37 / 39
第6章 事件解決編その2~すべての解答編~
36話 TVの報道
しおりを挟む
「おーい、守永!」
「何だ?」
「これ、見てみろ!」
今、守永は青戸の家に来ている。事件が一段落するまで二人はおちおちできなかったのだ。ようやく二人は、事情聴取だのなんだのと長い時間精神をすり減らして気が気でない生活から解放されたのだ。それを目の前のTVのニュースが物語っていた。
「──本日は特別ゲストを招いて報道をお送りします。ここ数週間世間を騒がせていた栄駅周辺で起きた連続殺人事件は一時は、紫垣順也・舩木梓乃に共犯で犯行に及んだ容疑がかかり、逮捕。そして公判が行われましたが……。実はこの二人の逮捕及び公判の裏には、司法取引があった模様です。ですよね? 永瀬警部補」
「はい。犯人の特定はおおよそ第二の遺体発見現場の第一発見者の証言や豊科工業の経営状態の悪化の背景等の捜査から豊科誠子に断定できようモノが、第一の殺人事件の祐川勇司の殺害理由が、豊科工業関連の怨恨だとわかっていても夫の豊科忠嗣を殺す理由が見つからず……。又、豊科誠子がわざわざ捕まるリスクを犯しても虚偽誘拐を行い、収賄・贈賄及び情報漏洩の事実を糾弾する必要があったのか? その理由をあらゆる方面から考えて、紫垣順也及び舩木梓乃に対する復讐がまだ残っているのではないか? と考えて、紫垣順也及び舩木梓乃に対し、囮をかって出てもらいました。万全に次ぐ万全を尽くして荷物検査や紫垣順也らの体に念のため、細工を施しました」
「成る程、その細工というのは?」
「紫垣順也及び舩木梓乃の上衣の下に固い生地の鎖帷子に近いモノを着せました。遺体にあったようなナイフの傷痕? を警戒しての護身の為です。又、裁判所の内外には警察官を逃走防止に用意してましたが……」
永瀬警部補は苦笑しながら話を続けた。
「まさか、筆記用具の中に発煙筒のようなものと変形型ナイフを擬態させて隠し持っているとはね」
「思いがけない手口でしたね」
「えぇ、本当にその通りですよ」
「それでどうなりましたか?永瀬警部補」
「早い話が、紫垣順也が襲われ、十数回刺される事になりましたが、軽傷で済みましたよ! 発煙筒の騒ぎで警察官を内部にも潜伏させておきましたが、なにぶん、平和ボケしてたようでしてな! わはは。我ら警察官は」
永瀬警部補は豪快に作戦の過程で失態が生じた恥を笑い飛ばした。
「まぁ! 例え豊科誠子が犯人ではなく、動きを見せなかったとしても! そう、私の推理が誤っていたとしても、司法取引を餌に紫垣順也及び舩木梓乃を引っ張る事ができるので、万歳ですよ」
「流石、永瀬警部補です。という訳で、本日のゲストでした!」
「成る程ねー! そういう背景が逮捕劇にあったのか」
「みたいだなー」
「さて、仕事、仕事ー。明日の準備しないけないから帰るわ! ほな!」
「おぅ! またな!」
こうして、守永は青戸の家を出て、再び傘を忘れて雨に身体を濡らし脱糞するはめにならないように、余裕をもって明日の出勤に間に合わせるべく家路に着いたのである。
「何だ?」
「これ、見てみろ!」
今、守永は青戸の家に来ている。事件が一段落するまで二人はおちおちできなかったのだ。ようやく二人は、事情聴取だのなんだのと長い時間精神をすり減らして気が気でない生活から解放されたのだ。それを目の前のTVのニュースが物語っていた。
「──本日は特別ゲストを招いて報道をお送りします。ここ数週間世間を騒がせていた栄駅周辺で起きた連続殺人事件は一時は、紫垣順也・舩木梓乃に共犯で犯行に及んだ容疑がかかり、逮捕。そして公判が行われましたが……。実はこの二人の逮捕及び公判の裏には、司法取引があった模様です。ですよね? 永瀬警部補」
「はい。犯人の特定はおおよそ第二の遺体発見現場の第一発見者の証言や豊科工業の経営状態の悪化の背景等の捜査から豊科誠子に断定できようモノが、第一の殺人事件の祐川勇司の殺害理由が、豊科工業関連の怨恨だとわかっていても夫の豊科忠嗣を殺す理由が見つからず……。又、豊科誠子がわざわざ捕まるリスクを犯しても虚偽誘拐を行い、収賄・贈賄及び情報漏洩の事実を糾弾する必要があったのか? その理由をあらゆる方面から考えて、紫垣順也及び舩木梓乃に対する復讐がまだ残っているのではないか? と考えて、紫垣順也及び舩木梓乃に対し、囮をかって出てもらいました。万全に次ぐ万全を尽くして荷物検査や紫垣順也らの体に念のため、細工を施しました」
「成る程、その細工というのは?」
「紫垣順也及び舩木梓乃の上衣の下に固い生地の鎖帷子に近いモノを着せました。遺体にあったようなナイフの傷痕? を警戒しての護身の為です。又、裁判所の内外には警察官を逃走防止に用意してましたが……」
永瀬警部補は苦笑しながら話を続けた。
「まさか、筆記用具の中に発煙筒のようなものと変形型ナイフを擬態させて隠し持っているとはね」
「思いがけない手口でしたね」
「えぇ、本当にその通りですよ」
「それでどうなりましたか?永瀬警部補」
「早い話が、紫垣順也が襲われ、十数回刺される事になりましたが、軽傷で済みましたよ! 発煙筒の騒ぎで警察官を内部にも潜伏させておきましたが、なにぶん、平和ボケしてたようでしてな! わはは。我ら警察官は」
永瀬警部補は豪快に作戦の過程で失態が生じた恥を笑い飛ばした。
「まぁ! 例え豊科誠子が犯人ではなく、動きを見せなかったとしても! そう、私の推理が誤っていたとしても、司法取引を餌に紫垣順也及び舩木梓乃を引っ張る事ができるので、万歳ですよ」
「流石、永瀬警部補です。という訳で、本日のゲストでした!」
「成る程ねー! そういう背景が逮捕劇にあったのか」
「みたいだなー」
「さて、仕事、仕事ー。明日の準備しないけないから帰るわ! ほな!」
「おぅ! またな!」
こうして、守永は青戸の家を出て、再び傘を忘れて雨に身体を濡らし脱糞するはめにならないように、余裕をもって明日の出勤に間に合わせるべく家路に着いたのである。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です
ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」
「では、契約結婚といたしましょう」
そうして今の夫と結婚したシドローネ。
夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。
彼には愛するひとがいる。
それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?
Zinnia‘s Miracle 〜25年目の奇跡
弘生
現代文学
なんだか優しいお話が書きたくなって、連載始めました。
保護猫「ジン」が、時間と空間を超えて見守り語り続けた「柊家」の人々。
「ジン」が天に昇ってから何度も季節は巡り、やがて25年目に奇跡が起こる。けれど、これは奇跡というよりも、「ジン」へのご褒美かもしれない。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる