神様のヒントでキャラメイク大成功!魔法も生産も頑張ります!

まるぽろ

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第三章:諸国漫遊Ⅰ聖光教国編

別行動と当然のように起こる騒動

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 朔が小部屋の扉をそっと押し開けると、そこは教室2つ分程度の広さがあり、その中央ではヒトミがこちらに背を向けて、独りごとを言いながら何かを食べていた。

「それはじいちゃんの分だから食べて良いって」

「うん。でもさ、ミコト様は食べたんでしょ?」

「うん。だからさ、ボクの分だとしたら、ハニーは同じ物を3食用意したりしないから」

「箸も3膳用意されてたんだしさ。絶対じいちゃんのだから。だいたい、そんなに心配なら直接聞けばいいじゃん」

「え? 違ってたら恥ずかしい? まったくもー。じゃあ、じいちゃんの分はわかるようにしとくように言っとくから、とにかくそれは食べちゃってよ。ボクはりんごと蜂蜜入りのカレー食べてるから。うん。うん。じゃあまたね」

 ヒトミは念話を切って、もぐもぐと食事を再開する。

(……念話の相手はアルス様か。ってか、念話してるのって端から見るとヤバいやつにしか見えないな。さて、ちょっと驚かせてやろうかな)

 朔は、ナタリアをミラに任せ、抜き足差し足でカレーに集中しているヒトミに近付いていく。しかし、朔とヒトミの距離が2mになった時、彼女が急に振り向いた。

「そいっ!……って、ハニーじゃん」

 ヒトミは、朔の顔の前に突きつけたスプーンをカレーに戻す。

「よく気づいたな」
「空間把握は優秀だからね。レベルが低いから認識はぼやけた感じだし、距離も短いけどさ。もぐもぐ」

 話をしながらカレーを食べるヒトミを、朔が若干呆れながら見ていると、服がちょんちょんと引っ張られる。

「私も」

 朔が振り返ると、ミラが無表情にカレーを見つめていた。

「……カレーね。ここには魔物もいないし、ご飯にしようか」

 朔がアイテムボックスからテーブル等を出して食事の準備を始めると、顔を綻ばせたミラがコクコクと頷く。

「ん♪」



 ゴーストがいない空間でしばらく過ごしたためナタリアもある程度復活し、7人でカレーを食べている時、朔がヒトミ尋ねる。

「そういえば、今7人いるけどどうする? リアが無理みたいだし、先に戻ってもらってから、ヒトミのレベル上げをするか?」
「それなら大丈夫だよ。パワーレベリングは趣味じゃないし、ボクはナタリーとミラちゃんと大事な話をしながら3人で潜るから、ハニー達は帰っていいよ」

 ナタリアがヒトミの提案に体を硬直させていると、カルドスが口を挟む。

「ヒトミ様、私はカルドスと申します。ヒトミ様は神聖魔法を使えるのですか?」
「カルドスさん、ボクに様なんてつけないでよ。ボクはただのヒトミであって、それ以上でも以下でもないからね。それと、神聖魔法を使えるのはハニーだよ」
(おいおいヒトミさんや、何を言ってくれてるのかな?)

 ヒトミが神聖魔法のことをバラすと、カルドスは朔の方をばっと振り向く。

「サク殿、やはり貴方は……」
「いや、俺は」
「大丈夫だって、ハニー。アルスじ、んんっ、アルス様が信用して話した人なんだから、ハニーも信用しなよ」
(じいちゃん呼ばわりするのを誤魔化して自分だけ逃げやがった!)
「もちろんですぞ! 実は、サク殿が神聖魔法を使えるという噂があったため、探りをいれるべきだという話が上がっていたのですが、私が握りつぶしてみせましょう!」

 カルドスは、腕を曲げてぐっと力こぶを作り、にかっと笑った。対して朔は、心の中でため息をつく。

(はあ、もう好きにしてくれ)



 食事と片付けが終わると、ヒトミが朔に向かって手を差し出してきた。

「ハニー、武器ちょーだい」
「ああ、どれでも使って良いぞ」

 朔は、今までに作っていた刀剣類をアイテムボックスから出して、地面に並べる。ヒトミは、1つ1つを手に持って数回振ると、片刃の刀身が反った剣、つまり刀に近いものを選ぶ。

「うーん、まあこれで良いか」
「まあって、それ結構自信作なんだけど……」

 ヒトミがあまり気に入っていない様子であったため、朔は少しショックを受けていた。さらに、ヒトミはばっさりと批評する。

「うん。綺麗に作れてるし、バランスも良いんだけどさ。ハニーは鍛冶をやったことないからか、イメージがまだまだ甘いかな。質の良い鋳造品ではあるんだけど、同じ材料で造った鍛造品には劣るね」
(ぐぬぬ)

