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第四章 No.1459_CHANDELIER.
8.
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――戦いは、終わった。
魔法少女、黒咲稀癒。その身体が放っていた虹色の光は完全に失われ、元の、冷黒という二つ名の元となった黒い衣装の、元の魔法少女の姿へと戻っていた。
……ただし、彼女の意識だけは戻らなかった。
わたしは、そんな彼女を揺り起こそうとするが――
「恐らく無駄でしょう。あれほどのエネルギーを纏い、身体へ負荷を掛けたのですから、到底無事であるとは思えません」
「そうね……。それに、こんな危険な魔法少女を野放しにする訳にも……」
意識のない、冷黒の狩人――黒咲稀癒を囲むわたしたちの元に、わたしたち以外の――まるでわたしが初めて彼女を見た時のような、見るからに冷たい、鋼鉄で出来たあのサポポンがやって来て。
『彼女を殺してください――.
それが彼女.”No.1459_CHANDELIER” の為にもなるはずなので――.
彼女はこれ以上魔法少女として戦うのは厳しいでしょう――.
サポポンは記憶を消す事は出来ますが.魔法少女を殺す事はサポポンには出来ませんので――.』
冷たく、無機質な声で……そう言うのは、彼女、黒咲稀癒のサポート役であり、彼女に言われるがままに、五百ものコアの力を与えたサポポンだった。
「貴方……何、他人事のように振る舞っているのかしら? 貴方がしっかりしていれば、こんな事にはならなかったのよ? 普通に考えれば分かるでしょう!? 何故ッ! あの時ッ! チャージを止めなかったのッ!」
その姿を見た八坂さんが、声を荒げながら言い放つ。
「八坂先輩、落ち着いて下さい」
「落ち着いてなんていられないわよ! 私たちだって、本当に殺されかけたのよ!? よくもまあ、そんな平気な顔をして戻って来られたわねッ!!」
気持ちは分かる。あのサポポンが、彼女の命令を無視して、チャージさえしなければ――私たちも、この世界も、危険に晒されることは無かったのだから。そして彼女だって、こんな事にならずに済んだのだから。
でも――あのサポポンに怒りをぶつけた所で、この戦いがあった事は変わらない。目の前の状況だって変わらない。それに、あのサポポンの、怖いくらいの無機質さ――
『彼女の命令は絶対――.
それがサポート役であるサポポンの使命です――.
”No.1459_CHANDELIER”――黒咲稀癒を.殺して下さい――.』
……わたしたちの気持ちなんて、分かってくれるはずもないだろう。感情というものすら、あの鋼鉄の球体にはインストールされていないのであろう。
「八坂さん。あのサポポンの言う通り……終わらせましょう」
「……分かったわ。でも、その前に――」
八坂さんは冷たい、鋼鉄のサポポンの元へと向かうと――声も出さずに、一本だけ。ガラス瓶を生み出して、サポポンへと振り下ろした。
――ガッシャアアアアァァンッ!!
ガラス瓶の割れる音と共に、鋼鉄のサポポンの体には、ばりばりばりばりっ! と、ヒビが入っていく。
その光景に、わたしと氷乃さんは……声も出せず、息を呑む。
「これは私の私怨もあるけれど……貴方のような危険なサポポンを野放しには出来ない。だから、ここで壊させてもらう」
ヒビの入ったサポポンは、変わらず無機質な声で――
『何を勘違いしているのかは分かりかねますが――.
見た目等に差異があってもサポポンという存在.その本質は変わりません――.
仮にあなた方のサポポンがこのサポポンと同じ立場だったとしても………….…….』
シュウゥゥゥ……っ。力が抜けていくかのように、ここで声は途切れる。浮力を失ったサポポンは、カラン、カラン……と音を立て、地面へと転がり落ちる。
「……取り乱してしまってごめんなさい。……もう大丈夫よ」
そう言う八坂さんは笑顔を見せるが……それはどこかぎこちない、作り笑いだった。
もちろん、あのサポポンの言葉に納得できる方がおかしい。わたしだってそうだし、氷乃さんだって……同じような事を思っているに違いない。
それに、この戦いの末路がこんなにも、後味の悪いモノだったなんて。魔法少女を――わたしたちの手で、殺さなくてはならないという。
でも、あのサポポンを壊した所で、この目の前の事実は変わらないのだから。
「……私がやります。朝野さんは魔法少女になってまだ一週間。八坂先輩はまだ心が不安定なようなので――私が適任です」
氷乃さんはそう言うと、意識を失い倒れる、魔法少女姿の黒咲稀癒の元へとゆっくりと歩き、近づいて、静かに右手を向ける。
「これほどの大事件ですので――恐らく、貴方が魔法少女の死を迎えると同時に、ただの死とは違って魔法少女として戦えなくなるだけではなく、魔法少女に関する記憶、貴方が貴方に至った記憶さえも消されてしまうでしょう。
貴方の叶えたかった願いは何なのか、貴方に何があったのか、私に知る由もありません。しかし――」
少し間を置いて、彼女はただ一言。
「――次は道を踏み外す事なく、生きてください」
そう言い終えてから、氷乃さんは目を瞑り――右手からエネルギー弾をたった一つだけ……発射する。
魔法少女、黒咲稀癒。その身体が放っていた虹色の光は完全に失われ、元の、冷黒という二つ名の元となった黒い衣装の、元の魔法少女の姿へと戻っていた。
……ただし、彼女の意識だけは戻らなかった。
わたしは、そんな彼女を揺り起こそうとするが――
「恐らく無駄でしょう。あれほどのエネルギーを纏い、身体へ負荷を掛けたのですから、到底無事であるとは思えません」
「そうね……。それに、こんな危険な魔法少女を野放しにする訳にも……」
意識のない、冷黒の狩人――黒咲稀癒を囲むわたしたちの元に、わたしたち以外の――まるでわたしが初めて彼女を見た時のような、見るからに冷たい、鋼鉄で出来たあのサポポンがやって来て。
『彼女を殺してください――.
