白薔薇の紋章

第三章 仲間たちの宴

第３話

「気にするな、お前が落ち込むことじゃない。蓮は別に珠姫を責めているわけじゃないから」


頭を優しくなでながら蛍さんは私にそう言ってくれた。
そのおかげで少しだけ心が軽くなった。


「蓮、お前も少し言い方がきつすぎるぞ？珠姫に当たっても仕方がないだろ」


「別に当たってねぇよ！事実を言っただけだ！」


「それにしては私情を挟みすぎじゃないのか？」


蛍さんと亀代さんの間に何かぴりぴりしたような空気が流れている。
幼馴染とか言ってもこの二人実は仲が悪い？


「あの、私気にしてませんから」


「悪かったよ。八つ当たりして」


「いえ、大丈夫です」


「あぁ、そう…」



そっぽを向いてそのまま居間を出て行ってしまった。
機嫌を悪くさせてしまったと思って追いかけようとしたら。
戒さんに腕をつかまれて止められてしまった。


「気にするな、蓮は照れてるだけだから」


「でも…」


「いいから、話はまだ続くんだからさ」


亀代のことは気になったけど
みんなも大丈夫だからと言うから
私は戒さんの隣に座って、鳳先生の話の続きを聞くことにした。




「つまり、一之瀬の母親の失踪によりここ数十年この村には白薔薇姫が存在しない。それによって刀の力が弱まっているという結論になった。」

「ま、結論になったと言っても藤堂の話だからな」

戒さんがチッっと舌打ちをした。
理事長の前にいるときと同じ顔だ。


「藤堂さん？」

「理事長の知り合いで国の人間」

「国の人間？国会議員さんってこと？」

「議員さんではないんだけどさー」

戒さんはそれ以上話したくないみたいで
その場に横になってしまった。
それを見た先生がやれやれという顔をする。


「国の機関で陰陽寮というところがあるんだ。藤堂はそこの職員なんだよ」

「陰陽寮？そんなの聞いたことない」

「まあ、そうだな世間に公表されていない期間だからな」


世間に公表していない国の機関？
そんなものがあったの？え、じゃあこの村の伝説は国が絡む事態のなの？
白薔薇姫って一体何者なの？


「さっきも言った通り、刀の力が弱まっている。原因は分からない。藤堂の言うとおり白薔薇姫不在が続いたせいなのかもしれないし、ほかに原因があるのかもしれない」

「ただ分かっていることは、このまま刀の封印が弱まればまた鬼が目覚めて再びこの村を…いや世界を滅ぼすことになってしまうかもしれない」


「世界！？」


話がどんどん大きくなっている気がするんだけど！
本当に白薔薇姫ってなんなの！？