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第3章 休暇編
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「晏寿、俺は何をすればいいんだ?」
「ん…、なら人参洗って?」
「嫌だ。そんな地味な作業。俺も包丁を使ってみたい」
ひとまず誰にでもできそうな仕事を景雲に頼んでみるも、何故か間髪いれずに断られてしまう。
まさかのここで駄々をこねると思っていなかった晏寿は面喰ってしまう。
「や、ほら包丁って危ないから。手切るかもしれないし」
「俺は刀剣だって扱える。手を切って危ないのは晏寿も一緒だろう。ほら、どうすればいいんだ?」
結局景雲に負けて晏寿は包丁の使い方を教えることとなった。
しかし、この容 景雲という男。
何事もコツをつかむのが上手い男で、最初は危なっかしくて見てられなかった包丁捌きであったが、そう時間もたたないうちに安定した使い方になっていた。
これには晏寿も何も言えなくなってしまった。
「なかなか帰ってこないと思えば…」
景雲が飾り切りまでできるようになったころ。
呆れた表情で秀英が現れた。
「おお、秀英。見てくれ、この人参。俺が切ったんだ」
誇らしげに花形に切られた人参を手に乗せて秀英に見せる。
秀英はまじまじとその人参を見やった。
そして呆れた表情のまま、景雲に言った。
「嘘をつくならもっとましな嘘をつけ。お前ができるわけがない」
「失礼な奴だな。今しがた晏寿から習ってできるようになったというのに」
視線だけで秀英は晏寿に「本当か」と訴えかけてくる。
晏寿はそれに一度こくりと頷き、今度は訝しげな視線を景雲に送る。
秀英の色々変わる表情に景雲は一人で満足したらしく、作業を再開した。
自由奔放な景雲を見ていて晏寿は苦笑したが、今度は秀英に声をかける。
「秀英も…、やってみる?」
まじまじと晏寿の手と顔を見比べて、おもむろに包丁を受け取った。
こちらも初めて料理するであろうと晏寿は秀英に大根の切り方を教えた。
だが。
「…」
「…見るも無残だな」
「…うん、秀英、頑張ったね」
まな板に広がるのは大根だったもの。
白い塊が転がっていた。
「で、でもこれ煮てどうせ角はとれるから大丈夫だよ。ほら、鍋に入れて!」
「優秀な秀英にもできないことがあるんだな」
「景雲黙って!秀英、もう野菜を切るのはいいから、鍋見てて」
空気を読まない景雲を叱責して、ぼとぼとと鍋に野菜をいれて火にかけた。
包丁は向いていないと秀英自身も思ったらしく、すぐに包丁をまな板の上に置いて竈の前に立った。
それからは順調に調理が進み、夕食は出来上がっていった。
料理が出来上がったのでそれを食卓に並べ、晏寿は怜峯を呼びに言った。
「兄様、ご飯できたよ」
「ああ、…二人はやっぱりいるのか?」
「もう、往生際が悪いよ。
二人も待たせてるから、兄様早くして」
いつまでも渋っている怜峯を無理やり食卓へと連れ出した。
部屋に入ると同時に晏寿が怜峯を紹介した。
「二人とも待たせてごめんね。こちらが兄の怜峯」
「いや、大丈夫だ。
怜峯殿。いきなりの訪問、申し訳ありません。伯 秀英です」
先程まで座っていた秀英が立ち上がり、挨拶する。それにならって景雲も立ちあがる。
「初めまして、容 景雲です」
「…初めまして、柳 怜峯だ」
「ほら、 挨拶もしたことだし、料理が冷めちゃうから早く座って」
引きつりながら挨拶をした怜峯の背中を押して、いつもの席に促す晏寿。
怜峯を座らせたあとは自分も怜峯の横に座った。
晏寿の正面に景雲、怜峯の正面に秀英という配置になっている。
「兄様は私の料理久しぶりでしょ?上手にできてればいいんだけど」
「いや、それは心配ないだろう。晏寿の料理は何でも美味しいから」
秀英と景雲の訪問で乱れた怜峯の心中だが、なんだかんだ久しぶりの妹の手料理を楽しみにしていた。
いそいそと煮物に手をつける。
「久しぶりの家での料理だから飾り切りまでしてくれたんだろう?」
「あ、それ切ったの俺です。上手くできてるでしょう?」
花形に切られた人参を嬉しそうに箸でつまんだ怜峯だったが、景雲の言葉でぴたりと動きを止めた。
「景雲…くんが切ったのか…?」
「え、ええ。景雲が手伝ってくれたの。飲み込みが早くて助かったわ」
「…そうか。まぁ、料理は味だ。味付けはいつもの晏寿の味だろう?」
「味付けは僕が」
今度は秀英が名乗り出る。
怜峯の箸からとうとう人参がぽとりと落ちた。
「しゅ、秀英はね、すごく几帳面だから味付けもしっかり計ってつけてくれたの。だから、きっと私が作るよりおいしいかもっ」
「それは…晏寿の手料理とは言わないんじゃないか、晏寿。俺はお前のを楽しみにしてたのに…」
「もー!そんなのいつでも食べれるでしょ!?
