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しおりを挟むその次の日から私たちは騎士の練習場に向かうことになった。
そして、今は王宮(練習場)へ向かっている最中なのである。
「楽しみだね~」
そう言ってキトを見ると手がプルプル震えていた。
「た、楽しみなんですが…。
ほんとに僕たちなんかが言っていいところなのかな?」
昨日ずーっとそのあと話していたこともあって、私達の距離は結構近くなった気がする。
歳が近いこともあったのかもだけど…前世の歳はノーカウントだお??
でも話したって言っても…。
どうしてここに来たのかとか、
足の速い理由とか…
お姉さまのこととか、お姉さまのこととか、お姉さまのこととか…である。
要するに、お姉さまの自慢とかが大半だった気がする。
思い出して少し苦笑いを浮かべてしまった。
「着きました。」
そう言って従者が馬車の扉を開いてくれたので、私はピョンとそこから降りた。
私をエスコートしようとしたキトの手が空中で止まっていたので、その手を引っ張って従者にお礼をしてから練習場に走った。
やっべ…。
ヴォス…。
「うぉ!
ミリ嬢とキトじゃねぇーか。
走ってきたのか?
じゃあ、さっそく練習に入れるな!」
ダッシュしていて急ブレーキができず、思いっきり団長に衝突した。
鼻が…痛い…。
鼻をさする私をキトが心配そうに見てきた。
ベリル団長が付いてこいと言って、練習場の中に入っていった。
入った瞬間すっごい目線が突き刺さった。
まぁ、悪意ではなく好奇の目線だからよかったと思う。
「みんな!これから一緒に練習キトとミリ嬢だ!
キトの報はここにいるみんなと同じくらいの実力があるから安心しろ。」
そういった団長に頷く騎士たちの目線はすべてが私に向いた。
まぁ、そうなるよね~。
女だもんね~。
そう思ったものの、微笑は忘れない。
「団長!
その令嬢ってもしかして、団長を打ち負かした人じゃないですか?!」
うん???
なんやと???
「そうなんですかぁ?!」
あちらこちらで声が出始めた。
「本当だ。
俺はこの令嬢に木登りで負けてしまった…。
全力は出したのだが…。」
そう言って苦笑いし、私を見てくるベリブ団長にいい笑顔を向けてやった。
「ベリブ団長。
それは木登りであって、剣の腕ではありませんわ。」
そう言って私は、腰に刺してある剣に手を触れてそれを引き出した。
「稽古お願いしますね?」
これでも、剣道やらなんやらと体術は教え込まれたんだ。
孤児はいじめられるから…。
それから自分で守れるだけの力が必要とされた。
「そうだな…。」
誰と戦わせようか迷っているようだ…。
まぁ、はたから見たらただの小さな少女でしょうしね…。
「団長。
俺が相手します。」
そう言って団長の隣に出てきたのは猫耳の人だった。
そう、猫耳であった。(大事なことは二回言う)
「手加減しろよ~。」
そう、周りの人が言っている。
気に食わない。
「そうだな。
実力も見たいし…初めからっていうのもなんだが、試合をしよう。」
そう言われ、周りで練習していた騎士たちは観客席用の上のへと昇っていった。
「では、始めるぞ!」
スタートは団長が落としたがコインが地面についたらのようだった。
チャリンッ
床についた瞬間、猫耳騎士がぐんと私に近寄ってきた。
まだ攻撃をする気はないらしい…。
「攻撃しないのですか?」
分かっていながらも一応聞いてみた。
「攻撃してしまったら一撃で終わってしまう。
それだと実力も何も見えないだろう?」
ムカつく言いようだが…まぁそれもそうだ…。
「そうですか…。
では、私から…。」
私はその声と共に、一歩踏み出した。
一歩と言って足に身体強化をかけたから、一瞬で距離が縮まった。
カキーン
勤続と金属のぶつかり合う音。
久しぶりの剣も気持ちいい。
体が動く。
そう思い、私は前世で覚えているように剣を振るった。
「実力は分かりましたか?」
ずっと受けしかしない猫耳騎士さんに笑って聞いた。
さすがというべきか猫耳騎士さんも息をまだ荒くしてない。
「そうだな…。
俺も本気出さないとやばいかもな。」
そう言って猫耳騎士さんは笑った。
余裕ってことではないらしい。
その後も何度も金属のぶつかり合う音だけが練習場を響きまわっていた。
「なぁ、令嬢。
知ってるか?
獣人の中にはな…人間の4倍は身体強化できるんだぜ?」
そう言ったと思ったら、猫耳さんは速度を速めた。
普通の人では見えない…か。
私はそっと目をとじた。
思い出す。
前世の何度も目隠しを私にしてから叩こうとしてきたいじめっ子の奴ら。
そのおかげもあって、私は目を使わなくてもある程度は生活できる。
「諦めたか?」
ここだぁ!
「はぁぁ!」
身体強化だけじゃこの体は持たないと思い、遠心力を使いその剣を止めようと、剣を振るう。
「フラン!だめだ!!」
そう、団長が叫んでいるのが聞こえた。
カキン!!!
耳をふさぐほどの大きな金属のぶつかり合う音…。
「これも止めるのかよ…。」
私はその剣を抑えた反動で後ろに吹っ飛んだ。
やべっ。
『勢いをよはめて、水クッション!!』
そう、心の中で、使ったこともない魔法に願った。
プオ~ン
そうすると、私の体はプルンプルンの感触を背にとまった。
負けた。
身体強化以外の魔法は禁止なんだ…。
もっと強くなんないと…。
お姉さまを守れるように。
『すべてはエミお姉様のために!!』
なんかかっこいいですよね~
書きながら思っていましたww
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