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第一章 SchoolGirl. MagicalGirl.
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――ババババババババババババッ!!
――スパパパパパパパパパパンッ!!
――ゴオオオオオオォォォォォッ!!
遠距離、近距離も問わず、さまざまな武器による、さまざまな攻撃が、激しい音同士、混ざり合いなが、――ネガエネミーの深部、あの暗闇を破壊したわたしを倒そうと、あの手この手で向かってくる。
互いの武器同士、その弱点を補い合えるせいで逃げ場なんて用意されているはずもない、多種多様な武器たちが放つその雨のような攻撃を、どう凌いだのかといえば――
『――Deliele Ga Full Flowa【BREAD】――Convert――ッ!!』
無数の武器を見て、その武器たちが一斉に攻撃を始める前から反射的に即席で唱え、焼き上げた……わたしがすっかり隠れてしまうほどの、浮かび上がる巨大なパンの下、その影へと身をひそめ、攻撃の雨を何とか凌ぎ切る。
パンは大小さまざまな攻撃を受け、既にボロボロになってしまっている。いくらこの大きさとはいえ、金属製の盾のように硬い訳ではない。そもそも、パンは人を殺すために作られた武器の攻撃を守り切るものじゃない。大きさのおかげで、なんとかその役割を果たせている――というだけの話。
「危なかった……。って、このままじゃいけない、――Convert――ッ!」
ここで黙っていれば、即席で焼き上げたパンはすぐに崩壊し、あちこちから、全ての武器による一斉攻撃が迫ってくるはず。なので、こんなところでじっとしてなんていられない。
わたしは再び、その口で詠唱をすると、その場にもう一つパンを焼き上げる。当然、それもただのパンではない。
……そもそも。『Convert』と口にする間に、わたしは確かにパンを焼いている。調理をする場であるキッチンも、そのパンの元となる材料も、全てを『魔力』で代用して。
つまりなにが言いたいかといえば、焼き上げるパンにもひと工夫することが出来る。
――たとえば、パン作りでの過程でこねればこねるほど、パンは柔らかくなるのだが……こねる過程を省いてしまえば、当然硬めのパンが焼き上がる。
そして、そのパンを細長く――まるで剣のような形で焼き上げてしまえば、『武器』として使えるパンの出来上がり、という訳だ。
……といっても、武器として使えるほどに硬度なパンを焼き上げられたのは、魔法少女としての、魔力という不思議な力によるものも含まれているというのは確かだ。
もし、わたしが魔法少女ではなく、普通に作るとしたら――どんなに頑張っても、武器として使えるほどに硬く、ましてや戦いに適したものなんて焼き上げられる訳がない。
……そんな戦闘用のパンを右手に持ったわたしは、さまざまな武器から集中攻撃を受けるパンの影からバッ! と飛び出し――まずは一振り。――キイイイイィィィンッ!!
こちらを狙う『刀』を弾き落とした。刃に向けて馬鹿正直に当てては、いつぞやの巨大包丁の時のように、スパッと切られてしまうので、その横から叩き落とす形で。
続いて、二撃目。――カタカタカタカタカタカタッ!!
こちらに狙いを定めて、真っ直ぐに飛んでこようとする数十本の『ナイフ』を薙ぎ払い、その全てを振り落とす。続けてさらに飛び上がり――バキバキバキィッ!!
こちらに銃口を向ける『マシンガン』の先を殴り、その硬いパンによる一撃で、折り砕く。……それでも。
「……キリがないよ……。どうすれば……」
今、わたしがこのパンで倒した武器らも、全体で見ればほんの一部。水が満杯のプールから、バケツで一杯だけ水をすくったようなものだ。
数えることすらもバカらしくなってしまうほどに大量の武器兵器に囲まれ、悩むわたしの元へ……中性的で、聞きなれた声が飛んでくる。
『こむぎっ、やっと見つけたよ。……あれが見えるかい?』
「あっ、サポポン! あれって……?」
聞き慣れた声の正体は、サポポンだった。わたしが暗闇に呑み込まれていた間に、彼もネガエネミーの内部へと潜り込んでいたらしい。
『あれがこのネガエネミーのコアみたいだ。あれさえ壊せば、あのネガエネミーの持つエネルギーを断ち切って、倒すことができるはずだよ』
『あれ』と、サポポンが視線で示した方向には――さまざまな武器に混ざって、ひとつだけ。
武器らしからぬ、緑色で光を放つ、このネガエネミーの実質的な本体である石……ネガエネミーを倒した時に残るはずの『コア』が、そこに浮かんでいた。
コアは、ネガエネミーが動くためのエネルギーが溜まったもので、それさえ壊せばネガエネミーの動くエネルギーが失われ、倒すことが出来るらしい。
もちろん、ネガエネミーを倒した報酬、ドロップアイテム――つまりエネルギーはなくなってしまう訳だが……目先の報酬よりも、鎌に杖、大砲に鉄扇など、多種多様すぎる全ての武器を相手にするよりマシだろう。
それに、わたしは――報酬が欲しくてネガエネミーと戦っている訳じゃない。
ネガエネミーによって狙われる人々を――そして、たった今狙われているかもしれない、風見つばめを助ける為に戦っている。あれを倒すことができるなら、報酬なんて必要ない。
「わかった。行こう、サポポン」
『後ろは任せて!』
斬撃、射撃、打撃――その全てを避けながら、緑色のコアへと向けて飛び出す。もう、この無数の武器を一つひとつ潰していくつもりはない。
持ち前のスピードで、メジャーなものからマイナーなものまで、武器という武器の攻撃全てをひらりとかわすが――前方。一瞬目を離した隙に、いつの間にか『槍』が三本、わたしに向かって放たれていた。
「――まずっ! ぐあああああああぁぁぁぁぁッ!?」
『こむぎッ――!』
僅かに反応が遅れ――槍のうちの一本が、わたしの左肩に突き刺さった。
焼けるような、激しい痛みがわたしに襲いかかる。……しかし、痛みに負けて――こんなところでじっとしてなんて、居られない!
