 フィーナもその存在に気づいたようで足音を消す。
『……敵か?』
「おそらく……それに数はひとつ。こちらが有利です」
『なぁ、話し合いとかは……』
「ご主人様。ガレフに来たのならばそれが難しいことくらいはご理解ください。ここにいるのはただ生きている者たちばかり。そこに足を踏み入れているのはオレたちです。復讐を恐れずに、荒らして奪う覚悟が無ければ立ち入るべき領域ではありません」
『……じゃあ俺は、今から村を襲う魔法生物と同じってことだ』
「ですがそれは、他のどんな生物もしていることです。自分より弱い生き物を食べて、自分より強い生き物に食われる。オレはただ、ご主人様の想い……言わばヒトの意志のチカラに魅せられてヒトを護るようになっただけですから」
『正当化してもいいのかな……』
「やらなきゃやられますしね。魔法生物は基本的にはルルーさんの言っていた通り、卑怯で狡猾な者が多いですよ。でもそれは野生に生きるものなら当然のこと。同情や加減をしているようでは足もとを救われますよ」
『そうか……そうだな!』
 フィーナの言葉に励まされ、ぴしりと自信に喝を入れる。
『迷わないよ。ありがとうフィーナ』
「いえ。オレもまた、ずっと迷っていましたから……」
 少し照れくさそうに言うと、フィーナは獣の姿に変化する。
「……行きましょう。オレたちのために」
 そう言うとフィーナは真っ直ぐに獲物を見据えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

血染めの世界に花は咲くか

巳水
ファンタジー
 かつて英雄に憧れ、裏切られ、奪われ、復讐にとりつかれた果てに、ひとつの国を血に沈めた。そして「血塗れ夜王」は、敬愛する師匠によってその生を終えた。  しかし、滅びたはずの魂は再び生れ落ちる――すべての記憶を抱えたままに。  新たな名と姿でこの世界に生を受けた彼は、前世の記憶と力、罪業を背負い、少年として新たな人生を歩み始める。  その先あるのは贖いか、それともさらなる血の罪か。二度目の命に意味はあるのか――。 本作品は「小説家になろう」にも投稿しております。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...