性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000の勇者が攻めてきた!

モト

文字の大きさ
9 / 16

勇者が違和感半端ない!

しおりを挟む

触手に捕まった俺を見て、固まっている勇者。

触手が俺を離さまいとぎゅうっといろんなところに絡みついてくる。

「んあっ、そこ、入っちゃ、ダメな……っんあぁ、やだぁ!」
「……魔王様」
「んんっ、み、んなぁ!!」

ジッと視線を感じるぅ!!

きっと、このエロ勇者もこの状況を楽しんでくるに違いないっ!! 俺の脳内でこれから起きる恐ろしいことにサーっと血の気が引いていく。
とにかく、俺の腕だけでも外して触手にパンチを与えて、木のお化けをメロメロにさせるんだ。

その瞬間だ、勇者の方向から突風が吹いたと思ったら、シュパンッと切れる音が鳴った。身体に巻き付かれていた触手が離れたと思ったら、勇者の腕の中にスッポリ入っていた。

「————……え?」
「大丈夫ですか? 魔王様」

問いかけに頷くと、勇者は木のお化けにはドスの利いた声を出した。俺の身体を抱き寄せるように片手で持ち上げて、もう片方の手で鞘から剣を抜き木のお化けに向けた。

「おいっ! テメェ、俺の魔王様が嫌がってんのが分からねぇのかよっ!! あぁ!? 絶対ぶっ殺す!!」
「い、いや……俺は、お前に対しても結構嫌がっているんだがな……」


木の化け物の方も怒っているのか、木の幹から触手を大量に出してきた。その触手が一気に俺と勇者に向かってくる。


勇者はスゥっと息を吸ったかと思うと、触手の攻撃してくるより早いタイミングで剣で切りつける。

その素早い太刀攻撃は、勇者に抱き上げられている俺でも目で追えなかった。

なんだ、この速さ……。おっそろしいな。


シュパン、シュパン、と切れる音。大量の触手が一斉に攻撃するも勇者には効かない。

木のお化けの触手には再生能力があるのか、切ったところから生えてくる。が、勇者には太刀打ちできないことが分かったのか、地面から根っこが抜けてジリジリと後退する。


勇者がそんな木のお化けに許すことなく、剣を向けながら距離を詰める。


「——おい! もういいだろう。木のお化けも戦意喪失してるじゃねぇか」
「は? 貴方、何言ってんですか。貴方この木に蹂躙されるとこだったんですよ」


そう言われると、嫌な気がする。
ジロッと木のお化けを睨むと、木のお化けが触手をモジモジさせる。

「ね。やっぱり許せません。俺の魔王様に二度とそんな気を起こさないようにぶっ殺しておかないと」

——だから、お前の魔王様じゃねぇっての。

人が怒っているのをみると、逆に冷静になってくるので、俺の怒気はしぼんでいく。

「木のお化け、二度と俺に関わるな。な? 分かったよな」
「……魔王様」

そう言うと、木のお化けが、まるで頷くみたいに幹を曲げた。曲げるとポロポロと木のお化けの実が落ちてくる。

その実を触手が俺に渡そうとするのを、「調子のんな」と勇者が実を取り上げた。


「魔王様が決めたことだから、俺もそれに従う。だが、今度、俺の魔王様に手を出したら許さねぇからな」

勇者のドスの効いた声に木の化け物はデカい図体の割に俊敏な動きで去って行った。
静かになった場所で、未だに勇者の肩に捕まって抱き上げられていることに気づき、手をパッと離した。


「いや、お前の俺じゃねぇから」
「あぁ、失礼しました。魔王様の俺でいいです」

まだ怒っているのか、無表情だ。だが、触手の粘液でヌルヌルの俺をマントで包んでくれ、近くの川まで向かってくれた。

この後、もしかして川で厭らしいこと……もされない。
普通に一人で川で身体を洗わせてもらえた。


——……コイツにとっては、今すげぇエロ展開だろうに。なんで、何もしないんだ?


先日逃げた時も、今も。
最初に尻の点検された以外はキスだけだし。勇者は何を企んでいるのだろう


「魔王様」
「ひぃっ!!」

川から上がって服を着ていると、真後ろで勇者の声がして身を飛び跳ね驚いた。
やっぱり、覗いでいたのか!? 半裸の俺を抱くつもりか!?


勇者はちょっと、いやかなり俺のむき出しの足を見てくる、というか、目が固定されている。
あまりに強い視線なので急いでズボンを履いた。

「おい、なんだよ」
「————……いいえ。魔王様、こちらをどうぞ」

勇者は頬を染めて花束を俺に渡してきた。山間に咲く青色の花。

「え」
俺に花束を受け取らせた後、その中から一本花を取り出して、俺の尖った耳の上に飾った。
その様子を呆然と見た。

「魔王様、きれいです」

ははっと笑う仕草。

「…………」

あれ? なんだっけ。これ?

昔にもこんな風に花をもらった気がする。違う花だったけど、キレイな花をみると俺に持たせてくるんだ。

『ラキさんキレイ、すき。大好き』

「…………あれ?」

あれ? 俺は、何か大事なことを見逃していないだろうか。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

悪辣と花煙り――悪役令嬢の従者が大嫌いな騎士様に喰われる話――

BL
「ずっと前から、おまえが好きなんだ」 と、俺を容赦なく犯している男は、互いに互いを嫌い合っている(筈の)騎士様で――――。 「悪役令嬢」に仕えている性悪で悪辣な従者が、「没落エンド」とやらを回避しようと、裏で暗躍していたら、大嫌いな騎士様に見つかってしまった。双方の利益のために手を組んだものの、嫌いなことに変わりはないので、うっかり煽ってやったら、何故かがっつり喰われてしまった話。 ※ムーンライトノベルズでも公開しています(https://novel18.syosetu.com/n4448gl/)

催眠術をかけたら幼馴染の愛が激重すぎる⁉

モト
BL
魔法が使えない主人公リュリュ。 ある日、幼馴染で庭師の息子のセスが自分をハメようと企てていることを知る。 自分の身の危険を回避する為に、魔法が使えなくても出来る術、催眠術をセスにかけた。 異常に効果が効きすぎてしまって、おぉお!? 俺のことをキレイだと褒めて褒めて好き好き言いまくって溺愛してくる。無口で無表情はどうした!? セスはそんな人間じゃないだろう!? と人格まで催眠術にかかって変わる話だけど、本当のところは……。 2023に『幼馴染に催眠術をかけたら溺愛されまくちゃった⁉』で掲載しておりましたが、全体を改稿し、あまりに内容変更が多いのでアップし直しました。 改稿前とストーリーがやや異なっています。ムーンライトノベルズでも掲載しております。

悪役のはずだった二人の十年間

海野璃音
BL
 第三王子の誕生会に呼ばれた主人公。そこで自分が悪役モブであることに気づく。そして、目の前に居る第三王子がラスボス系な悪役である事も。  破滅はいやだと謙虚に生きる主人公とそんな主人公に執着する第三王子の十年間。  ※ムーンライトノベルズにも投稿しています。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

アルファのアイツが勃起不全だって言ったの誰だよ!?

モト
BL
中学の頃から一緒のアルファが勃起不全だと噂が流れた。おいおい。それって本当かよ。あんな完璧なアルファが勃起不全とかありえねぇって。 平凡モブのオメガが油断して美味しくいただかれる話。ラブコメ。 ムーンライトノベルズにも掲載しております。

弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。

あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。 だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。 よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。 弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。 そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。 どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。 俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。 そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。 ◎1話完結型になります

処理中です...