13 / 52
第一章 SchoolGirl. MagicalGirl.
7.
しおりを挟む
……ここは?
真っ暗闇の中。上をみても、下をみても、前後左右どの方向をみても。その視界の先は一面、漆黒で染まりきっていた。
どれだけ歩いても、叫んでも、飛んでみても。床と呼んでも良いのかわからないこの地面を叩いても、この黒一色の景色が変わることはない。
まさか、あのままアパートの中に引きずり込まれて、死んでしまって――もしかして、ここは死後の世界なんじゃ……? そんな、嫌な想像が頭をよぎろうとしたりするが、その時。
どこからともなく、聞き覚えのない声がこの暗闇へと響き渡る。
『信じてたのにッ……!』
悲しげな女性の声だった。その声の主が誰なのかはわたしは知らない。でも、その声を聞いたわたしまで、胸にガラスが刺さるような、そんな気分にさせられる。
「……これって……?」
それから間もなく、さっきと同じ人なのだろうが――さっきとは一変して、今度は――憎悪に狂い、果てるような激しい怒りに任せた叫び声が聞こえてくる。
『許さない……、許さない、許さない――ッ!!』
『絶対に復讐してやる、二度と浮気なんてできないようにッ! アハハハハハハハハハッ!!』
死ぬ前に見るらしい、走馬灯というものにしては、わたしの知っている声や記憶がどれひとつと聞こえないのでまず違うだろう。
そのどれもが『負の感情』に満ちたその声たちを聞き――わたしは一つの考えに辿り着く。
ネガエネミーは、負の感情が元となって生まれる。この元となった感情の持ち主――『浮気心』の持ち主である、その人の記憶――なのだろうか。
その浮気心から、苦しめてしまった相手の記憶が、ネガエネミーによって囚われ、今も苦しみ続けている。
――もし、そうならば。
「……助けなきゃ。このネガエネミーから、解放してあげないと」
このまま、ネガエネミーの中に囚われたその記憶を放っておく訳にはいかない。魔法少女であるわたしが、解放しないと――そう心に決めると、どれだけ進んでも暗闇が広がるこの空間で、再び立ち上がる『力』が湧いてくる。
確かに、真っ暗闇のこの空間に存在しているのは自分自身だけのようにも思える。出口もない、希望もない、永遠に広がり続ける闇に見えるだろう。
しかし、この場所に存在しているのはわたしだけじゃない。……わたしの心の奥に眠る『魔法少女』としての心、そして『言葉』は残っているッ!
再びわたしは胸に手を当て、静かに目を瞑り――その口から、胸に秘められた言葉を紡ぎ出す。
『――Deliele Ga Full Flowa【BREAD】――Convert――』
わたしの胸の奥に眠る言葉は、歌へと変わり――溢れ出した力は、鋭い爪で引っ掻いていくかのように、四方八方へと次々に、その暗闇へと。それを照らす『光』によって、キズを付けていく。
バキバキバキバキバキッ!! と音を立てて、前後左右、天井も床も、傷だらけになったその全てにヒビが入り、スキマから光が溢れ――
ガッシャアアアアンッ!! 耳をつんざくような甲高い音と共に暗闇は砕かれ、まるで割れたガラスのように崩れ去っていった。そして、周りに――光が戻る。
「もしかして、これで倒した……? ――まあ、そんな簡単な話じゃないですよね……っ!!」
砕かれた暗闇。その周りに広がっていたのは――大量の武器だった。
――刀から投げナイフ、弓矢に拳銃、炎に水、パッと目に入っただけでもこんなにも。
見ている余裕さえないその奥にも、武器として思いつくもの全てと言っても過言ではないような、さっきは一つずつ相手にしていた、その武器一つひとつが束になって、わたしを待ち構えていたのだった。
真っ暗闇の中。上をみても、下をみても、前後左右どの方向をみても。その視界の先は一面、漆黒で染まりきっていた。
どれだけ歩いても、叫んでも、飛んでみても。床と呼んでも良いのかわからないこの地面を叩いても、この黒一色の景色が変わることはない。
まさか、あのままアパートの中に引きずり込まれて、死んでしまって――もしかして、ここは死後の世界なんじゃ……? そんな、嫌な想像が頭をよぎろうとしたりするが、その時。
