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第四章 No.1459_CHANDELIER.
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暗い。暗い。まるで、海の底へと沈んでいくような……だんだんと遠のいていく意識の中で、私は――鮮明に、あの頃の記憶が蘇る。
私が中学生の頃――魔法少女になる前の。ごくごく普通の、ありふれた家庭の……それでも、私にとっては唯一無二で、大好きな居場所だった、あの家を――
いつも笑顔で、私が困った時はいつも、道しるべを教えてくれた、優しいお母さん。
かなり頑固だったけど……何でも出来て、決して口に出すことは無かったけど、密かに憧れていたお父さん。
私とは正反対に明るく、ムードメーカーで、時々ケンカに発展してしまう事はあっても、最後は必ず仲の良い姉妹に戻っていた、妹の稀穂。
私を狂わせたのはやはり、あの事件だろう。お母さんも、お父さんも、稀穂も。誰も悪くないはずなのに。何故、こんな事になってしまったのか……
最初に響いたのは、同じ部屋で寝ていたお母さんとお父さんの悲鳴だった。その時、背筋に走ったあの悪寒、あの感覚は忘れたくても忘れられない。
次に、両親が寝ていた隣の部屋にいた、妹の稀穂の悲鳴。それが聞こえた頃には――臆病な私は、部屋のクローゼットの奥へと隠れてしまった。
それから、何十分、何時間と経っただろうか。もしくは、私が思っているよりも短かったのかもしれない。時間の感覚さえも失ってしまう程の長い時間、家に見知らぬ人間の、見知らぬ物音が響き続け――私が見た頃に残っていたのは、乱雑に散らかされた家財道具と、三つの死体だけだった。
***
でも、本当に私を狂わせたのは……『魔法少女』なのかもしれない。
魔法少女としての仕事を全うし、その対価として――どんなモノでも生み出せる。そう聞いた私は、つい、こんな質問をしてしまったのだった。
『何でも……って事は、殺された家族を……生き返らせる事も出来るの?』
対するサポポンは、ただ――
『理論上は可能です.』
ただし、膨大な努力も必要と、そう付け加えた。でも。それだけ聞いたら……希望を見出しても、仕方ないんじゃないのだろうか。
私は頑張った。とにかくネガエネミーを倒して、倒して、倒し続けた。それでも足りない。足りなかった。でも、もう後には戻れない。そして、途方もない数のコアを必要とする私が思いついたのが、この計画だった。
その計画は、完璧に進んでいたはずだった。
私の創作した都市伝説も、苦労の末に街中に広がって、必要なコアも集まった。それなのに――
私はただ……どこの誰かも知らない悪党に奪われた――大好きな家族を。大好きだったあの場所を、取り戻したかっただけだった。
決して、復讐がしたかった訳でも、この世界を壊したかった訳でも無かったはずなのに……一体、私はいつから、狂ってしまったのだろう。
ここまで、良いことなんて一つも無かったこの道のりで――唯一、良かったと思うのは、狂ってしまった私を止めてくれた存在がいた事。
私の計画を止めたのは腹立たしいが――このままでは、私は暴走して、お母さんが、お父さんが、稀穂が。生きていたというこの世界に残る記憶さえ、世界ごと壊してしまうかもしれなかった。
それを食い止めてくれた事には、感謝を伝えたいな、と思う。……もう、私の身体はうんともすんとも言わないので、叶わぬ願いではあるのだが。
流石に――コア五百個のエネルギーを取り込んだ私の身体は、既に限界を超えてしまっていたらしい。戦っていた時も、様々な感情に心が押しつぶされそうになって……苦しかった。
それに比べて、今はとても楽だった。家族を生き返らせる――そんな使命も打ち砕かれ、全てから解き放たれた私は――あの事件以来、初めて。心が楽になったような……そんな気もする。
きっと、私はもう死ぬだろう。人間、魔法少女という存在、その一線を超えてしまった代償に――でも、後悔はしていない。できる限りの事はやった。それでもダメだったのだから、しょうがない。
