ゲームの犯人に転生したらサイコパス化した王子に溺愛された

七天八狂

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17.奴隷のあがき

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 どこへ向かうのかと思いきや、イリスは広間を出て城の中庭へと続く道を進んでいく。
 日が沈んだばかりの空は、仄暗く紫に染まっていて綺麗だ。舞踏会から王子が抜け出すには早すぎるが、さすがに注目を浴びてしまったことを厭ったのだろう。
 護衛騎士たちは、イリスが通り過ぎるたびにはっと肩を震わせつつも頭を下げ、イリスは鷹揚に頷きながら歩みを進めている。庭園を過ぎても止まらず、木ばかりの林のようなところへと入っていく。
 カトリーナから針をもらったのかを問われ、思わずバレバレな態度を取ってしまった。二本目だとわかっているのか、一本目のことだと思ってくれているのか。後者であってくれと願いつつも、ウルヤナからもらったことをバラしてしまっているので、前者のような気がする。
 どちらにせよ、たった今それがポケットの中に入っていることまにでは気づいていないだろう。何ヶ月もそばにいて、最初に抱かれたあの夜以来初めて携帯しているのだから。
 現状の俺は絶体絶命だ。バレようがなんだろうが、今夜決めなければ殺されてしまう。
 怒りを買ってしまった今の俺でもイリスの隙をつくれるのか、その一点だけが不安だが、俺はチャンスを窺いながらイリスの後を追っていた。 
 そして、ようやくイリスが足を止めたのは、護衛騎士の姿が米粒くらいにしか見えないほど奥まったところだった。

「ねえ、クリステル……」

 イリスは俺のほうへ振り返り、木の幹にもたれかかった。

「……はい」
「針をもらったのはいつ?」

 前者だった。アーメン……いや、でも怒っている感じではない。殺気も感じられないから、単に知りたいだけという気がしなくもない。
 
「針なんて、もらってはおりません」
「うん。誤魔化さなくてもいいよ。クリステルが頼んだものじゃないことはわかってる。俺の部屋に持ち込んで来てないようだしね。でも受け取っているのは確かだ」

 なんでわかるのか、まずそれが不思議だ。カトリーナがエデュアルドを襲った話も然り、忍者みたいな部下を城内に放っているのだろうか。
 答えあぐねてうつむいていたところ、イリスからそっと抱き寄せられた。キスをされ、毎晩されているように優しく耳元を撫でられる。

「ん……イリス様……」
「でも今夜は持ち歩いているんでしょ?」

 耳元で囁かれ、手は俺のシャツの中へと入ってくる。
 だからなんでわかるんだよ。困惑する俺をよそにイリスの手は迷いなく乳首にたどり着き、さわさわと撫でられて、全身がぞくぞくとする。
 
「はあっ……持っておりません」
「嘘ついちゃだめだよ」

 すぐに芯を持った乳首は、イリスの手にひっかかり、触れるたびに甘い電流のようなものがかけめぐる。
 
「はあっ、はあっ、嘘ではなく……」
「嘘だよ……誤魔化すんなら、探さなきゃいけないな……あのときみたいに」

 反対の手でかちゃかちゃとベルトを外され、あの夜の情景が頭に浮かぶ。探すために犯すつもりなのか? 今ここで?
 携帯している事実を指摘されて困惑する以上に、身体のほうは正直にも期待で熱くなっている。というか悲しくもパブロフの犬である俺の下半身はすでにに膨らみかけているようだ。性器を取り出され、触れた外気の冷たさに吐息が漏れる。

「はぁっ、だめ……こんなところでいけませ……っ」

 止める間もなく唇に吸い付かれた。かぶりつくように舌を絡められて力が抜けてくる。

「はあっ、あっ……」

 こりこりと硬く尖った乳首を刺激され、性器を上下に擦られて息が荒くなる。

「俺の姿を見られなきゃいいわけでしょ?」
「……んあっ、……あっ」

 こんなところで進めさせてはいけない。騎士たちから距離を置いているとはいえ、広間からは遠いここは静かで、風に揺れる葉の音も聞こえてくるくらいだ。声を我慢したとしても、肌のあたる音も響いてしまうのではないか。触れられ広がる快感と想像から、俺の性器はイリスの手の中でくちゅくちゅと音を立て始めた。

「……興奮してるね……」
「はあっ、あっ……イリス様、ここは外ですから……」
「だからいいんじゃん」
「でも、王城の庭園でこんなこと……あっ、んっ……んっ」
 
 とめどない快楽に甘ったるい声を我慢することができない。でも、と硬直していた手をなんとか口元にあて、噛むことで声を堪えようとした。

「だめだよクリステル。おまえの声が好きなんだから」

 しかし呆気なくも、イリスから手を掴まれ、口元から離されてしまった。
 
「あっ……ふっ……んっ」
 
 だめだ。気持ちいいとしか考えられない。イリスとの行為に慣れすぎて、チャンスを狙うどころか抱かれたくてたまらなくなっている。
 弱すぎ、流されすぎ。カトリーナをクソビッチと笑えない。俺こそビッチだ。
 殺されるかもしれないというのに、優しくされると恐怖が吹き飛んでしまう。愛されているのではないかと、脳が錯覚してしまうのだ。

「はあっ、……あっ、やあっ」

 だとしても踏ん張れ俺。流されずに踏みとどまれ。イリスは犯しながら俺を殺すのを今かと狙っているのだから、いつナイフを取り出されるかわかったものじゃない。

「イリス、様」
「なに?」
「……イリス様のを……舐めさせてください」

 それならばイリスを鎮めて攻め手を塞げばいい。射精すれば満足するはずだ。したことがないなんて躊躇している場合じゃないと決起した。
 するとイリスは手を止め、驚いた顔でまじまじと覗き込んできた。

「俺のを、クリステルが、ここで?」

 改めて問われると恥ずかしい。耳まで熱くしながらこくこくと頷くと、イリスは熱っぽいため息をつき、木の幹にもたれかかってズボンの前をくつろげた。

「……いいよ」

 俺はおずおずと膝をつき、ではとイリスの性器にかぶりついた。

「っ……」

 苦しげなイリスの声を耳に、とりあえず舌で舐めてみる。くわえたものの、半分も入らないばかりか、どうすべきかよくわからない。

「へたくそだね……」

 イリスの指摘どおり、必死に舐めているというのに、勃ち上がっていたはずの性器はしぼみ始めている。
 
「自分でされて気持ちいいって感じるようにするんだよ」

 しているつもりなのだが、なにがいけないのだろう。フェラなんてイリスから以外にされたことはないし、いつも快楽に飲まれてばかりの俺は冷静に観察できるほど余裕があったこともない。
 しかし、諦めたら野外で犯される羽目になる。刺されるのも嫌だしそれだけは勘弁と奮い立ち、舌で舐めながら口をすぼめて上下してみた。

「ああ、うん。そう……手でもこすって、かりのところを唇でひっかけて……あ、いい感じ……」

 言われたとおりにしてみると、イリスの声が吐息まじりになり、少しずつ硬度を取り戻し始めてきた。

「かわいい……へただけど、がんばってるところがいい……はあっ、そのまま俺のこと見て……」

 言われたとおりにイリスを見上げた。興奮した目とかち合い、どきりと身体が熱くなる。

「はあっ、……へた……へたなのに、気持ちいい……」

 性器は徐々に俺の唾液だけじゃないものも混じり始め、とろとろになってきた。それはいいとして、俺の下半身も疼いてくるのが困ったものだった。
 入れてほしい。これで奥まで突いて欲しい。
 セックスを回避するために始めたことなのに、淫靡な匂いと息遣いに興奮してきて、真逆とも言える欲望が襲ってくる。

「はあ、もう達しそう……ねえ、クリステル、出るかも」

 イリスの息遣いが荒くなり、俺の頭を押さえて腰を振ってきた。

「んっ……んっ」

 苦しい。のどの奥まで突かれて、嗚咽が出そうだ。イリスの抽挿は容赦なく、がんがん速度も上げていく。
 
「ごめん、クリステル……ちょっとだけ……あ、気持ちいい、クリステル……あっ、あっ」

 ぴたりとイリスは動きをとめ、直後に口の中に苦いものが注がれた。
 まずい……けど、思ったほどでもない。というか、これが毎晩俺の中に、なんてことが頭によぎってますます興奮してきた。
 びくびくと痙攣したそれの残滓を絞り出してやったあと、口を離して手のひらに精液を吐き出した。

「……はあっ、はあっ、クリステル……かわいい。キスしたい」

 しゃがんでいた俺に、イリスは突然のしかかってきて、草の上に押し倒された。

「……ちょうだい、これ」
「な、あっ、……んっ」

 キスをされ、手のひらに出した精液をすくいとられた。イリスはぬるついた手を俺の尻へと伸ばし、切羽詰まった様子で指を滑らせてくる。

「あっ、……はあっ」

 イリスの精液を潤滑剤にするらしい。ぐちゅりと聞こえて、性急にかき回される。
 
「すごい興奮する……クリステル……我慢できない。もう入れたい」

 俺も我慢できない。すぐに入れて欲しい。
 殺されるかもしれないことや、暗殺するつもりでいたこと、見破られていた不安なども全部頭から吹き飛んでいる。
 性奴隷だなんて自虐していたものの、これじゃあ事実どころか逆かもしれない。凶器を忍ばせていても使うどころか抱いてもらうのを求めているのだから、立つ瀬がない。
 自己嫌悪に陥りながらも、まだ十分に解れきっていないそこに当てられたイリスの性器を求めて、俺は自ら足を絡めた。
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