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【1部】第一章.異世界生活を始める前の長い長い準備

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抱き着くミルス様を引っぺがした後、樹は神様が書いてくれたスキル一覧を見ながら質問をした。

「少し質問いいですか?」
「いいわよ」
「えっと、Lvの付いてるスキルはレベルアップしていくって事ですが、これはどんな感じになるんですか?」
「そうねぇ……例えばオンラインショップなら、買える品物の種類が増えたり、品質が良いものになっていくわ。ダンジョ…絶対安全空間だったら、空間を広げたり天候や季節を変えたり出来るようになるっていう感じかしら」

(今、ダンジョンって言おうとしたよね…)

引きこもり生活をしたいなら住む場所は重要だ。憧れのテントでゴロゴロするのが目標だけど、やっぱり安心して寝られる一軒家も欲しい。というか、そもそもオンラインショップで家が買えるのだろうか。

「…オンラインショップでは、そのうち家も買えるようになりますか?」

「大丈夫、家も買えるわよー。ただし家や生活品なんかはこちらの世界準拠になるから、建物の内装も外装もこちら風になるわ。ついでに家具なんかも同じよ。てれび?とかげーむ機、車や自転車とかいう物は購入できないし、照明も油や魔法石を使った物になるわ」
「なるほど分かりました、基本的に向こうの家電製品とかは無理って事ですね」

移動手段も馬や牛、魔獣なんかを使うから、明らかにフォンティーの文化をぶち壊すような物は購入できない。
また、銃やミサイルとかそういう兵器系も駄目らしいので、現代兵器を持ち込んで俺TUEEE-!は出来ないようになっているようだ。

「じゃあ、オンラインショップで物を買う時に、未完成で買うか、完成品で買うかを選択できるようにしてください」
「あら?未完成か完成かで選びたいの?完成品だけの方が楽じゃない?」

「確かに最終的に欲しい物が一人では組み立てが出来ないので完成品で欲しいです。でも、あとあと自分で組み立てたい物が出てくるかもしれないので、これは選択出来たほうが良いなと…」
「なるほどねー、うふふ。確かにあなたの欲しい物は、完成品じゃないと大変そうねぇ…」
「えぇ…そうなんです。日本でもそれが問題で購入しなかったんですよ…」

樹は勝手に思考を読んだミルス様を半眼で見つめる。
ミルス様、多分あのテントの事を言ってるよね。

「そう睨まないでよ樹ちゃん」
「睨んではいませんよ、見つめているんです」
「ごめんなさいって、そう怒らないで頂戴」
「いやぁ、思考を読まれるのってあまりいい気分ではありませんからねぇ…」

聞こえちゃったり見えちゃったりしちゃうのは仕方ないのかも知れないけど、やっぱり勝手に汲み取られるのは嫌なのです。

「じゃあ、女神様からの提案!この組み立てる云々の機能は、アイテムボックスに付けたらどうかしら?出し入れする時に自動で組み立てたり解体したり選択するの。これなら、動物とか魔獣とかを倒した後の解体も出来るし楽ちんよ♪」

「む。確かにその方が便利かもしれませんね…」
「もちろん、お肉は一度解体したら元には戻せないからね?」
「それは分かってますよ。高く売れる部位だけ売ってから、もう一度元に戻してとか、そういうズルが出来ないようにですね」

「その通りよー」

ま、ズルは良くなよね。って事だよね。


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