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第2章 第2の事件
5話 守永の事情聴取からの解放後《3/25修正》
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「とりあえず事情聴取は以上になります。何かありましたら、またお話の方伺いますので」
「えぇ、今日の所はこの辺で」
「お疲れ様でしたー」
長い事情聴取からようやく解放された第一発見者の守永成一。守永の顔には疲れの色が見えていた。
──ふー。ようやく解放されたわー。長かったわー、ほんまに。
守永は疲れを払拭すべく新鮮な酸素を脳内に通わせる為に大きく欠伸と伸びをした。守永の脳内には「仕事に早く戻らねば!」「この先また事情聴取受ける事になるんかなぁ」と言う幸先の不安が真っ先に過った。ナップサックの口を開いて、スマホを取り出し分店の方に電話をしようとしたその時。厳重に密閉された例のコンビニ袋が顔を覗かせていた。
──ゲッ。糞を密閉してたん忘れてたわ。
守永は顔をしかめていた。その顔からは、今にも漏れ出そうな臭い匂いと糞を密閉した袋がまだ生温かい為にその不快指数が上昇しているのが感じ取られた。
──くそっ! ポリ公め。ちゃんと中身改めていたはずなのに、綺麗に、糞入り袋を放置決めやがって! せめて代わりに処分してくれても……。
──まぁ、とにかく。休み取ろう。流石に今日は疲れた。もうこんなに遅いし。
※※※
「さぁて今日は羽伸ばすかぁ」
守永成一は友人の青戸祐哉達数人を誘って栄にある木幡運動公園に来ていた。此処は芝生が広がり、敷地面積がテニスコート十四、五個分とかなり広く、遊具なども備え付けられている。
今日守永成一は学生時代にしていたサッカーをする事になっていた。サッカーのプチ試合をする人数の十一人に満たないがリフティングやドリブルの追い抜きなど、昔鍛えていたサッカーの小技を魅せつけるように出していた。
「喉乾いたし、ちょっくら休憩してるわ!」
「おう、しっかり喉でも潤しとけよぅー」
「わーってる(わかっている)」
守永はサッカーで夢中で汗をかいて勤しむ友人達を尻目に、運動公園の隅の方にちょこんと佇むベンチに座って、がぶがぶ用意していた自前の水筒に口をつけて飲み干そうという勢いで飲んだ。
──はぁ。疲れた身体に冷たいお茶が染み渡る~。ぷはー。
飲んだついでに、と言う理由から運動公園の砂利道に置かれた──此処から二百八十メートルほど先にある木組み造のトイレに向かった。
──先ほど飲み過ぎたし、お腹冷やす前に……
事件に遭遇した時のような以前の反省を踏まえて「同じ過ちをしない為に」と言う信条からの行動だった。
守永が木組み造のトイレに向かう最中、トイレのある方角から、きゃあーって言う女性の悲鳴が運動公園一帯まで響いた。友人達も悲鳴を聞き「何事か?」とサッカーボールを蹴っ飛ばしたまま、トイレのある方角を目指した。守永は友人達が向かうより先にトイレに小走りで向かうが、トイレから出てきて去っていく一人のマスクを被った白と黒のモノトーンコーデをしている長い髪をした人の立ち振舞いに何ら悲鳴に反応したような素振りも驚いた素振りもなく、この人は驚いていたはずでは? と不審に思いつつもとりあえずトイレに到着した。
トイレで起きたであろう異変は男女共用スペースのバリアフリーのトイレの取っ手の汚れを見れば明らかだった。取っ手にトイレには似つかわしくない血痕が付着していたのだ。守永の身体に緊張が走る。
──ヤバイ。開けるな! 此処から立ち去れ。
守永の脳に電気信号でそう伝達されたような錯覚に陥った。この扉の先に何が潜んでいるのか? ──事件だと直感的に当てるのにはあまりにも容易。守永は一度殺人事件の第一発見者になった経緯があるからだ。
──と、とりあえず友人達を呼ぼう。
「オーイ。さっきの悲鳴は何事?」
「い、い、いや。さぁね? とりあえずこの取っ手を見てくれ」