「まだ、大丈夫……ッ! あれを壊せばネガエネミーを倒せて、みんなを助けられるんだ――ッ!!」
叫び、わたしは――すぐ近くに見えてきた、緑色の光を放つコアに向けて、右手に持つ、硬く長いそのパンを構える。
「取ったぁぁぁああああ――ッ!!」
そして――パリイイイイィィィィィィッ!! 硬いパンと、緑色の石。その二つがぶつかり――砕け、割れる音と共に――コアはバラバラに、砕かれた。
砕かれた中から、エネルギーらしき……もわっとした気体のようなものが溢れ、逃げていくように拡散していく。
「はあ……。今度こそ終わった……のかな」
全方向からの武器による攻撃はピタリと止み――同時に、わたしたちを囲う、アパートの中に広がる空間の、白い壁と天井のあちこちにヒビが入っていき――音を立てて、崩れ始める。
『ここにいたら危ない! こっちだよ』
肩に走る激しい痛みに耐えながらも、あと少しの辛抱だと自分に言い聞かせ、わたしとサポポンは、今にも崩れ去ろうとしているそこから急いで逃げ出した。
――スパパパパパパパパパパンッ!!
――ゴオオオオオオォォォォォッ!!
遠距離、近距離も問わず、さまざまな武器による、さまざまな攻撃が、激しい音同士、混ざり合いなが、――ネガエネミーの深部、あの暗闇を破壊したわたしを倒そうと、あの手この手で向かってくる。
互いの武器同士、その弱点を補い合えるせいで逃げ場なんて用意されているはずもない、多種多様な武器たちが放つその雨のような攻撃を、どう凌いだのかといえば――
『――Deliele Ga Full Flowa【BREAD】――Convert――ッ!!』
無数の武器を見て、その武器たちが一斉に攻撃を始める前から反射的に即席で唱え、焼き上げた……わたしがすっかり隠れてしまうほどの、浮かび上がる巨大なパンの下、その影へと身をひそめ、攻撃の雨を何とか凌ぎ切る。
パンは大小さまざまな攻撃を受け、既にボロボロになってしまっている。いくらこの大きさとはいえ、金属製の盾のように硬い訳ではない。そもそも、パンは人を殺すために作られた武器の攻撃を守り切るものじゃない。大きさのおかげで、なんとかその役割を果たせている――というだけの話。
「危なかった……。って、このままじゃいけない、――Convert――ッ!」
ここで黙っていれば、即席で焼き上げたパンはすぐに崩壊し、あちこちから、全ての武器による一斉攻撃が迫ってくるはず。なので、こんなところでじっとしてなんていられない。
わたしは再び、その口で詠唱をすると、その場にもう一つパンを焼き上げる。当然、それもただのパンではない。
……そもそも。『Convert』と口にする間に、わたしは確かにパンを焼いている。調理をする場であるキッチンも、そのパンの元となる材料も、全てを『魔力』で代用して。
つまりなにが言いたいかといえば、焼き上げるパンにもひと工夫することが出来る。
――たとえば、パン作りでの過程でこねればこねるほど、パンは柔らかくなるのだが……こねる過程を省いてしまえば、当然硬めのパンが焼き上がる。
そして、そのパンを細長く――まるで剣のような形で焼き上げてしまえば、『武器』として使えるパンの出来上がり、という訳だ。
……といっても、武器として使えるほどに硬度なパンを焼き上げられたのは、魔法少女としての、魔力という不思議な力によるものも含まれているというのは確かだ。
もし、わたしが魔法少女ではなく、普通に作るとしたら――どんなに頑張っても、武器として使えるほどに硬く、ましてや戦いに適したものなんて焼き上げられる訳がない。
……そんな戦闘用のパンを右手に持ったわたしは、さまざまな武器から集中攻撃を受けるパンの影からバッ! と飛び出し――まずは一振り。――キイイイイィィィンッ!!
