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第4章 後宮潜入編
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晏寿が儀円に指示を受けた場所に向かうと一人の女性がいた。
そこそこ年を重ねた人で背筋がぴんと伸びている。
「初めまして。晏寿様の身の周りをお手伝いをさせていただきます。楓茗と申します」
楓茗と名乗る女性はそこで晏寿に頭を下げた。
晏寿も遅れをとったがぺこっとお辞儀をした。
「柳 晏寿と申します。これからよろしくお願いします」
「晏寿様、私に敬語や気遣いは不要です。
貴女様は後宮に入内され殿下のお后様となられるのですから。
さっそくですが本題に入らせていただきます」
そうして楓茗から後宮でのしきたりや、礼儀作法をいろいろ説明を受けた。
それらを晏寿は覚えて、明日から実行しなければならないので必死だった。
しかし官吏試験を次席で合格するほどの実力の持ち主であるため、頭に入れるのは早かった。
「お解りいただけましたか?」
「何とか」
「それでは今度はお召し物に移ります」
今度は後宮で身につける服をあてがわれた。
どれもこれも上質な絹でできている。
先日まで畑仕事をしていたのに、と内心で笑ってしまった。
服を着たら、髪の毛もいじられる。
高そうな簪をさされ、複雑な形に組み立てられる。
最後には化粧まで施され。
そうして、鏡に映る晏寿はどこから見ても貴族の姫になっていた。
「ほぉ、化けたな」
入り口に立って晏寿を眺めるのは儀円であった。部屋に入ってきて晏寿に言う。
「お前には偽名を使ってもらう」
「偽名ですか?」
「ああ。柳家というだけで良く思わん輩もいる。
あとお前は曲りなりにも官吏に合格した者だから本名だと何かしらの手が回っていると思われる可能性があるということだ。
柳 晏寿だから…授 安里だな」
名前ひっくり返しただけじゃないか、と思ったが他に案があったわけではないのでそれに決定になった。
「それでは、こいつのことお願いします」
「はい、わかりました」
そう言葉を交わして儀円は出ていった。
そして晏寿は儀円が楓茗に敬語を使っていたことが気になっていた。
いろいろ考えてみたが全然わからなかったので、本人に聞くことにした。
「楓茗、どうして大臣はあなたにかしこまった話し方だったの?」
「私と儀円は年の離れた姉弟です」
「えぇ!?」
「私が一番目の子で儀円が最後の子になります。顔が似てないのは母親が違うからです」
「そうなんだ…」
楓茗は淡々と事実を話していく。
「私は正室の娘で、あの子は身分の低い母親の息子です。
だから小さいときからあまり良い待遇は受けて参りませんでした。でも、あの子が大臣までなったのはあの子の実力です」
晏寿は実力主義だと言っていた儀円のことを思い出した。
それは儀円自身のことを言っていたのだと気付く。
「さて、話しこみすぎました。次に移りましょう」
「…はい。あの、私は大臣のこと尊敬してるので」
気付けばそんなことを晏寿は口走っていた。
楓茗はきょとんと晏寿を見やる。
でもふっと目を細めて、
「ありがとうございます。その言葉であの子の今までは救われます」
と優しい姉の顔で言った。
そこそこ年を重ねた人で背筋がぴんと伸びている。
「初めまして。晏寿様の身の周りをお手伝いをさせていただきます。楓茗と申します」
楓茗と名乗る女性はそこで晏寿に頭を下げた。
晏寿も遅れをとったがぺこっとお辞儀をした。
「柳 晏寿と申します。これからよろしくお願いします」
「晏寿様、私に敬語や気遣いは不要です。
貴女様は後宮に入内され殿下のお后様となられるのですから。
さっそくですが本題に入らせていただきます」
そうして楓茗から後宮でのしきたりや、礼儀作法をいろいろ説明を受けた。
それらを晏寿は覚えて、明日から実行しなければならないので必死だった。
しかし官吏試験を次席で合格するほどの実力の持ち主であるため、頭に入れるのは早かった。
「お解りいただけましたか?」
「何とか」
「それでは今度はお召し物に移ります」
今度は後宮で身につける服をあてがわれた。
どれもこれも上質な絹でできている。
先日まで畑仕事をしていたのに、と内心で笑ってしまった。
服を着たら、髪の毛もいじられる。
高そうな簪をさされ、複雑な形に組み立てられる。
最後には化粧まで施され。
そうして、鏡に映る晏寿はどこから見ても貴族の姫になっていた。
「ほぉ、化けたな」
入り口に立って晏寿を眺めるのは儀円であった。部屋に入ってきて晏寿に言う。
「お前には偽名を使ってもらう」
「偽名ですか?」
「ああ。柳家というだけで良く思わん輩もいる。
あとお前は曲りなりにも官吏に合格した者だから本名だと何かしらの手が回っていると思われる可能性があるということだ。
柳 晏寿だから…授 安里だな」
名前ひっくり返しただけじゃないか、と思ったが他に案があったわけではないのでそれに決定になった。
「それでは、こいつのことお願いします」
「はい、わかりました」
そう言葉を交わして儀円は出ていった。
そして晏寿は儀円が楓茗に敬語を使っていたことが気になっていた。
いろいろ考えてみたが全然わからなかったので、本人に聞くことにした。
「楓茗、どうして大臣はあなたにかしこまった話し方だったの?」
「私と儀円は年の離れた姉弟です」
「えぇ!?」
「私が一番目の子で儀円が最後の子になります。顔が似てないのは母親が違うからです」
「そうなんだ…」
楓茗は淡々と事実を話していく。
「私は正室の娘で、あの子は身分の低い母親の息子です。
だから小さいときからあまり良い待遇は受けて参りませんでした。でも、あの子が大臣までなったのはあの子の実力です」
晏寿は実力主義だと言っていた儀円のことを思い出した。
それは儀円自身のことを言っていたのだと気付く。
「さて、話しこみすぎました。次に移りましょう」
「…はい。あの、私は大臣のこと尊敬してるので」
気付けばそんなことを晏寿は口走っていた。
楓茗はきょとんと晏寿を見やる。
でもふっと目を細めて、
「ありがとうございます。その言葉であの子の今までは救われます」
と優しい姉の顔で言った。
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