2 / 89
【1部】第一章.異世界生活を始める前の長い長い準備
002
しおりを挟む
彼等は自分たちの事を異世界の神だと言った。
お爺ちゃんがグラームス様、女性の方がミルス様と言うらしい。
「…神様ですか。という事は、私は死んだのでしょうか?」
「いいえ、死んではいないわよ」
「死んではいないという事は、何かしら召喚されたとかそんな感じでしょうか?」
死んでいないのなら、良くある異世界召喚とかいうパターンだろう。
「ほう、そなたは聡いの。その通り、お主はあの周辺に居た人間達と共に、わしらが作り上げたフォンティーという世界にある、グラム国の王に召喚されたのじゃ」
「あの国、ちょっとでも国民が王家に不満を持つと、すぐに異世界から人間を召喚して隣国の魔王討伐しようとするもんだから、私たちもそろそろ止めなくちゃと思っていたの。そんな矢先にあなたを含めた幾人かが召喚されちゃったのよ」
「そこで、慌ててお前さん達をこの世界の狭間に引っ張り込んだのじゃ」
「とりあえず呼ばれた人間達を、別々の所に呼んで一人一人とお話してるの」
なんだか得意げに話す神様たち。
「えっと、お話っていうのは…?」
「あなたにスキルを上げようと思ったの」
ミルス様曰く、今までは空間の亀裂に落ちてしまった人間とは面談をし、本人の希望に沿ったスキルを与えていた。
しかし、召喚された人達とは特に面談などせず、何でも調べることのできる「鑑定」と、時間停止と無限に収納が出来る特別製の「アイテムボックス」、ランダムで与えるスキル一つ、の3スキルを与えていた。
これは、召喚された人は、召喚した国が面倒を見るからある程度放り出しても大丈夫だろうという判断だそうだ。
今回はたまたま召喚が出来ないようにする作業中に召喚が行われた為、とりあえずこの空間に引っ張り込み、グラム国では今後召喚出来なくなるので、召喚された人間にスキルの大盤振る舞いしてやろう。という事らしい。
「今回は10人召喚されてね、貴女で面談は最後なのよ」
「さあ、欲しいスキルを言うのじゃ」
「…あの、お断りしても良いですか」
「「え?」」
「いや、これって小説とかで良くある異世界転移とか異世界転生とか言うやつでしょう?」
「そうじゃよ、とても幸運な事じゃぞ?」
「いや、いきなり連れてこられて幸運とか無いですし、むしろ迷惑です。大体、私冒険とか痛かったり危険な事したくないんですよ」
だから、帰りたい。
「「いや、帰れないから」」
「人の心を読まないでください」
「元の世界には帰れないけど、別に冒険しなくても大丈夫だから!!」
一度召喚されないと帰れないのか、単純に帰れないのかどっちだろうか。
「「後者です」」
「だから、心を読まないでください」
さて、困ったぞ。どうやら異世界で生活をしなければならないらしい。
とはいえ、両親は既に他界しているし、兄弟も恋人も居ないペットも飼っていない天涯孤独の私。
魔王討伐とか命がけの冒険しなくていいのであれば、帰ることに固執する必要もない。
「あなたはフォンティーで生きるしか無いの。だから少しでも充実した生活が出来るように、欲しいスキルを差し上げるわ」
目をキラキラさせるグラームス様とミルス様。
「とりあえず、ちょっと考えさせて貰っても良いですか?」
「構わんよ、この空間以外は時間が停止しておるからの」
さて、好きなスキルを貰えるらしいので、慎重に考えなければ。
樹は考え込むのだった。
お爺ちゃんがグラームス様、女性の方がミルス様と言うらしい。
「…神様ですか。という事は、私は死んだのでしょうか?」
「いいえ、死んではいないわよ」
「死んではいないという事は、何かしら召喚されたとかそんな感じでしょうか?」
死んでいないのなら、良くある異世界召喚とかいうパターンだろう。
「ほう、そなたは聡いの。その通り、お主はあの周辺に居た人間達と共に、わしらが作り上げたフォンティーという世界にある、グラム国の王に召喚されたのじゃ」
「あの国、ちょっとでも国民が王家に不満を持つと、すぐに異世界から人間を召喚して隣国の魔王討伐しようとするもんだから、私たちもそろそろ止めなくちゃと思っていたの。そんな矢先にあなたを含めた幾人かが召喚されちゃったのよ」
「そこで、慌ててお前さん達をこの世界の狭間に引っ張り込んだのじゃ」
「とりあえず呼ばれた人間達を、別々の所に呼んで一人一人とお話してるの」
なんだか得意げに話す神様たち。
「えっと、お話っていうのは…?」
「あなたにスキルを上げようと思ったの」
ミルス様曰く、今までは空間の亀裂に落ちてしまった人間とは面談をし、本人の希望に沿ったスキルを与えていた。
