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第6話 告白されてしまいました
しおりを挟むそして、翌日も騎士の青年はいつものように祈りを捧げにやって来た。祈りが終わるとそのまま姿が見えなくなったので、昨日の事もあり、すぐに帰ったのだと思ったのだが、アメリアは一応警戒して聖堂の陰に隠れて民を癒やしていた。すると
「アメリア様」
と後ろから名を呼ばれてアメリアはビクッと身体を揺らすとゆっくりと後ろを振り返った。
「まだ居たのですね……」
アメリアは露骨にため息を吐いた。すると青年は背筋を正して真っ直ぐにアメリアを見つめた。
「昨日は名乗りもせず、失礼致しました。私は王国騎士、オルランド・マルティーニと申します。私はあの時、助けて頂いたお礼を言いたく、あなたを探しておりました。あの時は私を癒やしてくれて、ありがとうございました」
礼儀正しい青年に、アメリアは露骨に嫌な態度を取ってしまった事を少し後悔した。
「ここは聖女神殿です。あなたの傷が癒えたのもこの神殿のおかげでしょう」
そう言うと、青年は安堵したように微笑んで言った。
「オルランド、とお呼び下さい。アメリア様。……そして、昨日は聖女様ではないかと大変無礼な質問をして申し訳ございません。簡単に答えられるわけがないのに……」
とオルランドは最後の言葉は悔やむように言った。
「あの、私が聖女でないというのは本当なんです」
ただ、今は本物の聖女の代わりに聖女の仕事はしているけれど……
するとオルランドは優しく微笑んで頷いた。まるで真実を言えない事は分かっているとでも言いたげに……。そして
「しかし、アメリア様が聖女様であろうとそうでなかろうと、この気持ちには関係ないのです。アメリア様、私はあなたをお慕いしております」
と言ってオルランドは少し頬を染めてはにかんだ。
「………………え?」
「キャー、告白したわ!」
「アメリア様、何て答えるの!?」
「そんなのイエスに決まってるわ!!」
私は盗み見していた侍女を少しばかり睨むとオルランドの方へ向き直ると、小さく深呼吸して心を落ち着かせてから答えた。
「ごめんなさい。私はあなたの気持ちを受け止める事は出来ないわ」
「分かっています」
そう言うとオルランドは私の前で片膝を付いて腰を落とした。そして、私の左手を優しく取ると深い緑の瞳を見上げて言った。
「それでも私の気持ちは変わりません。いつまでもあなたをお慕いしております」
これには流石の私も顔が熱くなるのを抑えられず、オルランドの瞳から直ぐ様顔を逸らして、握られていた左手を引っ込めた。
「わ、私にはここでやらなければならない仕事があるのです。で、ですから……さ、さようなら!」
アメリアはオルランドから逃げるようにその場から走り去りながら思った。
不覚にもドキドキしてしまったわ!!どうしましょう……!
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