守永は泣きそうな震える声と指で指して友人達に指示した。友人達は取っ手を見るか否かわからない、モノの数秒の瞬きの間のうちに扉を開けた──。
「う、うわぁあああ!」
「えぇ、今日の所はこの辺で」
「お疲れ様でしたー」
長い事情聴取からようやく解放された第一発見者の守永成一。守永の顔には疲れの色が見えていた。
──ふー。ようやく解放されたわー。長かったわー、ほんまに。
守永は疲れを払拭すべく新鮮な酸素を脳内に通わせる為に大きく欠伸と伸びをした。守永の脳内には「仕事に早く戻らねば!」「この先また事情聴取受ける事になるんかなぁ」と言う幸先の不安が真っ先に過った。ナップサックの口を開いて、スマホを取り出し分店の方に電話をしようとしたその時。厳重に密閉された例のコンビニ袋が顔を覗かせていた。
──ゲッ。糞を密閉してたん忘れてたわ。
守永は顔をしかめていた。その顔からは、今にも漏れ出そうな臭い匂いと糞を密閉した袋がまだ生温かい為にその不快指数が上昇しているのが感じ取られた。
──くそっ! ポリ公め。ちゃんと中身改めていたはずなのに、綺麗に、糞入り袋を放置決めやがって! せめて代わりに処分してくれても……。
──まぁ、とにかく。休み取ろう。流石に今日は疲れた。もうこんなに遅いし。
※※※
「さぁて今日は羽伸ばすかぁ」
守永成一は友人の青戸祐哉達数人を誘って栄にある木幡運動公園に来ていた。此処は芝生が広がり、敷地面積がテニスコート十四、五個分とかなり広く、遊具なども備え付けられている。
今日守永成一は学生時代にしていたサッカーをする事になっていた。サッカーのプチ試合をする人数の十一人に満たないがリフティングやドリブルの追い抜きなど、昔鍛えていたサッカーの小技を魅せつけるように出していた。
「喉乾いたし、ちょっくら休憩してるわ!」
「おう、しっかり喉でも潤しとけよぅー」
「わーってる(わかっている)」
守永はサッカーで夢中で汗をかいて勤しむ友人達を尻目に、運動公園の隅の方にちょこんと佇むベンチに座って、がぶがぶ用意していた自前の水筒に口をつけて飲み干そうという勢いで飲んだ。
──はぁ。疲れた身体に冷たいお茶が染み渡る~。ぷはー。
飲んだついでに、と言う理由から運動公園の砂利道に置かれた──此処から二百八十メートルほど先にある木組み造のトイレに向かった。
──先ほど飲み過ぎたし、お腹冷やす前に……
事件に遭遇した時のような以前の反省を踏まえて「同じ過ちをしない為に」と言う信条からの行動だった。
守永が木組み造のトイレに向かう最中、トイレのある方角から、きゃあーって言う女性の悲鳴が運動公園一帯まで響いた。友人達も悲鳴を聞き「何事か?」とサッカーボールを蹴っ飛ばしたまま、トイレのある方角を目指した。守永は友人達が向かうより先にトイレに小走りで向かうが、トイレから出てきて去っていく一人のマスクを被った白と黒のモノトーンコーデをしている長い髪をした人の立ち振舞いに何ら悲鳴に反応したような素振りも驚いた素振りもなく、この人は驚いていたはずでは? と不審に思いつつもとりあえずトイレに到着した。
トイレで起きたであろう異変は男女共用スペースのバリアフリーのトイレの取っ手の汚れを見れば明らかだった。取っ手にトイレには似つかわしくない血痕が付着していたのだ。守永の身体に緊張が走る。
──ヤバイ。開けるな! 此処から立ち去れ。
守永の脳に電気信号でそう伝達されたような錯覚に陥った。この扉の先に何が潜んでいるのか? ──事件だと直感的に当てるのにはあまりにも容易。守永は一度殺人事件の第一発見者になった経緯があるからだ。
──と、とりあえず友人達を呼ぼう。
「オーイ。さっきの悲鳴は何事?」
「い、い、いや。さぁね? とりあえずこの取っ手を見てくれ」
守永は泣きそうな震える声と指で指して友人達に指示した。友人達は取っ手を見るか否かわからない、モノの数秒の瞬きの間のうちに扉を開けた──。
「う、うわぁあああ!」
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