私はこのまま――いずれ訪れるであろう最期の時間を、この暗い感情の奥底で、静かに待つ事にした。
私が中学生の頃――魔法少女になる前の。ごくごく普通の、ありふれた家庭の……それでも、私にとっては唯一無二で、大好きな居場所だった、あの家を――
いつも笑顔で、私が困った時はいつも、道しるべを教えてくれた、優しいお母さん。
かなり頑固だったけど……何でも出来て、決して口に出すことは無かったけど、密かに憧れていたお父さん。
私とは正反対に明るく、ムードメーカーで、時々ケンカに発展してしまう事はあっても、最後は必ず仲の良い姉妹に戻っていた、妹の稀穂。
私を狂わせたのはやはり、あの事件だろう。お母さんも、お父さんも、稀穂も。誰も悪くないはずなのに。何故、こんな事になってしまったのか……
最初に響いたのは、同じ部屋で寝ていたお母さんとお父さんの悲鳴だった。その時、背筋に走ったあの悪寒、あの感覚は忘れたくても忘れられない。
次に、両親が寝ていた隣の部屋にいた、妹の稀穂の悲鳴。それが聞こえた頃には――臆病な私は、部屋のクローゼットの奥へと隠れてしまった。
それから、何十分、何時間と経っただろうか。もしくは、私が思っているよりも短かったのかもしれない。時間の感覚さえも失ってしまう程の長い時間、家に見知らぬ人間の、見知らぬ物音が響き続け――私が見た頃に残っていたのは、乱雑に散らかされた家財道具と、三つの死体だけだった。
***
でも、本当に私を狂わせたのは……『魔法少女』なのかもしれない。
魔法少女としての仕事を全うし、その対価として――どんなモノでも生み出せる。そう聞いた私は、つい、こんな質問をしてしまったのだった。
『何でも……って事は、殺された家族を……生き返らせる事も出来るの?』
対するサポポンは、ただ――
『理論上は可能です.』
ただし、膨大な努力も必要と、そう付け加えた。でも。それだけ聞いたら……希望を見出しても、仕方ないんじゃないのだろうか。
私は頑張った。とにかくネガエネミーを倒して、倒して、倒し続けた。それでも足りない。足りなかった。でも、もう後には戻れない。そして、途方もない数のコアを必要とする私が思いついたのが、この計画だった。
その計画は、完璧に進んでいたはずだった。
私の創作した都市伝説も、苦労の末に街中に広がって、必要なコアも集まった。それなのに――
私はただ……どこの誰かも知らない悪党に奪われた――大好きな家族を。大好きだったあの場所を、取り戻したかっただけだった。
決して、復讐がしたかった訳でも、この世界を壊したかった訳でも無かったはずなのに……一体、私はいつから、狂ってしまったのだろう。
ここまで、良いことなんて一つも無かったこの道のりで――唯一、良かったと思うのは、狂ってしまった私を止めてくれた存在がいた事。
私の計画を止めたのは腹立たしいが――このままでは、私は暴走して、お母さんが、お父さんが、稀穂が。生きていたというこの世界に残る記憶さえ、世界ごと壊してしまうかもしれなかった。
それを食い止めてくれた事には、感謝を伝えたいな、と思う。……もう、私の身体はうんともすんとも言わないので、叶わぬ願いではあるのだが。
流石に――コア五百個のエネルギーを取り込んだ私の身体は、既に限界を超えてしまっていたらしい。戦っていた時も、様々な感情に心が押しつぶされそうになって……苦しかった。
それに比べて、今はとても楽だった。家族を生き返らせる――そんな使命も打ち砕かれ、全てから解き放たれた私は――あの事件以来、初めて。心が楽になったような……そんな気もする。
きっと、私はもう死ぬだろう。人間、魔法少女という存在、その一線を超えてしまった代償に――でも、後悔はしていない。できる限りの事はやった。それでもダメだったのだから、しょうがない。
私はこのまま――いずれ訪れるであろう最期の時間を、この暗い感情の奥底で、静かに待つ事にした。
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