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第5章 自宅謹慎編
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一歩引いた所にいた瑚蘭はにこにこしながら二人に近づいてきた。
秀英は晏寿の肩から手を放し、改めて瑚蘭に向き直す。
「私は伯家の長男であり、嫡子です。自分からこんなことを言うのもなんですが、身分もしっかりしています。それに官吏試験を合格していますので、仕事も安定しています」
「あら、伯家の御長男ってことは官吏試験で一位の子ね?景雲君といい、秀英君といい、晏寿はすごい子とお友達なのねぇ。
ちなみに秀英君。さっきのお見合いは既に破談済みよ」
「え…」
目を見開いたまま晏寿を見る秀英。ようやく冷静になったかと胸中でため息をつき、晏寿が口を開いた。
「私は一言も景雲との縁談を受けたとは言ってない。互いに不都合があって破談にしたの」
「そうだったのか…」
「それにしてもどうしたの?秀英らしくない。こんな街中であんなこと口走って…」
「あ」
ようやく街中だということに気付いたらしい秀英はバツの悪そうな顔をする。
「ひとまず移動しましょうか?せっかく秀英君が晏寿に求婚してくれたんですもの。そのところをちゃんと話しましょう?」
瑚蘭の提案により、近くにあった茶屋に入り、晏寿と秀英は向かい合うように座る。
瑚蘭は晏寿の横に座った。
お茶が届き、秀英は一口含むとだいぶいつもの冷静さを取り戻すことができた。
「先程は場所もわきまえず、申し訳なかった」
最初に口にしたのは晏寿に対しての謝罪だった。
「うん、もういいよ。秀英らしくなかったけど」
「晏寿と景雲が見合いをして夫婦になるかもしれないと思ったら、どうしても冷静ではいられなくなった。本来なら友人同士の縁談なのだから喜ぶべき所なのだろうが、俺にはそれができなかった」
「それで、晏寿を娶りたいと言ったことの本心は?」
どこかわくわくとしている瑚蘭に不謹慎だと思いつつ、晏寿もそのことが気になっていたので秀英を見やる。秀英は目をそらすことはなく、はっきりと答えた。
「景雲に晏寿をとられる、と思った瞬間気持ちが抑えられなくなり、誰かの妻ではなく自分の妻に晏寿を迎えたいと強く思いました。娶りたいという気持ちに嘘偽りは全くありません」
秀英の強い意思に晏寿は頬を赤らめる。
どうしたものかと隣の瑚蘭を見れば、今日一番の笑みを浮かべていた。
晏寿はその笑みに不安を覚える。
しかしとめることはできなかった。
「私や柳家としては断る理由もないお話よ。晏寿のことをそんなに強く想ってくださってるんですもの。でも、この子がねぇ…」
ワザとらしく晏寿を見てため息をつく。
「まだ結婚する気はないって我儘言って、秀英君にも同じことするつもり?」
「せっかく官吏試験合格したのに、すぐ辞めちゃもったいないじゃない」
「秀英君はどう思う?」
親子で話していても埒が明かないと思ったのか瑚蘭が秀英に振る。秀英は慌てることもなく、さらりと答える。
「俺は婚姻後も働いても構いません」
「ですってよ!晏寿、決めてしまいなさい!」
興奮して晏寿の肩をばんばん叩く。
それを痛いと感じながら、晏寿は困惑していた。
いつも冷静沈着な秀英がそんなことを思っているとは考えてもみなかったのだ。
いきなり街中で求婚され、母親は大喜びし。
そもそも、晏寿の乙女心的にはもっと違う状況で言われたかったところだ。
「もう少し考えさせて」
秀英は晏寿の肩から手を放し、改めて瑚蘭に向き直す。
「私は伯家の長男であり、嫡子です。自分からこんなことを言うのもなんですが、身分もしっかりしています。それに官吏試験を合格していますので、仕事も安定しています」
「あら、伯家の御長男ってことは官吏試験で一位の子ね?景雲君といい、秀英君といい、晏寿はすごい子とお友達なのねぇ。
ちなみに秀英君。さっきのお見合いは既に破談済みよ」
「え…」
目を見開いたまま晏寿を見る秀英。ようやく冷静になったかと胸中でため息をつき、晏寿が口を開いた。
「私は一言も景雲との縁談を受けたとは言ってない。互いに不都合があって破談にしたの」
「そうだったのか…」
「それにしてもどうしたの?秀英らしくない。こんな街中であんなこと口走って…」
「あ」
ようやく街中だということに気付いたらしい秀英はバツの悪そうな顔をする。
「ひとまず移動しましょうか?せっかく秀英君が晏寿に求婚してくれたんですもの。そのところをちゃんと話しましょう?」
瑚蘭の提案により、近くにあった茶屋に入り、晏寿と秀英は向かい合うように座る。
瑚蘭は晏寿の横に座った。
お茶が届き、秀英は一口含むとだいぶいつもの冷静さを取り戻すことができた。
「先程は場所もわきまえず、申し訳なかった」
最初に口にしたのは晏寿に対しての謝罪だった。
「うん、もういいよ。秀英らしくなかったけど」
「晏寿と景雲が見合いをして夫婦になるかもしれないと思ったら、どうしても冷静ではいられなくなった。本来なら友人同士の縁談なのだから喜ぶべき所なのだろうが、俺にはそれができなかった」
「それで、晏寿を娶りたいと言ったことの本心は?」
どこかわくわくとしている瑚蘭に不謹慎だと思いつつ、晏寿もそのことが気になっていたので秀英を見やる。秀英は目をそらすことはなく、はっきりと答えた。
「景雲に晏寿をとられる、と思った瞬間気持ちが抑えられなくなり、誰かの妻ではなく自分の妻に晏寿を迎えたいと強く思いました。娶りたいという気持ちに嘘偽りは全くありません」
秀英の強い意思に晏寿は頬を赤らめる。
どうしたものかと隣の瑚蘭を見れば、今日一番の笑みを浮かべていた。
晏寿はその笑みに不安を覚える。
しかしとめることはできなかった。
「私や柳家としては断る理由もないお話よ。晏寿のことをそんなに強く想ってくださってるんですもの。でも、この子がねぇ…」
ワザとらしく晏寿を見てため息をつく。
「まだ結婚する気はないって我儘言って、秀英君にも同じことするつもり?」
「せっかく官吏試験合格したのに、すぐ辞めちゃもったいないじゃない」
「秀英君はどう思う?」
親子で話していても埒が明かないと思ったのか瑚蘭が秀英に振る。秀英は慌てることもなく、さらりと答える。
「俺は婚姻後も働いても構いません」
「ですってよ!晏寿、決めてしまいなさい!」
興奮して晏寿の肩をばんばん叩く。
それを痛いと感じながら、晏寿は困惑していた。
いつも冷静沈着な秀英がそんなことを思っているとは考えてもみなかったのだ。
いきなり街中で求婚され、母親は大喜びし。
そもそも、晏寿の乙女心的にはもっと違う状況で言われたかったところだ。
「もう少し考えさせて」
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