悪役令嬢とヒロインはグルだった件

snow-lia

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「イリシスお嬢さま起きなさーい!!!」
そういうなり侍女が容赦なくカーテンを開けた。
「うっ…。干からびる…。」
日が部屋中に差し込みしょうがなく布団を頭まで被ったものの、いとも簡単にひっぺ剥がされた。
「侍女がやっていいことを超えている気が…。」
そう少しの反抗をしてみるものの…。
「主人の面倒を見るのは、私どもの役目ですので。」
そういうなりペッペペっと着せ替え人形のごとく着替えさせられた私は、眠い目をこすりながら食堂へ向かった。
「おはよう、イリス。今日も眠そうだね。」
と、長男の『カインズ・ヴィンラ』お兄様。
「おはよ~イリス。イリスも夜更かし?」
と、次男の『シートル・ヴィンラ』お兄様。
「おはよう、イリシス。今日も可愛いね。」
と、親ばかな『ヴィニス・ヴィンラ』お父様。
「おはよう、リーちゃん。もうそろそろで魔法学院に行くのだからちゃんと起きれないとだめよ?」
と、きれーな美人さんの『ミリーロズ・ヴィンラ』お母様。
「おはようございます~。ちゃんと寝ているのですが…私はどうにも朝に弱いみたいですわ!
学園に行くとしても、ここから通うのでへーきなのです!!」
そう言っておいしそうな朝ご飯を見ながら席に着く私を家族が呆れた目で見ていることを、私は知らないことにしている。
食事をしながら今日の予定について話そうと思う。
もちろん昨日考え付いたことを実行するだけなのだが…。
「そうだ、お母様は今日お茶会でしたわよね?
私顔を出した後小々図書室で調べたいものがあるのだけど行ってもよろしいでしょうか?」
そう聞いてらこてえは決まっている。
てか、この家は何かと私に甘いのだ。
「もちろんよ。調べたいことは徹底的に調べないとだめよ?」
やっぱりー。ってくらいに予想道理の答え。
一応謝っておきます。
今日は本を読むなんて予定はりませんので!
『調べたいもの』
ですので…。(図書室からまた出るのだけれど)
朝食後はちょちょいとおめかしされた後お母様たちのお茶会にちょちょっと顔を出してから、私特製のズボンワンピで図書室にむかった。
「今日中はここで調べ物をしようと思うのでお菓子とかはいいわ。
夕食まで人を入れないで。」
そう侍女たちに行ってから私は図書室に入った。
図書室は三階だから脱走されないと安心しているそこの侍女!!
私はそんなに甘くないわよ?!
そう、私は見つけてしまったのだ!!
何を?って
『秘密通路!!』をである。
いや~結構誇り給っててね、きれいにするのマジで頑張ったんだよ。
色々と仕組みあるみたいで…なんか矢とか飛んでくるから今では腹筋までついてしまった…。
まぁ、コルセットつけなくていいからいいんだけど?
誰も見ていないことを最終確認してから、私は力いっぱい本棚を押し、隠されているボタンを押した。
そのボタンを押した途端頑張って動かした本棚はいつも通り。
横に小さな扉が開いた。
サササッとその扉の中に入って扉を閉める。
地下で薄暗い通路をたいまつをもって、歩くこと10分。
「出た~。」
上の扉を押すと、そこはヴィンラ公爵家の領土の一つの古ぼけた家だったりする。
もちろん住んでいる人はいないが、私がってっかてかに磨いたので中はとてもきれいだ。(ハゲの頭ほどに…)
そんなこと言ってる暇もなく、その家に備えたローブなどを着て、裏門から外に出た。
「外の空気はいいわ~。」
肺いっぱいに空気を吸ってから私は人ごみの中を走った。
走って20分くらいだろうか?
「あった…!」
あの乙女ゲーで出てくるヒロインが平民だったころの家。
確かヒロインが王子様の命を救ったことで男爵家になるんだっけ?
嫌いすぎてあんま記憶にないわ~。
何はともあれ、入ってみるに限る!!
コンコンコン
「今行きます。」
ノックすると、家の中から返事があった。
中からは美人というより…かわいい系?の奥方…確かヒロインのお母さん?が出てきた。
「どちら様でしょうか?」
ローブを深くかぶっている怪しい人、でもまだ子供、ってことで変な人…と思われっているのだろう。
「マーシェリアさんはいらっしゃるでしょうか?」
記憶を探りに探って何とか思い出したヒロインの名前を聞く。
ヒロインの友達だと勘違いした?のか、家に招かれた。
「シェリアは今熱を出しちゃっていて…。」
やばいみたいなのは分かった。
だって、この家お金なさそうだもの。
いうとひどいかもだけど、お薬を買えない…って感じかな?
私はヒロインが寝ている部屋に入った。
「熱が高いわね…。」
このままだとやばい…かも。
私はちっちゃめの救急箱から熱さまし薬を1粒だした。
「そんな高価なもの!!」
そう止めさせようとするヒロインのお母さん。
「いいの。これは私のためだから。」
そう言って素早くヒロインに薬を飲ませた。
多分徐々に回復するだろう。
一息ついて、汗をぬぐった。
「あっ。」
深くかぶっていたローブのフードか外れてしまった。
「ヴィンラ公爵令嬢!!」
そういうなり、ヒロインのお母さんは跪いた。
やっちゃったー。
「頭を上げてください。私はたかが9歳の少女です。」
そういうと、渋々といった感じに頭お上げてくれた。
「この度はどう感謝すればよいか…。」
このままだと絶対お金とか出そうと頑張るんだろうなぁ~この人は。
そんなことさせるためじゃないし…。
そうだ!
「では、マーシェリアさんの熱が下がった後でいいので、私の専属侍女につくのはどうでしょうか?」
ナイスアイディアだと思う。
さすがに急にあなたはヒロインよ!というよりは距離を縮めてからフラグを負った方が適格だろうし。
「それだけでよろしいのですか?その様なことで宜しいのでしたら、熱が下がってすぐ、便りを出させてもらいます!」
そう言って涙ながらに言われたら・・ハイ。としか答えようがない…。
まぁ、お父様にはあとで話をつけとくとして…。
『フラグ負ったぜ、ヒャッホーウ!!』
もう遅いので、私は、来た道をさかのぼって家に帰った。

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