どこからともなく、聞き覚えのない声がこの暗闇へと響き渡る。
『信じてたのにッ……!』
悲しげな女性の声だった。その声の主が誰なのかはわたしは知らない。でも、その声を聞いたわたしまで、胸にガラスが刺さるような、そんな気分にさせられる。
「……これって……?」
それから間もなく、さっきと同じ人なのだろうが――さっきとは一変して、今度は――憎悪に狂い、果てるような激しい怒りに任せた叫び声が聞こえてくる。
『許さない……、許さない、許さない――ッ!!』
『絶対に復讐してやる、二度と浮気なんてできないようにッ! アハハハハハハハハハッ!!』
死ぬ前に見るらしい、走馬灯というものにしては、わたしの知っている声や記憶がどれひとつと聞こえないのでまず違うだろう。
そのどれもが『負の感情』に満ちたその声たちを聞き――わたしは一つの考えに辿り着く。
ネガエネミーは、負の感情が元となって生まれる。この元となった感情の持ち主――『浮気心』の持ち主である、その人の記憶――なのだろうか。
その浮気心から、苦しめてしまった相手の記憶が、ネガエネミーによって囚われ、今も苦しみ続けている。
――もし、そうならば。
「……助けなきゃ。このネガエネミーから、解放してあげないと」
このまま、ネガエネミーの中に囚われたその記憶を放っておく訳にはいかない。魔法少女であるわたしが、解放しないと――そう心に決めると、どれだけ進んでも暗闇が広がるこの空間で、再び立ち上がる『力』が湧いてくる。
確かに、真っ暗闇のこの空間に存在しているのは自分自身だけのようにも思える。出口もない、希望もない、永遠に広がり続ける闇に見えるだろう。
しかし、この場所に存在しているのはわたしだけじゃない。……わたしの心の奥に眠る『魔法少女』としての心、そして『言葉』は残っているッ!
再びわたしは胸に手を当て、静かに目を瞑り――その口から、胸に秘められた言葉を紡ぎ出す。
『――Deliele Ga Full Flowa【BREAD】――Convert――』
わたしの胸の奥に眠る言葉は、歌へと変わり――溢れ出した力は、鋭い爪で引っ掻いていくかのように、四方八方へと次々に、その暗闇へと。それを照らす『光』によって、キズを付けていく。
バキバキバキバキバキッ!! と音を立てて、前後左右、天井も床も、傷だらけになったその全てにヒビが入り、スキマから光が溢れ――
ガッシャアアアアンッ!! 耳をつんざくような甲高い音と共に暗闇は砕かれ、まるで割れたガラスのように崩れ去っていった。そして、周りに――光が戻る。
「もしかして、これで倒した……? ――まあ、そんな簡単な話じゃないですよね……っ!!」
砕かれた暗闇。その周りに広がっていたのは――大量の武器だった。
――刀から投げナイフ、弓矢に拳銃、炎に水、パッと目に入っただけでもこんなにも。
見ている余裕さえないその奥にも、武器として思いつくもの全てと言っても過言ではないような、さっきは一つずつ相手にしていた、その武器一つひとつが束になって、わたしを待ち構えていたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】無能と婚約破棄された令嬢、辺境で最強魔導士として覚醒しました
東野あさひ
ファンタジー
無能の烙印、婚約破棄、そして辺境追放――。でもそれ、全部“勘違い”でした。
王国随一の名門貴族令嬢ノクティア・エルヴァーンは、魔力がないと断定され、婚約を破棄されて辺境へと追放された。
だが、誰も知らなかった――彼女が「古代魔術」の適性を持つ唯一の魔導士であることを。
行き着いた先は魔物の脅威に晒されるグランツ砦。
冷徹な司令官カイラスとの出会いをきっかけに、彼女の眠っていた力が次第に目を覚まし始める。
無能令嬢と嘲笑された少女が、辺境で覚醒し、最強へと駆け上がる――!
王都の者たちよ、見ていなさい。今度は私が、あなたたちを見下ろす番です。
これは、“追放令嬢”が辺境から世界を変える、痛快ざまぁ×覚醒ファンタジー。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる