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まるぽろ

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第四章:諸国漫遊Ⅱ

湿地帯の攻略法

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 アルたちは地図を広げ、湿原に所々存在する島の位置を確認しながら話し合いを始め、レーヴの三人は興味深そうな様子でアルたちの話に聞きいっていた。一方の朔たちとラッキーフラワー、スズは水辺に近付き、美しい風景を眺めている。
 
「うわあ、綺麗な湿原だね」
「美しくはありますが、なかなか嫌らしい階層ですよ」
「なにかあるの?」
「ん~~っ、ここは足場が悪いし、近そうで遠いんだよね」
 
 ナタリアのどこかげんなりとした様子に朔が尋ねると、ヒトミが気持ちの良い空気を吸い込んで身体を伸ばしながら答え、ナタリアが近くの島を指差しながら補足する。
 
「島と島を繋ぐ浅いところを通って進むのですが、その道が迷路のように入り組んでいます。また、途中で深くなっていて進めない部分も多くあります」
「アルさんが持ってた地図は?」
「あれは島の位置を示したものですね。進めなくなる部分と進める部分の入れ替わりが早いため、どこまで見破ることができるかが斥候の腕の見せ所です」
「だからアルさんたちの気合が入ってるんだ。船はどう? 丸太なら何本かアイテムボックスに入ってるよ」
「深い所に数多くいる魔物から襲撃を受けますし、あの蓮の葉が邪魔になり、上手く進むことが出来ないかと」
 
 ナタリアは朔の提案を冷静に却下したが、朔は浅瀬に足を踏み入れ、巨大な蓮の葉を触ってその質感や強度を確かめる。
 
「じゃあさ、このたくさん浮いてる大きな蓮の葉の上には乗れないのかな? シンちょっと乗ってみてくれる?」
「クッ?」(こう?)
「ちょっと重くするよ。重力増加」
 
 朔は重力魔法でシンを重くする。元々1㎏程度しかないシンでは、最大限に重たくしても蓮の葉が沈むことはなかった。朔はアイテムボックスから水が入った小さめの樽を取り出し、蓮の葉の上に置いていく。
 
「うん。40kg以上いけそうだし、重力魔法で皆を軽くしてさ。蓮の葉を跳んで行けば早いんじゃないかな?」
「何それ楽しそう!! ハニー、ボクが試してみるから、ボクにかけてよ!!」
「はいよ。重力軽減」
「蓮の葉の上を……落水の危険が。しかし、巨大な葉で私達の姿を隠すこともできる……」
「ん。でも、ヒトミ楽しそう」
 
 朔の提案にヒトミが目を輝かせて食いつき、ナタリアは何かぶつぶつと呟きながら思考していると、ミラがすっと腕を上げて指差す。その指の先では、ヒトミがぴょんぴょんと蓮の葉の上で飛び跳ねていた。
 
「これトランポリンみたいで楽しいよー!」
「フゴゴッ!」(僕もやりたいです!)
「近くの葉で試してみよっか」
「そうですね。確認する価値はあると思います」
「ん。私もやってみたい」

 ヒトミが飛び跳ねながら朔たちの方に手を振ると、ナタリア、ミラ、リトも好奇心を抑えきれなくなってしまっていた。さらに横で話を聞いていたスズとラッキーフラワーもまた参加を希望する。

「あたしも、あたしもやりたいぞ!」
「僕もお願いします!」
「バランスを取る訓練になりそうだ」
「楽しそうっす!」
「面白そうだにゃ! ミラ、一緒に跳ぶにゃ!」
「私は泳げないので1番近くでお願いします」
 
 結局、朔たちは島の周囲にある蓮の葉の上で飛び跳ねるのであった。
 そして、調子に乗ったヒトミが島から離れていていき──
 
「ほっ! ……はっ! ……もがっ!?」
 
 ──ある蓮の葉に足を着いた途端に葉が崩れ、どぼんと水の中に沈む。軽くなっているヒトミはすぐに浮かんでくるが、周囲から水棲の魔物が水しぶきをあげながら近付いてきていた。
 
「仁実!?」
「まったくもう、ヒトミさんは! サクさん、シンちゃん、近くに来た魔物は私が射抜きますので助けに行ってください! ミラ、バスは遠くにいる魔物のけん制をお願いします! リト君、スズさん、ラッキーフラワーの皆さんは島へ! 上陸してくる魔物がいれば迎え撃って下さい!」
 
 朔たちは各々指定された役割を果たすために散開する。シンはパタパタパタッと一生懸命に羽ばたいてヒトミを持ち上げ、朔はシンからヒトミを受け取り、蓮の葉が崩れないよう高く跳ばずに逃げる。
 朔とヒトミが戻り、続けてミラとバステトも引き上げた。最後に、殿のナタリアが陸地に上がると、魔物の群れはすっと方向を変え、水中へと消えていった。

 
 「あはははは、めっちゃ楽しかった! ちょっと色が違う葉っぱだったんだけど、それは踏んだらダメみたいだよ!」
「笑いごとではありません!」
「ん。調子に乗り過ぎ」
 
 ずぶ濡れのヒトミが大笑いしている一方、ナタリアは背中に般若のオーラを背負って叱り付け、ミラはジト目で睨んでいた。しかし、ヒトミは謝罪しながらも、明るい声で言い放つ。
 
「ごめんごめん。でもさ、この方法で行こうよ。気を付けて見ればどの葉がダメか分かるし、狭くて足元が悪い浅瀬で両脇から襲われるのも守りにくいのは一緒だし、いけるいける♪」
 
     ◆
 
 その後、朔たちは蓮の葉の上を跳んで島から島へと渡り、大幅なショートカットに成功した。水中の魔物を倒しても魔石やドロップ品は水底に沈んでしまうため、最低限の戦闘しかせずに30代の階層を走破していく。
 朔たちが36階層からの階段の先にある大部屋にいた大蛇もさくっと倒すと、ヒトミはうきうきした様子で足取り軽く先頭を進む。

「次はどんな技を決めようかな♪ 伸身5回宙返り5回捻りとかって──ああああ!」
「あらら、大分水がなくなって、今度は一面泥か。蓮の葉もなくなってるね。というか、ヒトミはさっき高く跳び過ぎて蓮の葉を破いたんだから自重しろ」
 
 階層を上がるにつれ徐々に水位は下がっていたのだが、35階層への扉を開いたときに朔たちの眼に映ったのは、豊富な水を湛える美しい湿原ではなく、草が生い茂る広大な沼地だった。
 膝をついて嘆くヒトミを放置し、ナタリアは周囲を見渡してから朔に提案する。
 
「ここからは正規のルートで戻りましょう。この辺りからは探索している冒険者もいると思われますし、ちょうど良いかと」
「泥だらけになりそうだね」
「浅瀬はくるぶしの少し上ほどまでですが、少し脇に逸れてしまうと膝上まで沈むので気をつけてください」
「それはやだな。ちょっと試してもいい?」
「サクさん? 今度は何を?」
 
 怪訝そうな顔で見つめるナタリアに対し、朔はにこりと微笑んでから沼地に向かって歩き始める。
 
「ちょっと牛さんの真似をしてみようかなって」
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