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序章 Magical girl No.1501_BREAD.
4.
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刃渡り10メートルの包丁が、目の前でひとりでに動いているその光景は、これまで以上の衝撃ではあったが……正直、ここまでに自分で焼いたジャムパンが喋りだしたり、空を飛べてしまったりと、トンデモな経験を目の当たりにしてきたわたしは、もう今更驚いても仕方がないな、と思うようになってしまっていた。
一度に色々なことが起こりすぎたせいで、感覚が狂ってしまっているのかもしれない。
「……で、あれをわたしが倒せばいいの? でも、どうやって?」
『魔法少女なんだ。もちろん「魔法」を使って戦おう。……これも、空を飛ぶのと同じく、感覚が大事なんだけど……とりあえず、体の奥底から溢れる魔力エネルギーを、相手にぶつけてみようか』
「そんな曖昧な……! でもやってみるっ!」
またもや、魔力エネルギーとかいう新たな概念のエネルギーが現れてしまったが……もう、いちいちツッコんでいられない。
その場の勢いで空も飛べてしまったわたしだ。魔力エネルギーだとか、ぶつけてみてとか言われても全く実感が湧いてこないけど……「はああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
わたしは叫び、体の奥底に眠っているであろう力――これが魔力エネルギーとやらなのかは知らないが――とにかく、秘められた力っぽいものを解放するっ!
そしてッ! 右手を広げ、前の巨大包丁へと向けると――黄色で、野球ボールくらいの、小さなエネルギー弾が放たれる――!!
「やったっ! なんかでた! ……って、あれ?」
放たれた弾は……どこか頼りない光を放ちながら、ひょろひょろと。あちらこちらにふらつきながら、まったりと……10メートル包丁の元へと飛んでいく。
『……魔力の込め方が足りなかったみたいだね……』
「ええ……っ」
あんなに叫んで、カッコつけたポーズまで決めたのに。本来ならば、そこは超火力のレーザーが――ギュインッ! と一発、あの包丁を貫き、風穴を開けてしまってもおかしくない展開のはずなのに……!!
ひょろひょろと、それでもゆっくりと着実に。敵の元へと向かっていく、どこか健気なエネルギー弾は――やがて、大きな包丁の柄の部分にぶつかると……ぺちんっ! と。ダメージを与えている感触もなくただ、弱々しい音を立てて……そのまま消えていく。
それとは対照的に。
わたしたちの前にそびえ立つ巨大な包丁は、ぐるりと向きを変えて――こちらに刃先を向ける。……わざわざ説明するまでもない。さっき放ったあのへなちょこアタックで、わたしたちの存在が気づかれてしまったのだ。
わたしの背に冷たいものが走ったと同時。――包丁がこちらに向けて加速し、突撃して――勢いよく、襲いかかってくる。
「……うわあああああぁぁぁぁぁぁぁっ!? サポポンっ、助けてええぇぇぇっ!?」
『もし死んでしまったら、二度と魔法少女に変身できなくなるから……まずはとにかく逃げるんだっ! そして、落ち着いて――もう一度魔力を込めて、さっきみたいに撃ってみよう!』
「そんなざっくりとした説明じゃ、ムリだよおおおぉぉぉぉ!!」
向かってくる巨大な刃から全力で飛び、逃げるわたしの横を――スパンッ!! 巨大な刃が、すぐ近くを通っていき、ビクッ! と震え上がってしまう。
……が、あの包丁は――大きい分、体勢を立て直すのにも時間がかかるようで、モタモタとしているあれは、大きな隙を見せていた。攻めに転じるのに、これほどのチャンスはない。
――もう一度。さっきよりも力を込めて、身体の奥底から――わたしの全てを出し切るように、叫ぶッ!
「いっけええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」
その叫びに応えるかのように。わたしの奥底に眠る――これまでに感じたこともない、超能力のような、オカルト染みた、不思議な力が呼び起こされる――そんな感覚に襲われる。
そして、そのまま右手を振るうと――びゅううううッ!! 風を切る音と共に、さっきとは比べ物にならない、バランスボール、それよりも大きな――巨大なエネルギー弾が射出される!
さっきの頼りない軌道を描くこともなく、真っ直ぐに、一直線に。全てを両断してしまうであろうその刃に立ち向かい――再びわたしに向かおうとするその動きを抑えつける。
『今度は成功だ! ……でも、トドメを刺すまでには至らなかったみたいだね』
「どうするの? わたし、もうあれ以上のなんて出せる気がしないよ……!?」
自分でもあれほどの弾をどう生み出し、放ったのか……全く理解できていないのだ。あれほどの一撃をもう一発放つなんて、出来そうにない。
『大丈夫。魔法少女には、一人に一つ。唯一無二の「固有能力」があるんだ。基本的な魔力の使い方が分かったこむぎなら――もう使えるはずだよ』
「固有能力……必殺技みたいなこと?」
『そう! そして、こむぎの固有能力は――「パンを焼くこと」』
「パンを焼く……? ん?」
あれ、わたしが普段していることでは? ……そうツッコミたかったが……自信満々に言うサポポンを見るに、この状況を打開してくれる、とっておきなのだろう。黙って聞くことにした。
『自由に、どんなパンでも、その場で焼くことができるんだ!』
「へえ……。で、それはどうやって使うの?」
『簡単だよ。「詠唱」をするんだ。今のこむぎならきっと、心の奥から「言葉」が浮かんでくるはずだよ』
……そんな物、都合よく浮かんでくる訳――とも思ったが、ここまで魔法少女として空を飛んだり、魔力エネルギーという得体の知れないもので、弾を放ったりしてきたが……そのどれもが『感覚』で、成功させてきたのだ。
……ならば。その『感覚』で浮かんできた言葉を紡げば――!!
『――Deliele Ga Full Flowa【BREAD】……Convert――』
わたしの知っている、英語のような……でも、どこか違う。そんな『言葉』が浮かんだ。意味は自分でさえ、よく分からない。
そして、それはわたしの奥底に眠る『歌』となり、この世界に響き渡る――
聞いているのはあのトンデモ刃物とサポポン、たった二人だけであろうその歌は、やがて力へと変わり――!!
『……どうやら、上手くいったみたいだね』
詠唱と共に現れたのは――わたしの身長の何倍もの長さをした、巨大な『フランスパン』だった。
そして、そのフランスパンで――
「戦うんだ――ッ!!」
巨大なフランスパンを両手でがっちりと掴み、足止めしていたエネルギー弾もいつの間にかかき消され、再びこちらへ向かってくる刃物に向けて――叩きつけるッ!
――では、ここで一つ。
……フランスパンを買ってきて。食べやすい大きさに切り分けるとき、一体何を使うだろうか?
――スパンッ!!
鋭利な刃物は横薙ぎに振るわれ――わたしの武器であるフランスパンを、綺麗に真っ二つに切り落とす。
「そ、そんなあ……っ!」
『こむぎっ!!』
体勢を立て直し、再び向かってくる巨大な刃をわたしは……もう受け止めることができない。
まるでさっきのフランスパンのように。わたしの体が二つに切り裂かれようとした――その時。
――ゴウッ!! という、どこからともかく飛んできた、激しい風を切る音と共に、こちらへ向かってくる刃の動きが、がちりっ! と止まった。
自身の最後の時を前にして、目を閉じ、下を向いていたわたしは……いつまで経っても攻撃が来ないことに気がついて、目を開いて、前を向く。すると、そこには。
紫色の、わたしの放ったエネルギー弾のようなもので形成された、ビームサーベルみたいな剣で、攻撃を軽々と受け止める――黒髪を長く伸ばした背の高い、黒と紫のスラっとした衣装を身にまとう女性がいた。
彼女は――キイィィンッ!! という甲高い音と共に、その巨大な刃を突き飛ばした。その紫色の剣が触れていた箇所は、大きく欠けてしまっている。
その姿はとても綺麗で、凛々しく――そんな彼女を見て、わたしは心のどこかで『助けがきた』と、ホッと胸を撫で下ろしていた。
『あれは……他の魔法少女!?』
その黒髪の少女は、こちらに見向きをすることもなく。右手にがっしりと握るビームサーベルを向け、一部の刃が欠けた巨大包丁へと勢いのままに突っ込んでいく。
「はああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
――たった一撃。その紫色の剣を振るうだけで。わたしがあれほどに苦戦していた敵を――瞬殺した。
巨大な包丁はバラバラに砕け、その場で爆散し――その場に残ったのは、小さく透き通るような白色の『石』だけだった。
黒髪の魔法少女は、長い髪をなびかせながら、それを黙って拾いに行くと、一言。
「――947」
ただ、数字だけを一言つぶやくと、彼女の隣に浮かんでいる鋼鉄の球体がカパっと上下に開き――拾った白い石を飲み込ませた。
わたしは、この危機的状況を助けてくれたあの魔法少女に、お礼を言わないと。そう思い、口を開く。
「あ、あの! 助けていただきありがとうございま……」
しかし、わたしがそれを言い終える前に。彼女はこちらに振り向きも、聞く耳も持たずに。石を飲み込んだ球体と一緒に、さっさと飛び去ってしまった。
一度に色々なことが起こりすぎたせいで、感覚が狂ってしまっているのかもしれない。
「……で、あれをわたしが倒せばいいの? でも、どうやって?」
『魔法少女なんだ。もちろん「魔法」を使って戦おう。……これも、空を飛ぶのと同じく、感覚が大事なんだけど……とりあえず、体の奥底から溢れる魔力エネルギーを、相手にぶつけてみようか』
「そんな曖昧な……! でもやってみるっ!」
またもや、魔力エネルギーとかいう新たな概念のエネルギーが現れてしまったが……もう、いちいちツッコんでいられない。
その場の勢いで空も飛べてしまったわたしだ。魔力エネルギーだとか、ぶつけてみてとか言われても全く実感が湧いてこないけど……「はああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
わたしは叫び、体の奥底に眠っているであろう力――これが魔力エネルギーとやらなのかは知らないが――とにかく、秘められた力っぽいものを解放するっ!
そしてッ! 右手を広げ、前の巨大包丁へと向けると――黄色で、野球ボールくらいの、小さなエネルギー弾が放たれる――!!
「やったっ! なんかでた! ……って、あれ?」
放たれた弾は……どこか頼りない光を放ちながら、ひょろひょろと。あちらこちらにふらつきながら、まったりと……10メートル包丁の元へと飛んでいく。
『……魔力の込め方が足りなかったみたいだね……』
「ええ……っ」
あんなに叫んで、カッコつけたポーズまで決めたのに。本来ならば、そこは超火力のレーザーが――ギュインッ! と一発、あの包丁を貫き、風穴を開けてしまってもおかしくない展開のはずなのに……!!
ひょろひょろと、それでもゆっくりと着実に。敵の元へと向かっていく、どこか健気なエネルギー弾は――やがて、大きな包丁の柄の部分にぶつかると……ぺちんっ! と。ダメージを与えている感触もなくただ、弱々しい音を立てて……そのまま消えていく。
それとは対照的に。
わたしたちの前にそびえ立つ巨大な包丁は、ぐるりと向きを変えて――こちらに刃先を向ける。……わざわざ説明するまでもない。さっき放ったあのへなちょこアタックで、わたしたちの存在が気づかれてしまったのだ。
わたしの背に冷たいものが走ったと同時。――包丁がこちらに向けて加速し、突撃して――勢いよく、襲いかかってくる。
「……うわあああああぁぁぁぁぁぁぁっ!? サポポンっ、助けてええぇぇぇっ!?」
『もし死んでしまったら、二度と魔法少女に変身できなくなるから……まずはとにかく逃げるんだっ! そして、落ち着いて――もう一度魔力を込めて、さっきみたいに撃ってみよう!』
「そんなざっくりとした説明じゃ、ムリだよおおおぉぉぉぉ!!」
向かってくる巨大な刃から全力で飛び、逃げるわたしの横を――スパンッ!! 巨大な刃が、すぐ近くを通っていき、ビクッ! と震え上がってしまう。
……が、あの包丁は――大きい分、体勢を立て直すのにも時間がかかるようで、モタモタとしているあれは、大きな隙を見せていた。攻めに転じるのに、これほどのチャンスはない。
――もう一度。さっきよりも力を込めて、身体の奥底から――わたしの全てを出し切るように、叫ぶッ!
「いっけええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」
その叫びに応えるかのように。わたしの奥底に眠る――これまでに感じたこともない、超能力のような、オカルト染みた、不思議な力が呼び起こされる――そんな感覚に襲われる。
そして、そのまま右手を振るうと――びゅううううッ!! 風を切る音と共に、さっきとは比べ物にならない、バランスボール、それよりも大きな――巨大なエネルギー弾が射出される!
