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第二章 Urban Myth “Miwakare Bridge”.
3.
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「命岐橋……ここみたい」
『今のところ、ネガエネミーの気配は感じられないけれど……』
土曜日の午後。わたしとサポポンは、鳴繰市のはずれにある小さな橋――命岐橋へとやってきた。
この橋自体は実在するものらしく、同じ街ながら近辺を通る事はなかったので見たことはないものの、インターネットで調べればすぐに見つかった。
それを見てやってきたこの橋にも、錆びた金属のプレートに『命岐橋』――と名前が彫られてあるので、間違いないだろう。ここがわたしの追っていた都市伝説の舞台だろう。
しかし、いくらこの都市伝説がオカルト好きの間で流行ってる……と言っても、実際にこの足で、現地までやってくるのはわたしたちくらいじゃないかと思う。そう考えると、ちょっと気恥ずかしいような……そんな気もする。
そもそも住宅地からずっと進んだ先、小さな森の中に立つこの橋は、普段から日常生活で使うような人すらいないのではないかと思う。森の中を進めば進むほど、人の気配がどんどんと消えていくような、そんな感じがするからだ。
古き良き石造りの橋……そう言えば聞こえは良いが、実際は本当に渡っても大丈夫なのだろうか? と思わせるほどに、古ぼけてしまってどこか頼りない。ちゃんと管理されているのかも怪しいこの橋は、渡ろうとした瞬間に崩れ始める――なんて、ベタな展開になってもおかしくないような、そんな橋だった。
そして何より、実際に都市伝説の発祥の地であるここへとやってきたのは良いのだが……橋が実在すると分かったところで、それ以上の収穫がない。
ネガエネミーがいなくて安心したというのもあるが、それ以外の手がかりも何もないのは不安だ。やっぱり、わたしの考えすぎだったのだろうか? そんな考えが頭をよぎる。
『これ以上ここにいても、何も得られるものはないと思うけど……どうする?』
「そうだね……。やっぱり、わたしの考えすぎだったのかな。ごめんねサポポン、こんなことに付き合わせちゃって……」
手がかりが一切見つからないのだから仕方がない。実際、この目で見れば何か分かるだろう、なんて甘い考えでいたのが悪かった。
今日はサポポンの言う通り、もう何も得るものはないだろう。少し無駄足になってしまった気もするが……もう帰るしかないだろう。
『ううん、ボクの役目はこむぎのサポートだからね。いつだってこむぎの意思を尊重するよ』
「それじゃ、帰ろっか……」
なんとも後味の悪い気分ではあるが、このままここにいたところで何がある訳でもない。
諦めて帰ろうとしたこむぎとサポポンに向けて――その背後から。
「そのサポポン――貴方はもしかして……この街の魔法少女かしら?」
「――ひゃあああッ!?」
あまりにも突然、なんの前触れもなく声を掛けられ――わたしは驚き、思わずぴょんと飛び上がり、変な声を上げてしまう。
「あら……驚かせてしまったみたいね。ごめんなさい」
「いえ……。はああー、びっくりしたぁ……」
相手が、普通の人――それも、わたしより大人の、しっかり者な雰囲気をした女性である事が分かると、わたしは緊張が解け、ホッとする。
「私もよ……。まさか、こんなに驚かれるとは思ってもなかったから……」
ん? 普通の人――なのだろうか? 今、確かに彼女は――『サポポン』、そして『魔法少女』、という単語を口にした。普通の人が、果たしてこの二つの言葉を知っていてなお、初対面であるわたしに向けて口にするだろうか?
魔法少女のことは機密事項。そんな魔法少女のことを知っているということは、彼女もまた――魔法少女。そう考えるしかないだろう。
……そして、他の魔法少女と言えば……あの時の黒い魔法少女を思い出す。圧倒的に強く、無愛想で――正直、怖かった。
しかし、目の前の彼女は――桃色の髪を伸ばし、この辺りではあまり見ない学校の制服を着た、おしとやかで大人な雰囲気を醸しだす……どこか優しそうな、そんな女性だった。
制服を着ているということで、高校生なのだろう。少なくとも、わたしと同じ中学生だとは思えない。……制服を着ていなければ、大学生だと言われても信じてしまうような、そんな雰囲気だ。
「あっ……自己紹介がまだだったわね。私は八坂星羅。高校二年生よ。貴方は……中学生くらいかしら?」
『そしてこのオレが、コイツのサポポンだ! よろしくなっ!』
背の高く、桃色の髪を伸ばし、桃色の和服のような服装も相まって、大人びた雰囲気を放つ八坂星羅。中学二年のわたしと三つしか変わらないと聞いて、つい驚いてしまう。
そして、突然の出来事だったせいですっかり見落としてしまっていたが……八坂さんの隣でふわふわ浮かんでいる、水色でぷよぷよとした質感の、例えるならゲームに出てくるスライムのような、そんな見た目ながら強気な口調のサポポン。
あの時の黒い魔法少女のようなトゲトゲしさはないが――あの魔法少女にも負けないような、秘めたる強さが。まだ魔法少女になってから一週間も経たないわたしなんかとは比べ物にならないほどの風格が、彼女から溢れ出していた。
