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第4章 第3の事件へ
25話 犯人からの要求《一部を修正しました》
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母親の梓乃は警部達が遠巻きで見ている中、誘拐犯からの指示があったように、一人に見せかけて鶴舞線の電車に乗車した。
電車内には確かに犯人が指示した通り、座椅子に白い紙袋が置かれていた。
(こ、これをどうしたら良いのだろうか?)
母親の梓乃がそう周囲にばれないように口に出すと、耳に付けるタイプの小型の無線送受信機が梓乃の声を拾って、そのマイクの拾う声に耳を澄ませる警部達に届いた。
「大丈夫です。犯人の要求が次にいつ来るか分からないですが、気長に待ちましょう」
警部達が小型の無線送受信機を使用し、母親の梓乃の使用する小型無線受信機に安心を与える発言を送信した。
母親の梓乃が、どうしたら良いのか、次の指示がしばらく来る気配もなく電車の発車時間が迫ろうとしていた。母親の梓乃が、次はどうしたら良いのだろうか? と思案して、白い紙袋の中を見ると──有線のイヤホンとスマホが入れられていた。
誘拐犯が用意したスマホから非通知の着信が鳴り響いた。
「そのスマホと耳に、イヤホンを挿して聴きながら次の指示に従え。但し指示に従わなければ娘を即刻殺す」
「挿、挿しました」
「現金三千八百万円はこの紙袋に全て詰め替えよ。御器所駅で、桜通線に乗り換えて、久屋大通駅から名城線に乗り換えて、上前津駅で降りろ。名城線にある道中の栄駅の公衆トイレに立ち寄ってそこの共用スペースに置かれた鞄の中身と三千八百万円を全て入れ換えろ。上前津駅の女性用公衆トイレの個室の隅に紙袋がある。次の指示はその紙袋の中を見ろ」
そう誘拐犯は告げると、静かに電話を切った。母親の梓乃は誘拐犯の指示通り、イヤホンを耳に挿しながら上前津駅で降りて、上前津駅の公衆トイレにたどり着く。
「紙袋はっと。あったわ」
母親の梓乃は、公衆トイレの便器の置かれた端の方に、誰かに忘れ去られたようにちょこんと置かれた同一のデザインの白い紙袋が置かれていた。
母親の梓乃の心には大きな不安がのし掛かっていたが、新たな紙袋の中身を見ると誘拐された娘の事を心配しての不安だけではなく犯人の要求が梓乃の心を揺さぶっていた。
紙袋の中には次なる指示の書かれた手紙。そして、今挿しているイヤホンと同一製品のイヤホンや、生理用品やティッシュ等が入れられていた。
手紙によると要求は以下の通りである。──普段使いの鞄の中の荷物とこの紙袋の中身を全て入れ換えよ。又、現在耳にしているイヤホンは挿し替えてここに置き、今回使用したスマホはここに置いて行け。そして、豊科工業の廃工場に向かえ。
(娘は? 娘のひろ子は?)
母親の梓乃は娘の安否を気遣うが、警部達の力を借りられず独りでは太刀打ちできない現状を嘆いて、つんざくような泣き顔を見せるも、ぐっと堪えて誘拐犯の要求に答えようとしていた。
※※警部達目線※※
挿、挿しました──
「聞こえますか? 梓乃さん!」
「くそっ! これじゃあ、我々からの指示が通らない」
どうやら母親の梓乃が犯人の指示に従い、耳にイヤホンを挿した。結果として小型の無線受信機を外された為に、警部達の指示が通らず、又、犯人の指示も聞こえなくなったらしい。遠くから見守っていた警部達は母親の梓乃の行動を満足に掴めない悔しさで鉄を噛む思いをしていた。
電車内には確かに犯人が指示した通り、座椅子に白い紙袋が置かれていた。
(こ、これをどうしたら良いのだろうか?)
母親の梓乃がそう周囲にばれないように口に出すと、耳に付けるタイプの小型の無線送受信機が梓乃の声を拾って、そのマイクの拾う声に耳を澄ませる警部達に届いた。
「大丈夫です。犯人の要求が次にいつ来るか分からないですが、気長に待ちましょう」
警部達が小型の無線送受信機を使用し、母親の梓乃の使用する小型無線受信機に安心を与える発言を送信した。
母親の梓乃が、どうしたら良いのか、次の指示がしばらく来る気配もなく電車の発車時間が迫ろうとしていた。母親の梓乃が、次はどうしたら良いのだろうか? と思案して、白い紙袋の中を見ると──有線のイヤホンとスマホが入れられていた。
誘拐犯が用意したスマホから非通知の着信が鳴り響いた。
「そのスマホと耳に、イヤホンを挿して聴きながら次の指示に従え。但し指示に従わなければ娘を即刻殺す」
「挿、挿しました」
「現金三千八百万円はこの紙袋に全て詰め替えよ。御器所駅で、桜通線に乗り換えて、久屋大通駅から名城線に乗り換えて、上前津駅で降りろ。名城線にある道中の栄駅の公衆トイレに立ち寄ってそこの共用スペースに置かれた鞄の中身と三千八百万円を全て入れ換えろ。上前津駅の女性用公衆トイレの個室の隅に紙袋がある。次の指示はその紙袋の中を見ろ」
そう誘拐犯は告げると、静かに電話を切った。母親の梓乃は誘拐犯の指示通り、イヤホンを耳に挿しながら上前津駅で降りて、上前津駅の公衆トイレにたどり着く。
「紙袋はっと。あったわ」
母親の梓乃は、公衆トイレの便器の置かれた端の方に、誰かに忘れ去られたようにちょこんと置かれた同一のデザインの白い紙袋が置かれていた。
母親の梓乃の心には大きな不安がのし掛かっていたが、新たな紙袋の中身を見ると誘拐された娘の事を心配しての不安だけではなく犯人の要求が梓乃の心を揺さぶっていた。
紙袋の中には次なる指示の書かれた手紙。そして、今挿しているイヤホンと同一製品のイヤホンや、生理用品やティッシュ等が入れられていた。
手紙によると要求は以下の通りである。──普段使いの鞄の中の荷物とこの紙袋の中身を全て入れ換えよ。又、現在耳にしているイヤホンは挿し替えてここに置き、今回使用したスマホはここに置いて行け。そして、豊科工業の廃工場に向かえ。
(娘は? 娘のひろ子は?)
母親の梓乃は娘の安否を気遣うが、警部達の力を借りられず独りでは太刀打ちできない現状を嘆いて、つんざくような泣き顔を見せるも、ぐっと堪えて誘拐犯の要求に答えようとしていた。
※※警部達目線※※
挿、挿しました──
「聞こえますか? 梓乃さん!」
「くそっ! これじゃあ、我々からの指示が通らない」
どうやら母親の梓乃が犯人の指示に従い、耳にイヤホンを挿した。結果として小型の無線受信機を外された為に、警部達の指示が通らず、又、犯人の指示も聞こえなくなったらしい。遠くから見守っていた警部達は母親の梓乃の行動を満足に掴めない悔しさで鉄を噛む思いをしていた。
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