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出会い

理由

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「え?理由?……だって王子様って、すっごい我が儘でなき虫だって聞いたから。そんな王子様とは一緒にいたくないし、遊ぶのも話すのも疲れそうだから会いたくないって思っただけ。……あ、誰にも言わないでね!」

「………あ、そ、そうなんだ……」

「…?どうかしたの、オズ?顔色が悪いけど…」

「な、…何でもない。大丈夫だよ!」

「そう?なら良いんだけど…。あ、あのさ、オズ。暇なんだったら一緒に中庭を探索しない?」

「ぼくと一緒に?」

「うん。ダメ?」


おれが首を傾げて聞くと、ほんのりオズの頬が赤くなった。もしかして風邪かな?風邪だったら無理に連れ出すのは悪いな。


「もし体調が悪いんだったらおれは一人で行くから無理しないでくれ」

「ぼくは元気だから大丈夫!…少しの時間だけなら行けるよ」

「本当!?それじゃ早速行こう!」


おれはうれしくてにっこり笑いオズの手をとって中庭へ走り出した。おれの意識はすぐに中庭に移ったので、オズの顔が真っ赤になったのには気づくことができなかった。



王宮の中庭は家よりも豪華だった。至るところに季節の花が咲き、木の配置なども計算しつくされていてとても凄かった。
迷路のようになっている場所もあり危うく出られなくなりそうになったが、みかねたオズが案内してくれて無事に脱出できた。オズすごい!!たくさん来たことあるのかな?

オズは庭に詳しくてその後も庭を案内してくれて、だいたい全部見終わった頃に誰かの呼ぶ声が聞こえた。



「……あっ、おれそろそろ戻らなきゃ!一緒に遊んでくれてありがとう。また遊ぼうね、オズ!」

「う…うんっ!ぼくも楽しかったよ。また絶対会おうね、それでまた一緒に遊ぼう」




お互い顔を見合せふふっと笑う。



「じゃあな!」

「またね、ライ!」



そしておれはあの部屋に戻った。

──これが、アイツとおれの思い出のはじまりだった。
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