 朔がぐうの音も出せずにいると、ヒトミは笑顔で提案する。

「だからさ、この後はドワーフ王国に行こうよ」
「え?」
「そこで鍛冶の修業をしたら、もっと良い物が作れるようになるよ♪」

 さらに、ナタリアも頷きながら、その案に賛同する。

「私もそれが良いと思います。ジ……ヒトミさんのレベル上げは、途中のダンジョン都市で行いましょう」
「ナタリー、しれっと逃げようとしてもダメだよー。ハニーに浄化の付与してもらった剣を使えば、簡単に倒せるから、いけるいける♪」

 ヒトミは、ナタリアを逃がすつもりはなかった。このダンジョン以外でも、ゴースト系の魔物は稀に出現するため、ある程度克服しておく必要があると思っていたからである。

 朔は、ヒトミとナタリアにそれぞれ浄化を付与した刀とレイピアを数振り、ミラには浄化の魔法杖を渡した。

 そして、ヒトミはミラとともに、無言で首を横に振って朔に救いを求めるナタリアを連れて、小部屋の外へと出て行くのであった。

 残された朔は、カルドスに尋ねる。

「猊下、3人をダンジョン内で自由に歩かせて本当に大丈夫なのでしょうか?」
「もし別の者に出会った場合は、ミラさんを雪女族の神官見習いとすることにしましたし、私の紋章入りの短剣をお渡ししたので、それを見せれば大丈夫でしょう。サク殿はこれからどうするのですか?」
「そうですね。ここにいてもすることがありませんし、とりあえずダンジョンの外へ戻りませんか?」



 朔は先程の言葉通り、シン、リト、カルドスと供にダンジョンを戻った。

 帰り道でも毎回異なる詠唱をするカルドスに、朔がその理由を聞いたところ、必ずしも詠唱をする必要はないが、魂が天に還るイメージをより強くするために詠唱しているというこであり、詠唱の言葉は、聖書に書かれている言葉などでその時に思い浮かんだ言葉を(適当に)言っているとのことだった。

 数時間後、朔達が入り口に帰りつくと、詰めている兵士の1人に尋ねられる。

「猊下、あと2名の女性はどちらに?」
「ああ、すまないな。ミラという雪女族は、神官見習いでの。もう少し実戦経験を積みたいそうで、私達だけ先に帰って来たのじゃ。3人ともその内帰ってくる」
「……3人でしょうか?」
「ああ。3人じゃが、どうかしたか?」
「いえ、なんでもありません!(くそっ、引き継ぎミスってんじゃねえよ!)」
「彼女達が戻ってきたら、本神殿前の広場にいると伝えて欲しいのじゃが……」
「かしこまりました!」
「頼んだぞい」

 枢機卿であるカルドスの言葉に逆らえる訳もなく、兵士は深く頭を下げた。カルドスは、彼の肩をぽんぽんと軽く叩き、にこにことした笑みを作って歩き出す。

「猊下、ありがとうございます」
「ほっほ。当然じゃ。アルス様のお言葉は、規則よりも大事じゃからの」

 入り口から少し離れたところで、朔がカルドスに頭を下げると、彼は愉快そうに笑うのであった。



 カルドスとともに朔達が本神殿前の広場へ向かっていると、何か争っているような声が聞こえ、1人の神職者が朔達が先程までいた兵士の詰所の方へと走っていった。

 朔達が声のする方へ急いで向かうと、人族の一団と頭に角が生えた鬼人族の一団が睨み合っていた。
 
 双方、抜剣はしていないものの、武器に手をかけており、中央では両方の代表らしき者達が、何か言い争いをしている。

 カルドスは、朔に断りを入れると野次馬をどかし、そこに割って入る。なお、朔はシンを肩に乗せ、リトと別の方へと歩き出した。

「私は、枢機卿のカルドスという。そなた達は神聖な本神殿前でいったい何をしておる?」

 カルドスが来たことで人族の者達はにやにやと嫌らしい笑みを浮かべ、そのうち1人がカルドスに訴える。

「猊下、私は公国の子爵、バカオ・フォン・ヤンと申します。こやつらが、言いがかりをつけてくるのです!」

 鬼人族の者は顔を真っ赤にして叫び、バカオの言葉を否定する。

「貴様が我が子に、剣の鞘を引っかかって、転ばせたのだろうが!」
「私は、何も引っ掛けたりしておりません。走り回っていて、石にでも躓いたのでしょう。神聖な神殿前で走り回っているからバチにでも当たったのでは?」
「何をたわけたことを!」
「いくら広場とはいえ、ここは走り回ってよい場所ではない! 鬼共はそんなこともわからんのか?」
「……貴様、死にたいようだな」

 鬼呼ばわりされた鬼人族の男は、足を開いて体の重心を落とし、腰に差した剣の柄に手をかける。

「双方落ち着いて下さい。貴方方の言い分はわかりました。して、その転んだ子はどこに?」

 鬼人族の男は、カルドスの言葉を無視できず、怪我をした子がいる方へと向くが、そこでは見慣れない魔物を連れ、真っ黒な梟を肩に乗せた男が何かをしていた。

「あそこに……貴様! 何をしている!!」

 
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