しかし、召喚された人達とは特に面談などせず、何でも調べることのできる「鑑定」と、時間停止と無限に収納が出来る特別製の「アイテムボックス」、ランダムで与えるスキル一つ、の3スキルを与えていた。
これは、召喚された人は、召喚した国が面倒を見るからある程度放り出しても大丈夫だろうという判断だそうだ。
今回はたまたま召喚が出来ないようにする作業中に召喚が行われた為、とりあえずこの空間に引っ張り込み、グラム国では今後召喚出来なくなるので、召喚された人間にスキルの大盤振る舞いしてやろう。という事らしい。
「今回は10人召喚されてね、貴女で面談は最後なのよ」
「さあ、欲しいスキルを言うのじゃ」
「…あの、お断りしても良いですか」
「「え?」」
「いや、これって小説とかで良くある異世界転移とか異世界転生とか言うやつでしょう?」
「そうじゃよ、とても幸運な事じゃぞ?」
「いや、いきなり連れてこられて幸運とか無いですし、むしろ迷惑です。大体、私冒険とか痛かったり危険な事したくないんですよ」
だから、帰りたい。
「「いや、帰れないから」」
「人の心を読まないでください」
「元の世界には帰れないけど、別に冒険しなくても大丈夫だから!!」
一度召喚されないと帰れないのか、単純に帰れないのかどっちだろうか。
「「後者です」」
「だから、心を読まないでください」
さて、困ったぞ。どうやら異世界で生活をしなければならないらしい。
とはいえ、両親は既に他界しているし、兄弟も恋人も居ないペットも飼っていない天涯孤独の私。
魔王討伐とか命がけの冒険しなくていいのであれば、帰ることに固執する必要もない。
「あなたはフォンティーで生きるしか無いの。だから少しでも充実した生活が出来るように、欲しいスキルを差し上げるわ」
目をキラキラさせるグラームス様とミルス様。
「とりあえず、ちょっと考えさせて貰っても良いですか?」
「構わんよ、この空間以外は時間が停止しておるからの」
さて、好きなスキルを貰えるらしいので、慎重に考えなければ。
樹は考え込むのだった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
50歳元艦長、スキル【酒保】と指揮能力で異世界を生き抜く。残り物の狂犬と天然エルフを拾ったら、現代物資と戦術で最強部隊ができあがりました
月神世一
ファンタジー
「命を捨てて勝つな。生きて勝て」
50歳の元イージス艦長が、ブラックコーヒーと海軍カレー、そして『指揮能力』で異世界を席巻する!
海上自衛隊の艦長だった坂上真一(50歳)は、ある日突然、剣と魔法の異世界へ転移してしまう。
再就職先を求めて人材ギルドへ向かうも、受付嬢に言われた言葉は――
「50歳ですか? シルバー求人はやってないんですよね」
途方に暮れる坂上の前にいたのは、誰からも見放された二人の問題児。
子供の泣き声を聞くと殺戮マシーンと化す「狂犬」龍魔呂。
規格外の魔力を持つが、方向音痴で市場を破壊する「天然」エルフのルナ。
「やれやれ。手のかかる部下を持ったもんだ」
坂上は彼らを拾い、ユニークスキル【酒保(PX)】を発動する。
呼び出すのは、自衛隊の補給物資。
高品質な食料、衛生用品、そして戦場の士気を高めるコーヒーと甘味。
魔法は使えない。だが、現代の戦術と無限の補給があれば負けはない。
これは、熟練の指揮官が「残り物」たちを最強の部隊へと育て上げ、美味しいご飯を食べるだけの、大人の冒険譚。
追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
湊一桜
恋愛
王宮薬師のアンは、国王に毒を盛った罪を着せられて王宮を追放された。幼少期に両親を亡くして王宮に引き取られたアンは、頼れる兄弟や親戚もいなかった。
森を彷徨って数日、倒れている男性を見つける。男性は高熱と怪我で、意識が朦朧としていた。
オオカミの襲撃にも遭いながら、必死で男性を看病すること二日後、とうとう男性が目を覚ました。ジョーという名のこの男性はとても強く、軽々とオオカミを撃退した。そんなジョーの姿に、不覚にもときめいてしまうアン。
行くあてもないアンは、ジョーと彼の故郷オストワル辺境伯領を目指すことになった。
そして辿り着いたオストワル辺境伯領で待っていたのは、ジョーとの甘い甘い時間だった。
※『小説家になろう』様、『ベリーズカフェ』様でも公開中です。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる