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第2章 北楊村編
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景雲が仕事をしていた場所に戻る途中、秀英とすれ違った。
「秀英、仕事は?」
「一息ついたから、晏寿の様子を見ようと…」
「晏寿には休むよう言っといた。
疲れも相まって酒の周りが早かったんだろうよ」
「…そうか」
そこまで言うと、秀英はもと来た道を戻ろうとする。
その行動に景雲は驚き、思わず腕を引っ張った。
「え、は?
晏寿の所に行くんじゃなかったのか?」
「お前から様子は聞いたから行く必要はないだろう」
「いやいや、見るのと聞くのとじゃ違うだろ!
一目見れば自分が安心するから、お前も見て来い」
「そういうものなのか?」
「ああ!」
秀英の少しずれた価値観に景雲は呆れ、秀英を晏寿の元へと行かせた。
晏寿のもとに着いた秀英はゆっくりと扉を開けて中の晏寿の様子を伺った。
薄い布団の中で晏寿が横になっている。
そばに腰をおろして、晏寿を眺める。
「少し…青白いな」
晏寿の頬を撫でて目を細めた。
最近は通常業務である村の田畑の手伝いに加え、酒造りで昼夜問わずの温度管理と続いてきた。
身体を酷使していたところへの初めての酒で全てが今表に出てきてしまったのであろう。
男の秀英と景雲でさえ夜は疲労ですぐ寝てしまうのに、身体の作りの全く違う女の晏寿が秀英達と同等に働くことのほうが難しい話なのだ。
それに気づくのが遅かったと改めて晏寿の姿を見て、後悔する秀英だった。
「ん…、しゅ、えぃ?」
「!すまない、起こしたか」
うっすらと目を開けて秀英を確認する晏寿。
慌てて頬を撫でていた手を引っ込めた。
「うとうとしてた…。何か仕事、ある?」
だるそうに体を起こす。しかし、それを秀英が制した。
肩を押さえられ、再び横になるよう促された。
「おとなしくしていろと景雲にも言われたんだろう。今日は体を休めろ」
「でも…」
「いいから」
一度引っ込めた手をまた伸ばし、今度は晏寿の頭を撫でた。
景雲のそれにも晏寿は驚いたが、そんな行動に全く縁のないような秀英までもが行ったため更に驚いた。
「無理はするな。体を壊したら元も子もない」
「…ごめん、迷惑かけて。明日は頑張るから」
「頑張らなくていい。
晏寿は十分やっている。誰かに認めてもらいたくてやっていたのなら、俺も景雲も、ここの村人たちもとっくの昔に晏寿を認めている。
それに、一度も迷惑なんて思ったことはない。
ただ――心配なんだ」
苦々しそうに言う秀英に、晏寿は目を見開いた。
秀英の言動に先程から驚かされてばかりいる。
秀英のほうが休むべきではないのかと思いはじめていた。
けれど、ぎこちない手つきに。
言い慣れていない言葉に。
晏寿は強い安心感を感じ、だんだんと意識が遠のいていった。
一日体を休めた晏寿。
次の日はすっかり回復し、仕事に復帰した。
「秀英、景雲。昨日はありがとう。
二人も疲れたら言ってね。ちゃんと休まなきゃ駄目よ?」
朝一番に二人に言う。
それに対して秀英はふっと笑い、景雲はにやっとしながら晏寿を覗き込んだ。
「倒れた奴がそれを言うか?
まぁ、俺が倒れたときは晏寿が献身的に看病してくれるのだろう?」
「はいはい。
その時は“玉ばぁ”に頼むわ」
「玉ばぁは勘弁…」
紅玉果、通称“玉ばぁ”と呼ばれる齢70の御老女。
村の住民で、景雲のことがお気に入り。
そして、景雲は彼女のことが苦手だった。
毎日のように晏寿は景雲にちょっかいを出されているので扱いに慣れていたのだった。
「秀英、仕事は?」
「一息ついたから、晏寿の様子を見ようと…」
「晏寿には休むよう言っといた。
疲れも相まって酒の周りが早かったんだろうよ」
「…そうか」
そこまで言うと、秀英はもと来た道を戻ろうとする。
その行動に景雲は驚き、思わず腕を引っ張った。
「え、は?
晏寿の所に行くんじゃなかったのか?」
「お前から様子は聞いたから行く必要はないだろう」
「いやいや、見るのと聞くのとじゃ違うだろ!
一目見れば自分が安心するから、お前も見て来い」
「そういうものなのか?」
「ああ!」
秀英の少しずれた価値観に景雲は呆れ、秀英を晏寿の元へと行かせた。
晏寿のもとに着いた秀英はゆっくりと扉を開けて中の晏寿の様子を伺った。
薄い布団の中で晏寿が横になっている。
そばに腰をおろして、晏寿を眺める。
「少し…青白いな」
晏寿の頬を撫でて目を細めた。
最近は通常業務である村の田畑の手伝いに加え、酒造りで昼夜問わずの温度管理と続いてきた。
身体を酷使していたところへの初めての酒で全てが今表に出てきてしまったのであろう。
男の秀英と景雲でさえ夜は疲労ですぐ寝てしまうのに、身体の作りの全く違う女の晏寿が秀英達と同等に働くことのほうが難しい話なのだ。
それに気づくのが遅かったと改めて晏寿の姿を見て、後悔する秀英だった。
「ん…、しゅ、えぃ?」
「!すまない、起こしたか」
うっすらと目を開けて秀英を確認する晏寿。
慌てて頬を撫でていた手を引っ込めた。
「うとうとしてた…。何か仕事、ある?」
だるそうに体を起こす。しかし、それを秀英が制した。
肩を押さえられ、再び横になるよう促された。
「おとなしくしていろと景雲にも言われたんだろう。今日は体を休めろ」
「でも…」
「いいから」
一度引っ込めた手をまた伸ばし、今度は晏寿の頭を撫でた。
景雲のそれにも晏寿は驚いたが、そんな行動に全く縁のないような秀英までもが行ったため更に驚いた。
「無理はするな。体を壊したら元も子もない」
「…ごめん、迷惑かけて。明日は頑張るから」
「頑張らなくていい。
晏寿は十分やっている。誰かに認めてもらいたくてやっていたのなら、俺も景雲も、ここの村人たちもとっくの昔に晏寿を認めている。
それに、一度も迷惑なんて思ったことはない。
ただ――心配なんだ」
苦々しそうに言う秀英に、晏寿は目を見開いた。
秀英の言動に先程から驚かされてばかりいる。
秀英のほうが休むべきではないのかと思いはじめていた。
けれど、ぎこちない手つきに。
言い慣れていない言葉に。
晏寿は強い安心感を感じ、だんだんと意識が遠のいていった。
一日体を休めた晏寿。
次の日はすっかり回復し、仕事に復帰した。
「秀英、景雲。昨日はありがとう。
二人も疲れたら言ってね。ちゃんと休まなきゃ駄目よ?」
朝一番に二人に言う。
それに対して秀英はふっと笑い、景雲はにやっとしながら晏寿を覗き込んだ。
「倒れた奴がそれを言うか?
まぁ、俺が倒れたときは晏寿が献身的に看病してくれるのだろう?」
「はいはい。
その時は“玉ばぁ”に頼むわ」
「玉ばぁは勘弁…」
紅玉果、通称“玉ばぁ”と呼ばれる齢70の御老女。
村の住民で、景雲のことがお気に入り。
そして、景雲は彼女のことが苦手だった。
毎日のように晏寿は景雲にちょっかいを出されているので扱いに慣れていたのだった。
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