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第2話 聖女と王子
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ここシャルパン王国は古くから聖女と王族の結婚が習わしとなっていた――
「彼女が聖女カレン・ディクソン様です」
宰相がカレンを紹介すると、カレンは軽く膝を曲げて目の前の国王等に挨拶をした。
カレンの挨拶にニコリと笑みを浮かべた国王は、穏やかな口調で話し始めた。
「聖女カレン殿。我が息子エリックが貴方の伴侶となります事、ご了承頂きたい」
「……はい」
カレンは国王の横に立つ青年を見た。
金色の髪に深緑の瞳のエリック王子は、端正な顔立ちをしている。知性と剣術にも優れた王子は、国民の事を大切に思う慈悲深い性格でとても人気であった。
シャルパン王国で脈々と受け継がれる王族の血筋。その血筋はこの国を護る為になくてはならないものであった。
数百年に一度復活する魔王を倒すため、聖女の加護を受ける事が出来る者だけが魔王を倒す事ができる。
その聖女の加護を受ける事が出来るのは、王族の血筋であり、且つ聖女と婚姻関係にある者にしか与えられないのであった。
即ち、魔王が復活すると聖女とその歳に見合った王族が結婚しなければならないのがこの国の習わしであった。
◇◆◇
数ヶ月前、魔王復活が国中に伝えられた時、同時に聖女の力が現れたカレンは、病の母親の看病をしている最中であった――
突然、光に包まれた娘を見てベッドに横になっていた母親は涙を流した。
「ああ、あなたは……聖女だったね……」
光に包まれる娘の頬に手を伸ばすとカレンの母親は話し始めた。
「あなたは、聖女という国を救う大事な役割の元に生まれたのね。私がこんな身体であなたにも苦労をかけたけれど、あなたをこの世に産んであげられた事を誇りに思うわ。きっと大変なお役目でしょうけれど、貴方にしか出来ない事だから……。そして、どうか、役目を果たした後は貴方の幸せを見つけられる事を願っているわ……」
そう言って微笑んだ母親の手はスルリとカレンの頬から落ちた。
母の最後の言葉を胸にカレンは王宮へとやってきたのだった――
「彼女が聖女カレン・ディクソン様です」
宰相がカレンを紹介すると、カレンは軽く膝を曲げて目の前の国王等に挨拶をした。
カレンの挨拶にニコリと笑みを浮かべた国王は、穏やかな口調で話し始めた。
「聖女カレン殿。我が息子エリックが貴方の伴侶となります事、ご了承頂きたい」
「……はい」
カレンは国王の横に立つ青年を見た。
金色の髪に深緑の瞳のエリック王子は、端正な顔立ちをしている。知性と剣術にも優れた王子は、国民の事を大切に思う慈悲深い性格でとても人気であった。
シャルパン王国で脈々と受け継がれる王族の血筋。その血筋はこの国を護る為になくてはならないものであった。
数百年に一度復活する魔王を倒すため、聖女の加護を受ける事が出来る者だけが魔王を倒す事ができる。
その聖女の加護を受ける事が出来るのは、王族の血筋であり、且つ聖女と婚姻関係にある者にしか与えられないのであった。
即ち、魔王が復活すると聖女とその歳に見合った王族が結婚しなければならないのがこの国の習わしであった。
◇◆◇
数ヶ月前、魔王復活が国中に伝えられた時、同時に聖女の力が現れたカレンは、病の母親の看病をしている最中であった――
突然、光に包まれた娘を見てベッドに横になっていた母親は涙を流した。
「ああ、あなたは……聖女だったね……」
光に包まれる娘の頬に手を伸ばすとカレンの母親は話し始めた。
「あなたは、聖女という国を救う大事な役割の元に生まれたのね。私がこんな身体であなたにも苦労をかけたけれど、あなたをこの世に産んであげられた事を誇りに思うわ。きっと大変なお役目でしょうけれど、貴方にしか出来ない事だから……。そして、どうか、役目を果たした後は貴方の幸せを見つけられる事を願っているわ……」
そう言って微笑んだ母親の手はスルリとカレンの頬から落ちた。
母の最後の言葉を胸にカレンは王宮へとやってきたのだった――
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