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第2章〜クラウンへの道〜
仲間⑥
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「誰に手紙を書いてるの?」
突然後ろから覗き込まれて「わっ」と驚いた。声の主はルチアだった。私の反応を見て彼女はくすくすと笑った。
壁にかけられた鳩時計を見て驚いた。夢中で手紙を書いていたら1時間が過ぎていた。
「もしかしてラブレター?」とルチアは興味津々だ。
「違うよ、友達に手紙を書いてたんだ」
「ふーん、例の子?」
「うん、これから出しに行ってこよっと」
立ち上がるとルチアが「私も一緒に行っていい?」と訊いた。
「いいよ」
ふとジェロニモも誘おうと思いついた。どのみち団員宛ての手紙や小包を受け取ってこないといけないし、あの量を1人で持つのは大変だし、何より2人をくっつけるいい機会かもしれない。
ジェロニモはトレーニングルームでクラブジャグリングの練習をしていた。ルチアと2人で部屋に入った途端、ジェロニモは動揺したのか投げていた3本のクラブを床に落とした。恥ずかしそうに顔を赤らめクラブを拾うと、ジェロニモは「何か用か?」とぶっきらぼうに尋ねた。
「これからルチアと郵便局に行くんだけど、よかったら君も一緒に行かない?」
ジェロニモはしばらくモゴモゴ言っていたが、「いいぜ、行っても」と頷いて、「部屋からバッグとってくるよ」と忙しなく出て行った。
「何ならジェロニモと君の2人で行ってきてもいいよ」
手紙はルチアに出してもらうように頼めばいい。かえって私は邪魔かもしれないし。
さりげなく気を遣おうとしたもののルチアの反応は微妙だった。
「彼とはあまり話したことがないの。だから、2人だけで行くのはちょっと気が引けるわ……」
「そっか、ならやっぱり3人で行こう。ゴーストバスターズみたいに」
「ふふ、マシュマロマンが出てきたりしてね」
「おかしな奴が出てきたら、ゴーストバスターズに電話だ!」と戯けて映画の歌詞を叫んでみせたら、ルチアは声を上げて笑った。
「あはは、ネロってば可笑しい!」
やがて大きなバッグを持ったジェロニモが戻ってきたので、歌の続きを歌いながら3人で郵便局へ向かった。
郵便局に行く途中、オーロラから返事が来ないからちゃんと手紙が届いているのか分からないと漏らしたら、ジェロニモは「そうか……」と答えたきり黙り込んだ。台詞の空白部分に違和感を感じたものの、深く考えなかった。
郵便局でオーロラに2回目の手紙を出した。彼女の宛名を書く時、どうしてかいつも手が震える。字もミミズみたいに下手くそになる。もっと綺麗にスタイリッシュに綴りたいのに。
ジェロニモから受け取って担いだ荷物はずっしり重くて、歩くたびにバッグの紐が肩に食い込んで痛かった。
「ネロ、一緒に持つわ」
ルチアから有難いオファーをいただいたが、ここで2人で荷物を持つという共同作業をしてしまってはジェロニモを嫌な気持ちにさせてしまうかもしれない。
「大丈夫、僕はこう見えて力持ちなんだ」
右腕を折りマッスルポーズを決めると、「嘘つけ、女みたいに細い腕のくせに」とジェロニモが揶揄った。頭にきたから「君とそう変わんないよ」と言い返してあっかんべーをした。まるでコリンズのようだと思いながら。
3人でアイスクリーム専門店のテラス席で船の形の皿に山盛りになったアイスをつついている途中、胃腸が冷えてパーフェクトストームだと嘘をついて、苦しそうにお腹を抑えてみせ2人を残したまま店を飛び出した。これで邪魔者は消えたから、ジェロニモはルチアと2人きりでデートを楽しめるってわけだ。私は恋のキューピッドならぬ恋のクラウンだ。なんて。
突然後ろから覗き込まれて「わっ」と驚いた。声の主はルチアだった。私の反応を見て彼女はくすくすと笑った。
壁にかけられた鳩時計を見て驚いた。夢中で手紙を書いていたら1時間が過ぎていた。
「もしかしてラブレター?」とルチアは興味津々だ。
「違うよ、友達に手紙を書いてたんだ」
「ふーん、例の子?」
「うん、これから出しに行ってこよっと」
立ち上がるとルチアが「私も一緒に行っていい?」と訊いた。
「いいよ」
ふとジェロニモも誘おうと思いついた。どのみち団員宛ての手紙や小包を受け取ってこないといけないし、あの量を1人で持つのは大変だし、何より2人をくっつけるいい機会かもしれない。
ジェロニモはトレーニングルームでクラブジャグリングの練習をしていた。ルチアと2人で部屋に入った途端、ジェロニモは動揺したのか投げていた3本のクラブを床に落とした。恥ずかしそうに顔を赤らめクラブを拾うと、ジェロニモは「何か用か?」とぶっきらぼうに尋ねた。
「これからルチアと郵便局に行くんだけど、よかったら君も一緒に行かない?」
ジェロニモはしばらくモゴモゴ言っていたが、「いいぜ、行っても」と頷いて、「部屋からバッグとってくるよ」と忙しなく出て行った。
「何ならジェロニモと君の2人で行ってきてもいいよ」
手紙はルチアに出してもらうように頼めばいい。かえって私は邪魔かもしれないし。
さりげなく気を遣おうとしたもののルチアの反応は微妙だった。
「彼とはあまり話したことがないの。だから、2人だけで行くのはちょっと気が引けるわ……」
「そっか、ならやっぱり3人で行こう。ゴーストバスターズみたいに」
「ふふ、マシュマロマンが出てきたりしてね」
「おかしな奴が出てきたら、ゴーストバスターズに電話だ!」と戯けて映画の歌詞を叫んでみせたら、ルチアは声を上げて笑った。
「あはは、ネロってば可笑しい!」
やがて大きなバッグを持ったジェロニモが戻ってきたので、歌の続きを歌いながら3人で郵便局へ向かった。
郵便局に行く途中、オーロラから返事が来ないからちゃんと手紙が届いているのか分からないと漏らしたら、ジェロニモは「そうか……」と答えたきり黙り込んだ。台詞の空白部分に違和感を感じたものの、深く考えなかった。
郵便局でオーロラに2回目の手紙を出した。彼女の宛名を書く時、どうしてかいつも手が震える。字もミミズみたいに下手くそになる。もっと綺麗にスタイリッシュに綴りたいのに。
ジェロニモから受け取って担いだ荷物はずっしり重くて、歩くたびにバッグの紐が肩に食い込んで痛かった。
「ネロ、一緒に持つわ」
ルチアから有難いオファーをいただいたが、ここで2人で荷物を持つという共同作業をしてしまってはジェロニモを嫌な気持ちにさせてしまうかもしれない。
「大丈夫、僕はこう見えて力持ちなんだ」
右腕を折りマッスルポーズを決めると、「嘘つけ、女みたいに細い腕のくせに」とジェロニモが揶揄った。頭にきたから「君とそう変わんないよ」と言い返してあっかんべーをした。まるでコリンズのようだと思いながら。
3人でアイスクリーム専門店のテラス席で船の形の皿に山盛りになったアイスをつついている途中、胃腸が冷えてパーフェクトストームだと嘘をついて、苦しそうにお腹を抑えてみせ2人を残したまま店を飛び出した。これで邪魔者は消えたから、ジェロニモはルチアと2人きりでデートを楽しめるってわけだ。私は恋のキューピッドならぬ恋のクラウンだ。なんて。
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