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時の時計が動きはじめた。もう、誰にも止められない。


漆黒の執事服に身をつつむミラさん。
光の粒を纏い、現れたライト。

いつもの昼下がりが、何だかデジャブを感じるよ。

じゅーーーーっ
香ばしい香りと共にを美味しい音が響き渡る。

「あぁ~~!ごめん!!焦げるぅ」
慌てて野菜をかき混ぜる。
そう、私は、野菜を炒めてたの。オムライスおにぎりを作ろうと思って!トマトケチャップ味のごはんに卵を包むと美味しいよね!

「ライト。よね?久しぶりだねっっ今から賄いなの。食べるよ、ね?」

出鼻を挫かれたような、2人の雰囲気がいたたまれなくなって、明るく声をかける。ふぅ~、と息を吐いて、はにかんだ笑顔を向けてくれる、ライトの天使度は健全でした!

「うん、リズのごはん、食べたいな」

テーブルに用意した、本日の賄いはオムライスおにぎりと、野菜スープです。

以前見た、パーティの時のように、髪をハーフアップにしているライトは、本当に美少女っぷりが半端ない。
せっかく、ライトが来てくれたので、彼の好物。味付けなし厚焼き玉子も用意する。

「アレクはね、今日から住み込みで働くようになったんだよ」

カランっ
ライトのスプーンが手元から滑り落ちる。まあ。そうですよね。

「何で、国王のあんたが、田舎町の飲食店で住込なの?」
半端、ため息をつきながら。

「国王だからね」

はあぁぁぁーって大きな溜息が。そうなりますよね?

「そういう君だって、何でこの子に付き纏うのさっっ」

「っっつきまと」

ああ、ワナワナしてるライトも可愛いけど。何だか、腹黒オーラのアレクは観賞用としては、合格。

2人が何やら話し合ってる間に、賄いに作ったごはんを食べ続ける。ケチャップ、もう少し酸味を少なくしようかな?甘味を足したら、小さい子も食べやすいかな?
フニっと手に触れてきたのは、炎の小さな妖精さん。まるでこそっと。おにぎりの端っこを、小さく丸めて渡すとほわっと、嬉しそうに頬張る。
癒されるなぁ。・・・それにしても。
国のことは。わかんないんだけれども。何で2人はこんなに仲が悪いんだろうね。

「色々と、ありましたからね」
ちょこん。と、いつの間にか、子猫の姿になったミラさんが、膝の上に乗ってくる。

「前に、主が言っていたろう?リズは顔が煩いから」

んん?顔が煩いって?!
ミラさんは、そう言って、丸まってしまった。相変わらず、話し合ってた2人が、こちらを見て。

「リズ!僕もここで働くよ!!」

2人の話はどうやら、私を通り越して決まっていっているようですよ?

「一緒にいる中で、リズが選んで。どちらがいいか」
アレクが手を差し伸べる

「私を選べば、皇太子妃殿下だな」

「僕も公爵夫人だよ?」

ーーうん。どちらも嫌です。は、無しですか?

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