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第24話 目覚めた王子

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 すすり泣くカレンはエリックの手を握り縋るように言う。

「エリック、お願いよ。目を覚まして……。お願い……」

 残った力で僅かばかりの加護を授けるすると、ピクリとエリックの手が僅かに動いた。

「――エリック!?」

 カレンは急いでエリックの顔を覗き込むと、エリックの瞳がゆっくりと開く。

「エリック!エリック……」

 カレンは涙で顔をグチャグチャにしながら、エリックの布団に顔を埋めてエリックの名を呼び続けた。

 エリックはゆっくりと手を動かすと、カレンの頭に手を置いた――




 しばらくして、落ち着いたカレンが顔を上げる。

「エリック、本当に良かった……」

「ああ、なんか、ゴチャゴチャあの女と話してる声が聞こえてたぞ」

 エリックは弱々しく笑う。

「カレン、俺と離縁してヴァーンと結婚するように言われたんだろ?」

 カレンは口を結んで答えはしなかった。するとエリックは続ける。

「……離縁しよう。元々魔王を倒したら離縁するって契約だったんだ……」

 エリックの言葉にカレンは衝撃を受けた。確かにあの契約を交わした時はお互い信頼関係もなかったかもしれないけれど、今はお互いの事を信頼して夫婦としてではなくても、仲間として大切な存在だと思ってくれていると思っていたからだ。

「……え?だ、だってヴァーン王子には魔王は倒せないって……、俺じゃなきゃ無理だってエリックが言ったんじゃない!!それなのに、どうしてそんな事言うのよ!?」

 止まった涙が再びカレンの頬を濡らす。

「ヴァーンとだったら、王国の騎士隊もいるだろうし、魔王に致命傷も与えたし、弱点も分かってる。だから、今の弱っている魔王なら、ヴァーンでも倒せると思う。だから……」

 エリックが言葉を続けようとしたが、それはカレンの声が遮った。

「離縁しないわよ」

 そして、ゆらりと立ち上がって、エリックを強い視線で見つめた。

「何、弱気な事言ってるのよ!魔王を倒すのは自分だって豪語してた時のエリック王子はどこにいったの!?契約は魔王を倒した後で離縁をするんでしょ!?だったら、ちゃんと契約内容守りなさいよ!!」

 言いたい事を言って、カレンがハァハァと肩で息をしているとシーンとした部屋に

「アハハハハハ」

 とエリックの笑い声が響いた。そして、吹っ切れた顔をして笑う。

「わかったよ。俺が悪かった。契約した事はちゃんと最後まで守るよ!」

 二人の様子を陰から伺っていたデヴォンとヘイリーは涙目で頷き合った。


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