『今のところ、ネガエネミーの気配は感じられないけれど……』
土曜日の午後。わたしとサポポンは、鳴繰市のはずれにある小さな橋――命岐橋へとやってきた。
この橋自体は実在するものらしく、同じ街ながら近辺を通る事はなかったので見たことはないものの、インターネットで調べればすぐに見つかった。
それを見てやってきたこの橋にも、錆びた金属のプレートに『命岐橋』――と名前が彫られてあるので、間違いないだろう。ここがわたしの追っていた都市伝説の舞台だろう。
しかし、いくらこの都市伝説がオカルト好きの間で流行ってる……と言っても、実際にこの足で、現地までやってくるのはわたしたちくらいじゃないかと思う。そう考えると、ちょっと気恥ずかしいような……そんな気もする。
そもそも住宅地からずっと進んだ先、小さな森の中に立つこの橋は、普段から日常生活で使うような人すらいないのではないかと思う。森の中を進めば進むほど、人の気配がどんどんと消えていくような、そんな感じがするからだ。
古き良き石造りの橋……そう言えば聞こえは良いが、実際は本当に渡っても大丈夫なのだろうか? と思わせるほどに、古ぼけてしまってどこか頼りない。ちゃんと管理されているのかも怪しいこの橋は、渡ろうとした瞬間に崩れ始める――なんて、ベタな展開になってもおかしくないような、そんな橋だった。
そして何より、実際に都市伝説の発祥の地であるここへとやってきたのは良いのだが……橋が実在すると分かったところで、それ以上の収穫がない。
ネガエネミーがいなくて安心したというのもあるが、それ以外の手がかりも何もないのは不安だ。やっぱり、わたしの考えすぎだったのだろうか? そんな考えが頭をよぎる。
『これ以上ここにいても、何も得られるものはないと思うけど……どうする?』
「そうだね……。やっぱり、わたしの考えすぎだったのかな。ごめんねサポポン、こんなことに付き合わせちゃって……」
手がかりが一切見つからないのだから仕方がない。実際、この目で見れば何か分かるだろう、なんて甘い考えでいたのが悪かった。
今日はサポポンの言う通り、もう何も得るものはないだろう。少し無駄足になってしまった気もするが……もう帰るしかないだろう。
『ううん、ボクの役目はこむぎのサポートだからね。いつだってこむぎの意思を尊重するよ』
「それじゃ、帰ろっか……」
なんとも後味の悪い気分ではあるが、このままここにいたところで何がある訳でもない。
諦めて帰ろうとしたこむぎとサポポンに向けて――その背後から。
「そのサポポン――貴方はもしかして……この街の魔法少女かしら?」
「――ひゃあああッ!?」
あまりにも突然、なんの前触れもなく声を掛けられ――わたしは驚き、思わずぴょんと飛び上がり、変な声を上げてしまう。
「あら……驚かせてしまったみたいね。ごめんなさい」
「いえ……。はああー、びっくりしたぁ……」
相手が、普通の人――それも、わたしより大人の、しっかり者な雰囲気をした女性である事が分かると、わたしは緊張が解け、ホッとする。
「私もよ……。まさか、こんなに驚かれるとは思ってもなかったから……」
ん? 普通の人――なのだろうか? 今、確かに彼女は――『サポポン』、そして『魔法少女』、という単語を口にした。普通の人が、果たしてこの二つの言葉を知っていてなお、初対面であるわたしに向けて口にするだろうか?
魔法少女のことは機密事項。そんな魔法少女のことを知っているということは、彼女もまた――魔法少女。そう考えるしかないだろう。
……そして、他の魔法少女と言えば……あの時の黒い魔法少女を思い出す。圧倒的に強く、無愛想で――正直、怖かった。
しかし、目の前の彼女は――桃色の髪を伸ばし、この辺りではあまり見ない学校の制服を着た、おしとやかで大人な雰囲気を醸しだす……どこか優しそうな、そんな女性だった。
制服を着ているということで、高校生なのだろう。少なくとも、わたしと同じ中学生だとは思えない。……制服を着ていなければ、大学生だと言われても信じてしまうような、そんな雰囲気だ。
「あっ……自己紹介がまだだったわね。私は八坂星羅。高校二年生よ。貴方は……中学生くらいかしら?」
『そしてこのオレが、コイツのサポポンだ! よろしくなっ!』
背の高く、桃色の髪を伸ばし、桃色の和服のような服装も相まって、大人びた雰囲気を放つ八坂星羅。中学二年のわたしと三つしか変わらないと聞いて、つい驚いてしまう。
そして、突然の出来事だったせいですっかり見落としてしまっていたが……八坂さんの隣でふわふわ浮かんでいる、水色でぷよぷよとした質感の、例えるならゲームに出てくるスライムのような、そんな見た目ながら強気な口調のサポポン。
あの時の黒い魔法少女のようなトゲトゲしさはないが――あの魔法少女にも負けないような、秘めたる強さが。まだ魔法少女になってから一週間も経たないわたしなんかとは比べ物にならないほどの風格が、彼女から溢れ出していた。
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