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第1章 事件の始まり
4話 迷警部補による聞き込み
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──いやー、ようやく俺ら警部(補)の出番ですかいな。あの鑑識の猫田の出鼻へし折ってやろうと鑑識の見落としを探したけど、だめだめ。
鑑識の猫田は近くに居ないが、鑑識の猫田に聞こえるようなやけに大きな独り言を呟いて、両腕を頭のある方に伸ばして、捜査会議で提示された情報に目新しさがない事を確認すると、捜査会議が余程退屈であったのか? 欠伸をふわぁーっとしながら席を立った。
「さて、聞き込みしますかー!」
永瀬警部補らによる聞き込みが遺体発見現場の久屋大通駅周辺を中心に行われる運びとなった。警部達の仕事は事件の鍵となる目撃証言を得ることである。
事件現場近くの歩道で若そうな女性と散歩をする犬の姿がある。
「すみませーん! あのー!私こういう者ですけど、今駅で起きた事件の聞き込みをしているんですが!」
そう永瀬警部補は警察手帳を見せて、自身が警部補である事を名乗り、女性ではなく犬に向かって話しだした。
ウゥー
「あのぅー! ここら辺で起きた殺人事件について何かお伺いしたいんですが……」
ワンワン、グルル
「ちょっと怒鳴らないで下さいよ。あ・の・ぅ~……」
「いや、警部補さん? それは──私の飼い犬のジョーダンですけど?」
「え、えぇ?」
「いや、えぇ?」
「ど、どどど、どうされたんで? 私はちゃんと聞き込みしてますが!」
「いや、ぷっ、あはは。警部補さん面白い! 聞き込みするなら、ちゃんと人間の私に聞き込みして下さいね」
「こりゃ、失敬失敬」
永瀬警部補は聞き込みをする時の配慮として、話しやすい空気作りを計らずも行う事に成功したらしい。この何処か抜けてて、だけど結果として事態が好転する──そんな運や才能を永瀬警部補は持ち合わせていた。
「んー、私ですか? 確かにぃ、普段よくこの久屋大通駅の近くで愛犬と散歩してますがねぇ。何か、いつもと違った事……変わった事……ですか? うーん……」
「何か無いものですかねぇ……どんなに些細な事でも気付いた事を教えて頂けるとありがたいんですがねぇ」
「急に言われても……ねぇ」
「そうですか……」
永瀬警部補の質問に対して、永瀬警部補の求めるような返答が、女性の口から発せられる事がなく諦めかけた時、女性の口からとある情報が発せられた。
「そう言えば、うちの愛犬がこんなに他所の人に向かって吠える所見るの初めてかもしれないですねぇ。何せうちの愛犬は温厚な性格で人懐っこいんですよ」
「ん? 確かに妙に私を拒絶しているように感じられますねぇ。このジョーダン君は何か嫌いなモノでもありますか?」
「そうですねー! うちの愛犬が嫌いなモノと言えば、血生臭い匂いがだめですねぇ」
「ほうほう。血生臭い匂いとは? こりゃまた何で?」
「以前、自宅の庭でBBQした時に牛肉のドリップ(血液)が大量に出てジョーダン君の方に飛び散ってねぇ~。」
「なるほど、そうでしたか!」
「けど、その時ぐらいですよ? うちの愛犬が吠えたのは」
永瀬警部補は、犬のジョーダン君は血液がどうもダメらしいと判明した。自身の臭いを嗅いでみると、微かに血液の臭いが付着している。永瀬警部補は、自身の身体や衣服が血生臭いまま人前で話している事を笑って誤魔化しながら、言葉を切り出して話を逸らそうとした。
「お話ありがとうございました! 手間取らせて申し訳ありません」
「いえいえ、こちらこそ、事件が早く解決しないと、外出怖いですし。しかし、散歩に連れていかないままなのは、うちのジョーダンの健康に悪いですし。一刻も早く事件を解決して下さいねー」