いつまでも湿っぽい態度じゃなくて、早く食べて!」
うじうじといじける怜峯に一喝し、ようやく食事が進んでいった。
「ん…、なら人参洗って?」
「嫌だ。そんな地味な作業。俺も包丁を使ってみたい」
ひとまず誰にでもできそうな仕事を景雲に頼んでみるも、何故か間髪いれずに断られてしまう。
まさかのここで駄々をこねると思っていなかった晏寿は面喰ってしまう。
「や、ほら包丁って危ないから。手切るかもしれないし」
「俺は刀剣だって扱える。手を切って危ないのは晏寿も一緒だろう。ほら、どうすればいいんだ?」
結局景雲に負けて晏寿は包丁の使い方を教えることとなった。
しかし、この容 景雲という男。
何事もコツをつかむのが上手い男で、最初は危なっかしくて見てられなかった包丁捌きであったが、そう時間もたたないうちに安定した使い方になっていた。
これには晏寿も何も言えなくなってしまった。
「なかなか帰ってこないと思えば…」
景雲が飾り切りまでできるようになったころ。
呆れた表情で秀英が現れた。
「おお、秀英。見てくれ、この人参。俺が切ったんだ」
誇らしげに花形に切られた人参を手に乗せて秀英に見せる。
秀英はまじまじとその人参を見やった。
そして呆れた表情のまま、景雲に言った。
「嘘をつくならもっとましな嘘をつけ。お前ができるわけがない」
「失礼な奴だな。今しがた晏寿から習ってできるようになったというのに」
視線だけで秀英は晏寿に「本当か」と訴えかけてくる。
晏寿はそれに一度こくりと頷き、今度は訝しげな視線を景雲に送る。
秀英の色々変わる表情に景雲は一人で満足したらしく、作業を再開した。
自由奔放な景雲を見ていて晏寿は苦笑したが、今度は秀英に声をかける。
「秀英も…、やってみる?」
まじまじと晏寿の手と顔を見比べて、おもむろに包丁を受け取った。
こちらも初めて料理するであろうと晏寿は秀英に大根の切り方を教えた。
だが。
「…」
「…見るも無残だな」
「…うん、秀英、頑張ったね」
まな板に広がるのは大根だったもの。
白い塊が転がっていた。
「で、でもこれ煮てどうせ角はとれるから大丈夫だよ。ほら、鍋に入れて!」
「優秀な秀英にもできないことがあるんだな」
「景雲黙って!秀英、もう野菜を切るのはいいから、鍋見てて」
空気を読まない景雲を叱責して、ぼとぼとと鍋に野菜をいれて火にかけた。
包丁は向いていないと秀英自身も思ったらしく、すぐに包丁をまな板の上に置いて竈の前に立った。
それからは順調に調理が進み、夕食は出来上がっていった。
料理が出来上がったのでそれを食卓に並べ、晏寿は怜峯を呼びに言った。
「兄様、ご飯できたよ」
「ああ、…二人はやっぱりいるのか?」
「もう、往生際が悪いよ。
二人も待たせてるから、兄様早くして」
いつまでも渋っている怜峯を無理やり食卓へと連れ出した。
部屋に入ると同時に晏寿が怜峯を紹介した。
「二人とも待たせてごめんね。こちらが兄の怜峯」
「いや、大丈夫だ。
怜峯殿。いきなりの訪問、申し訳ありません。伯 秀英です」
先程まで座っていた秀英が立ち上がり、挨拶する。それにならって景雲も立ちあがる。
「初めまして、容 景雲です」
「…初めまして、柳 怜峯だ」
「ほら、 挨拶もしたことだし、料理が冷めちゃうから早く座って」
引きつりながら挨拶をした怜峯の背中を押して、いつもの席に促す晏寿。
怜峯を座らせたあとは自分も怜峯の横に座った。
晏寿の正面に景雲、怜峯の正面に秀英という配置になっている。
「兄様は私の料理久しぶりでしょ?上手にできてればいいんだけど」
「いや、それは心配ないだろう。晏寿の料理は何でも美味しいから」
秀英と景雲の訪問で乱れた怜峯の心中だが、なんだかんだ久しぶりの妹の手料理を楽しみにしていた。
いそいそと煮物に手をつける。
「久しぶりの家での料理だから飾り切りまでしてくれたんだろう?」
「あ、それ切ったの俺です。上手くできてるでしょう?」
花形に切られた人参を嬉しそうに箸でつまんだ怜峯だったが、景雲の言葉でぴたりと動きを止めた。
「景雲…くんが切ったのか…?」
「え、ええ。景雲が手伝ってくれたの。飲み込みが早くて助かったわ」
「…そうか。まぁ、料理は味だ。味付けはいつもの晏寿の味だろう?」
「味付けは僕が」
今度は秀英が名乗り出る。
怜峯の箸からとうとう人参がぽとりと落ちた。
「しゅ、秀英はね、すごく几帳面だから味付けもしっかり計ってつけてくれたの。だから、きっと私が作るよりおいしいかもっ」
「それは…晏寿の手料理とは言わないんじゃないか、晏寿。俺はお前のを楽しみにしてたのに…」
「もー!そんなのいつでも食べれるでしょ!?
いつまでも湿っぽい態度じゃなくて、早く食べて!」
うじうじといじける怜峯に一喝し、ようやく食事が進んでいった。
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