24 / 25
24.キス
勢いよく唇がくっついたのに、そこからは、やたらとゆっくり優しいキスになった。
熱い舌が口を開けるように突いてくるので、俺は少し口を開ける。
にゅるっと舌が侵入してくる。
抵抗せず受け入れていると、益々深くなってくる。俺の舌にもよく絡んで、車の中だというのに、身体もどんどん熱を帯びてくる。
「──……ふぁ、っん」
耳を指で厭らしく撫でられて、身体がビクンと反応する。
耳は触らないように胸を押したが、全然聞いてくれない。
「んっ、ん……ぁっ」
自分の声じゃないような高い声をあげると、ようやく八乙女が唇から顔を離した。
にっこぉ
「……」
八乙女のやつ、見たこともない上機嫌だ……。
さっきまでのイライラはどこに置いてきたのか、ちゅっちゅっと俺の頬にバードキスをする。
嬉しそうにキスされては、こそばゆい。
凄い、浮かれているな……
絆されながら俺も瞼を閉じたとき、聞き捨てならない言葉を八乙女が囁いた。
「結婚しましょう」
結婚?
「ん?」
「住むところについてはゆっくり考えていきましょう。あぁ、でも先に籍は入れておきたい」
「あ……へ? お、おい」
籍?
「八乙女さんっ、話が飛びす、ぎ……っ、ん、キスするのやめてくださいよ! ──ちょ、おい。アンタどこ触って」
飛躍している話を戻そうとしているのに、八乙女の手が俺の股間を揉んでいるじゃないかっ!
やめなさいっ、ぐにぐにするな!
「ふふ、勃起してます」
「そ、そりゃ健康ですからって……ひ──ぎゃぁあ、ズボンのチャック下げないでっ! 車の中で変なことしないでくださいよ!」
「じゃあ、ホテルへ行きましょうか」
はい。と八乙女は俺のシートベルトを付け直した。
そして、車のエンジンを付ける。
へ、と横にいる男を見ると、るんるんと鼻歌交じりにご機嫌だ。
────……ホテルって。
え、ホテルに行くってことはだ、あれか。
セ……セックスするってことだ。
でも、この人強引だけど紳士。俺に欲情しても、自分の精の発散に俺の身体を使うことはしなかった。
……え? 紳士って強引だっけ?
「すぐ着きますので」
「……」
脳内バグを起こして、身を固まらせている間に、目的地に着いてしまった。本当にすぐ着いてしまった。
八乙女は車から降りて、助手席のドアを開けてくれたんだが、なかなか立たない俺を抱き上げそうになるので、自分の足でしっかりホテルの部屋まで向かった。
あなたにおすすめの小説
俺の婚約者は悪役令息ですか?
SEKISUI
BL
結婚まで後1年
女性が好きで何とか婚約破棄したい子爵家のウルフロ一レン
ウルフローレンをこよなく愛する婚約者
ウルフローレンを好き好ぎて24時間一緒に居たい
そんな婚約者に振り回されるウルフローレンは突っ込みが止まらない
僕はお別れしたつもりでした
まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!!
親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語