上手いこと犬のジョーダン君の話で聞き込みが進まなかった永瀬警部補であった。
鑑識の猫田は近くに居ないが、鑑識の猫田に聞こえるようなやけに大きな独り言を呟いて、両腕を頭のある方に伸ばして、捜査会議で提示された情報に目新しさがない事を確認すると、捜査会議が余程退屈であったのか? 欠伸をふわぁーっとしながら席を立った。
「さて、聞き込みしますかー!」
永瀬警部補らによる聞き込みが遺体発見現場の久屋大通駅周辺を中心に行われる運びとなった。警部達の仕事は事件の鍵となる目撃証言を得ることである。
事件現場近くの歩道で若そうな女性と散歩をする犬の姿がある。
「すみませーん! あのー!私こういう者ですけど、今駅で起きた事件の聞き込みをしているんですが!」
そう永瀬警部補は警察手帳を見せて、自身が警部補である事を名乗り、女性ではなく犬に向かって話しだした。
ウゥー
「あのぅー! ここら辺で起きた殺人事件について何かお伺いしたいんですが……」
ワンワン、グルル
「ちょっと怒鳴らないで下さいよ。あ・の・ぅ~……」
「いや、警部補さん? それは──私の飼い犬のジョーダンですけど?」
「え、えぇ?」
「いや、えぇ?」
「ど、どどど、どうされたんで? 私はちゃんと聞き込みしてますが!」
「いや、ぷっ、あはは。警部補さん面白い! 聞き込みするなら、ちゃんと人間の私に聞き込みして下さいね」
「こりゃ、失敬失敬」
永瀬警部補は聞き込みをする時の配慮として、話しやすい空気作りを計らずも行う事に成功したらしい。この何処か抜けてて、だけど結果として事態が好転する──そんな運や才能を永瀬警部補は持ち合わせていた。
「んー、私ですか? 確かにぃ、普段よくこの久屋大通駅の近くで愛犬と散歩してますがねぇ。何か、いつもと違った事……変わった事……ですか? うーん……」
「何か無いものですかねぇ……どんなに些細な事でも気付いた事を教えて頂けるとありがたいんですがねぇ」
「急に言われても……ねぇ」
「そうですか……」
永瀬警部補の質問に対して、永瀬警部補の求めるような返答が、女性の口から発せられる事がなく諦めかけた時、女性の口からとある情報が発せられた。
「そう言えば、うちの愛犬がこんなに他所の人に向かって吠える所見るの初めてかもしれないですねぇ。何せうちの愛犬は温厚な性格で人懐っこいんですよ」
「ん? 確かに妙に私を拒絶しているように感じられますねぇ。このジョーダン君は何か嫌いなモノでもありますか?」
「そうですねー! うちの愛犬が嫌いなモノと言えば、血生臭い匂いがだめですねぇ」
「ほうほう。血生臭い匂いとは? こりゃまた何で?」
「以前、自宅の庭でBBQした時に牛肉のドリップ(血液)が大量に出てジョーダン君の方に飛び散ってねぇ~。」
「なるほど、そうでしたか!」
「けど、その時ぐらいですよ? うちの愛犬が吠えたのは」
永瀬警部補は、犬のジョーダン君は血液がどうもダメらしいと判明した。自身の臭いを嗅いでみると、微かに血液の臭いが付着している。永瀬警部補は、自身の身体や衣服が血生臭いまま人前で話している事を笑って誤魔化しながら、言葉を切り出して話を逸らそうとした。
「お話ありがとうございました! 手間取らせて申し訳ありません」
「いえいえ、こちらこそ、事件が早く解決しないと、外出怖いですし。しかし、散歩に連れていかないままなのは、うちのジョーダンの健康に悪いですし。一刻も早く事件を解決して下さいねー」
上手いこと犬のジョーダン君の話で聞き込みが進まなかった永瀬警部補であった。
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