それが彼女.”No.1459_CHANDELIER” の為にもなるはずなので――.
彼女はこれ以上魔法少女として戦うのは厳しいでしょう――.
サポポンは記憶を消す事は出来ますが.魔法少女を殺す事はサポポンには出来ませんので――.』
冷たく、無機質な声で……そう言うのは、彼女、黒咲稀癒のサポート役であり、彼女に言われるがままに、五百ものコアの力を与えたサポポンだった。
「貴方……何、他人事のように振る舞っているのかしら? 貴方がしっかりしていれば、こんな事にはならなかったのよ? 普通に考えれば分かるでしょう!? 何故ッ! あの時ッ! チャージを止めなかったのッ!」
その姿を見た八坂さんが、声を荒げながら言い放つ。
「八坂先輩、落ち着いて下さい」
「落ち着いてなんていられないわよ! 私たちだって、本当に殺されかけたのよ!? よくもまあ、そんな平気な顔をして戻って来られたわねッ!!」
気持ちは分かる。あのサポポンが、彼女の命令を無視して、チャージさえしなければ――私たちも、この世界も、危険に晒されることは無かったのだから。そして彼女だって、こんな事にならずに済んだのだから。
でも――あのサポポンに怒りをぶつけた所で、この戦いがあった事は変わらない。目の前の状況だって変わらない。それに、あのサポポンの、怖いくらいの無機質さ――
『彼女の命令は絶対――.
それがサポート役であるサポポンの使命です――.
”No.1459_CHANDELIER”――黒咲稀癒を.殺して下さい――.』
……わたしたちの気持ちなんて、分かってくれるはずもないだろう。感情というものすら、あの鋼鉄の球体にはインストールされていないのであろう。
「八坂さん。あのサポポンの言う通り……終わらせましょう」
「……分かったわ。でも、その前に――」
八坂さんは冷たい、鋼鉄のサポポンの元へと向かうと――声も出さずに、一本だけ。ガラス瓶を生み出して、サポポンへと振り下ろした。
――ガッシャアアアアァァンッ!!
ガラス瓶の割れる音と共に、鋼鉄のサポポンの体には、ばりばりばりばりっ! と、ヒビが入っていく。
その光景に、わたしと氷乃さんは……声も出せず、息を呑む。
「これは私の私怨もあるけれど……貴方のような危険なサポポンを野放しには出来ない。だから、ここで壊させてもらう」
ヒビの入ったサポポンは、変わらず無機質な声で――
『何を勘違いしているのかは分かりかねますが――.
見た目等に差異があってもサポポンという存在.その本質は変わりません――.
仮にあなた方のサポポンがこのサポポンと同じ立場だったとしても………….…….』
シュウゥゥゥ……っ。力が抜けていくかのように、ここで声は途切れる。浮力を失ったサポポンは、カラン、カラン……と音を立て、地面へと転がり落ちる。
「……取り乱してしまってごめんなさい。……もう大丈夫よ」
そう言う八坂さんは笑顔を見せるが……それはどこかぎこちない、作り笑いだった。
もちろん、あのサポポンの言葉に納得できる方がおかしい。わたしだってそうだし、氷乃さんだって……同じような事を思っているに違いない。
それに、この戦いの末路がこんなにも、後味の悪いモノだったなんて。魔法少女を――わたしたちの手で、殺さなくてはならないという。
でも、あのサポポンを壊した所で、この目の前の事実は変わらないのだから。
「……私がやります。朝野さんは魔法少女になってまだ一週間。八坂先輩はまだ心が不安定なようなので――私が適任です」
氷乃さんはそう言うと、意識を失い倒れる、魔法少女姿の黒咲稀癒の元へとゆっくりと歩き、近づいて、静かに右手を向ける。
「これほどの大事件ですので――恐らく、貴方が魔法少女の死を迎えると同時に、ただの死とは違って魔法少女として戦えなくなるだけではなく、魔法少女に関する記憶、貴方が貴方に至った記憶さえも消されてしまうでしょう。
貴方の叶えたかった願いは何なのか、貴方に何があったのか、私に知る由もありません。しかし――」
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「――次は道を踏み外す事なく、生きてください」
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