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第4章 第3の事件へ
20話 舩木梓乃による一報
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娘のひろ子が姿を消してから半日程度経った翌日の午後二時頃、母親の舩木梓乃は娘が立ち寄りそうな場所を捜索していた。
──あっ、そういえば。あそこに電話して聞いてみようかしら。
母親の梓乃は、娘が姿を眩ませる前に立ち寄ったであろう家庭教師塾fight‐mensの栄店に、電話を掛けた。
「お電話ありがとうございます! 家庭教師塾のfight‐mensの栄店です!」
「もしもし! 舩木ひろ子の母親ですけど。娘が……娘が昨日から帰ってこないんです。警察も呼んだのですが……娘が最後に其方に行ったのはいつ頃でしょうか」
「は、はい? ケ、警察? そうですね……。確認取りますね。少々お待ち下さい」
始めに電話を取り次いだのは塾長であった。偶々出勤して別の子の指導をしていた守永が取り次ぐ事になった。
「舩木……ひろ……子さんの昨日の担当者は……っと。今は不在だな? 今は守永さんだな」
「おーい、守永さん。舩木ひろ子さんの親御さんから電話」
「はい」
「お待たせしました。ただいま電話を取り次ぎました私、舩木ひろ子さんの家庭教師の守永です」
「あ、もしもし~。──と言う訳なんですよ。昨日娘が其方に通ったと思いますが、見ていませんか?」
「あ、はい。少々お待ち下さい。ひろ子さんの指導の引き継ぎの準備に終われていまして、実は此方の塾では直接は私は指導をしておりませんので」
「そうですか……」
「しかしながら、昨日のお昼過ぎですかね? ひろ子さんと思わしき女の子が久屋大通駅近くの道を独りで歩いているのを目撃しましたねー。あれがひろ子さんかどうか……。遠目でしたし、おまけに後ろ姿しか見ておりませんでしたので。なんとも力添えできなくてすみませ……っ」
「ですよね……わかりま……」
「……って、あっ! 何やら白い車にその女の子が乗せられていたような気がしますね」
「え、ひろ子を見たんですか? 白い車? 乗せられていた? 何ですか! それは」
「いや、落ち着いて下さい! お母様。記憶が必ずしも定かではありませんので。又、ただ少し乗せられていたような風に違和感をちょっぴり。ちょっぴりですが、感じただけで。今思えば! 私が見かけたのは、あれが最期だったような気がするだけですよ! 不安がらせて申し訳ありません」
「そうですか……」
守永は自らが行ったひろ子さんの親御さんにした応対の悪さを反省していた。子供が帰宅しておらず心配している所に、火に油を注ぐような事をした為である。一方で母親の梓乃の脳裏には「誘拐」と言う不吉な二文字がよぎっていた。
──あっ、そういえば。あそこに電話して聞いてみようかしら。
母親の梓乃は、娘が姿を眩ませる前に立ち寄ったであろう家庭教師塾fight‐mensの栄店に、電話を掛けた。
「お電話ありがとうございます! 家庭教師塾のfight‐mensの栄店です!」
「もしもし! 舩木ひろ子の母親ですけど。娘が……娘が昨日から帰ってこないんです。警察も呼んだのですが……娘が最後に其方に行ったのはいつ頃でしょうか」
「は、はい? ケ、警察? そうですね……。確認取りますね。少々お待ち下さい」
始めに電話を取り次いだのは塾長であった。偶々出勤して別の子の指導をしていた守永が取り次ぐ事になった。
「舩木……ひろ……子さんの昨日の担当者は……っと。今は不在だな? 今は守永さんだな」
「おーい、守永さん。舩木ひろ子さんの親御さんから電話」
「はい」
「お待たせしました。ただいま電話を取り次ぎました私、舩木ひろ子さんの家庭教師の守永です」
「あ、もしもし~。──と言う訳なんですよ。昨日娘が其方に通ったと思いますが、見ていませんか?」
「あ、はい。少々お待ち下さい。ひろ子さんの指導の引き継ぎの準備に終われていまして、実は此方の塾では直接は私は指導をしておりませんので」
「そうですか……」
「しかしながら、昨日のお昼過ぎですかね? ひろ子さんと思わしき女の子が久屋大通駅近くの道を独りで歩いているのを目撃しましたねー。あれがひろ子さんかどうか……。遠目でしたし、おまけに後ろ姿しか見ておりませんでしたので。なんとも力添えできなくてすみませ……っ」
「ですよね……わかりま……」
「……って、あっ! 何やら白い車にその女の子が乗せられていたような気がしますね」
「え、ひろ子を見たんですか? 白い車? 乗せられていた? 何ですか! それは」
「いや、落ち着いて下さい! お母様。記憶が必ずしも定かではありませんので。又、ただ少し乗せられていたような風に違和感をちょっぴり。ちょっぴりですが、感じただけで。今思えば! 私が見かけたのは、あれが最期だったような気がするだけですよ! 不安がらせて申し訳ありません」
「そうですか……」
守永は自らが行ったひろ子さんの親御さんにした応対の悪さを反省していた。子供が帰宅しておらず心配している所に、火に油を注ぐような事をした為である。一方で母親の梓乃の脳裏には「誘拐」と言う不吉な二文字がよぎっていた。
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