さっきの頼りない軌道を描くこともなく、真っ直ぐに、一直線に。全てを両断してしまうであろうその刃に立ち向かい――再びわたしに向かおうとするその動きを抑えつける。
『今度は成功だ! ……でも、トドメを刺すまでには至らなかったみたいだね』
「どうするの? わたし、もうあれ以上のなんて出せる気がしないよ……!?」
自分でもあれほどの弾をどう生み出し、放ったのか……全く理解できていないのだ。あれほどの一撃をもう一発放つなんて、出来そうにない。
『大丈夫。魔法少女には、一人に一つ。唯一無二の「固有能力」があるんだ。基本的な魔力の使い方が分かったこむぎなら――もう使えるはずだよ』
「固有能力……必殺技みたいなこと?」
『そう! そして、こむぎの固有能力は――「パンを焼くこと」』
「パンを焼く……? ん?」
あれ、わたしが普段していることでは? ……そうツッコミたかったが……自信満々に言うサポポンを見るに、この状況を打開してくれる、とっておきなのだろう。黙って聞くことにした。
『自由に、どんなパンでも、その場で焼くことができるんだ!』
「へえ……。で、それはどうやって使うの?」
『簡単だよ。「詠唱」をするんだ。今のこむぎならきっと、心の奥から「言葉」が浮かんでくるはずだよ』
……そんな物、都合よく浮かんでくる訳――とも思ったが、ここまで魔法少女として空を飛んだり、魔力エネルギーという得体の知れないもので、弾を放ったりしてきたが……そのどれもが『感覚』で、成功させてきたのだ。
……ならば。その『感覚』で浮かんできた言葉を紡げば――!!
『――Deliele Ga Full Flowa【BREAD】……Convert――』
わたしの知っている、英語のような……でも、どこか違う。そんな『言葉』が浮かんだ。意味は自分でさえ、よく分からない。
そして、それはわたしの奥底に眠る『歌』となり、この世界に響き渡る――
聞いているのはあのトンデモ刃物とサポポン、たった二人だけであろうその歌は、やがて力へと変わり――!!
『……どうやら、上手くいったみたいだね』
詠唱と共に現れたのは――わたしの身長の何倍もの長さをした、巨大な『フランスパン』だった。
そして、そのフランスパンで――
「戦うんだ――ッ!!」
巨大なフランスパンを両手でがっちりと掴み、足止めしていたエネルギー弾もいつの間にかかき消され、再びこちらへ向かってくる刃物に向けて――叩きつけるッ!
――では、ここで一つ。
……フランスパンを買ってきて。食べやすい大きさに切り分けるとき、一体何を使うだろうか?
――スパンッ!!
鋭利な刃物は横薙ぎに振るわれ――わたしの武器であるフランスパンを、綺麗に真っ二つに切り落とす。
「そ、そんなあ……っ!」
『こむぎっ!!』
体勢を立て直し、再び向かってくる巨大な刃をわたしは……もう受け止めることができない。
まるでさっきのフランスパンのように。わたしの体が二つに切り裂かれようとした――その時。
――ゴウッ!! という、どこからともかく飛んできた、激しい風を切る音と共に、こちらへ向かってくる刃の動きが、がちりっ! と止まった。
自身の最後の時を前にして、目を閉じ、下を向いていたわたしは……いつまで経っても攻撃が来ないことに気がついて、目を開いて、前を向く。すると、そこには。
紫色の、わたしの放ったエネルギー弾のようなもので形成された、ビームサーベルみたいな剣で、攻撃を軽々と受け止める――黒髪を長く伸ばした背の高い、黒と紫のスラっとした衣装を身にまとう女性がいた。
彼女は――キイィィンッ!! という甲高い音と共に、その巨大な刃を突き飛ばした。その紫色の剣が触れていた箇所は、大きく欠けてしまっている。
その姿はとても綺麗で、凛々しく――そんな彼女を見て、わたしは心のどこかで『助けがきた』と、ホッと胸を撫で下ろしていた。
『あれは……他の魔法少女!?』
その黒髪の少女は、こちらに見向きをすることもなく。右手にがっしりと握るビームサーベルを向け、一部の刃が欠けた巨大包丁へと勢いのままに突っ込んでいく。
「はああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
――たった一撃。その紫色の剣を振るうだけで。わたしがあれほどに苦戦していた敵を――瞬殺した。
巨大な包丁はバラバラに砕け、その場で爆散し――その場に残ったのは、小さく透き通るような白色の『石』だけだった。
黒髪の魔法少女は、長い髪をなびかせながら、それを黙って拾いに行くと、一言。
「――947」
ただ、数字だけを一言つぶやくと、彼女の隣に浮かんでいる鋼鉄の球体がカパっと上下に開き――拾った白い石を飲み込ませた。
わたしは、この危機的状況を助けてくれたあの魔法少女に、お礼を言わないと。そう思い、口を開く。
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しかし、わたしがそれを言い終える前に。彼女はこちらに振り向きも、聞く耳も持たずに。石を飲み込んだ球体と一緒に、さっさと飛び去ってしまった。
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