こちらを狙う『刀』を弾き落とした。刃に向けて馬鹿正直に当てては、いつぞやの巨大包丁の時のように、スパッと切られてしまうので、その横から叩き落とす形で。
続いて、二撃目。――カタカタカタカタカタカタッ!!
こちらに狙いを定めて、真っ直ぐに飛んでこようとする数十本の『ナイフ』を薙ぎ払い、その全てを振り落とす。続けてさらに飛び上がり――バキバキバキィッ!!
こちらに銃口を向ける『マシンガン』の先を殴り、その硬いパンによる一撃で、折り砕く。……それでも。
「……キリがないよ……。どうすれば……」
今、わたしがこのパンで倒した武器らも、全体で見ればほんの一部。水が満杯のプールから、バケツで一杯だけ水をすくったようなものだ。
数えることすらもバカらしくなってしまうほどに大量の武器兵器に囲まれ、悩むわたしの元へ……中性的で、聞きなれた声が飛んでくる。
『こむぎっ、やっと見つけたよ。……あれが見えるかい?』
「あっ、サポポン! あれって……?」
聞き慣れた声の正体は、サポポンだった。わたしが暗闇に呑み込まれていた間に、彼もネガエネミーの内部へと潜り込んでいたらしい。
『あれがこのネガエネミーのコアみたいだ。あれさえ壊せば、あのネガエネミーの持つエネルギーを断ち切って、倒すことができるはずだよ』
『あれ』と、サポポンが視線で示した方向には――さまざまな武器に混ざって、ひとつだけ。
武器らしからぬ、緑色で光を放つ、このネガエネミーの実質的な本体である石……ネガエネミーを倒した時に残るはずの『コア』が、そこに浮かんでいた。
コアは、ネガエネミーが動くためのエネルギーが溜まったもので、それさえ壊せばネガエネミーの動くエネルギーが失われ、倒すことが出来るらしい。
もちろん、ネガエネミーを倒した報酬、ドロップアイテム――つまりエネルギーはなくなってしまう訳だが……目先の報酬よりも、鎌に杖、大砲に鉄扇など、多種多様すぎる全ての武器を相手にするよりマシだろう。
それに、わたしは――報酬が欲しくてネガエネミーと戦っている訳じゃない。
ネガエネミーによって狙われる人々を――そして、たった今狙われているかもしれない、風見つばめを助ける為に戦っている。あれを倒すことができるなら、報酬なんて必要ない。
「わかった。行こう、サポポン」
『後ろは任せて!』
斬撃、射撃、打撃――その全てを避けながら、緑色のコアへと向けて飛び出す。もう、この無数の武器を一つひとつ潰していくつもりはない。
持ち前のスピードで、メジャーなものからマイナーなものまで、武器という武器の攻撃全てをひらりとかわすが――前方。一瞬目を離した隙に、いつの間にか『槍』が三本、わたしに向かって放たれていた。
「――まずっ! ぐあああああああぁぁぁぁぁッ!?」
『こむぎッ――!』
僅かに反応が遅れ――槍のうちの一本が、わたしの左肩に突き刺さった。
焼けるような、激しい痛みがわたしに襲いかかる。……しかし、痛みに負けて――こんなところでじっとしてなんて、居られない!
「まだ、大丈夫……ッ! あれを壊せばネガエネミーを倒せて、みんなを助けられるんだ――ッ!!」
叫び、わたしは――すぐ近くに見えてきた、緑色の光を放つコアに向けて、右手に持つ、硬く長いそのパンを構える。
「取ったぁぁぁああああ――ッ!!」
そして――パリイイイイィィィィィィッ!! 硬いパンと、緑色の石。その二つがぶつかり――砕け、割れる音と共に――コアはバラバラに、砕かれた。
砕かれた中から、エネルギーらしき……もわっとした気体のようなものが溢れ、逃げていくように拡散していく。
「はあ……。今度こそ終わった……のかな」
全方向からの武器による攻撃はピタリと止み――同時に、わたしたちを囲う、アパートの中に広がる空間の、白い壁と天井のあちこちにヒビが入っていき――音を立てて、崩れ始める。
『ここにいたら危ない! こっちだよ』
肩に走る激しい痛みに耐えながらも、あと少しの辛抱だと自分に言い聞かせ、わたしとサポポンは、今にも崩れ去ろうとしているそこから急いで逃げ出した。
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