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「ごめんっ!!」
「…………………」
鷹橋が、俺の部屋で大袈裟に頭を下げた。
先程、鷹橋と俺がキスした場所は、俺の家の前だ。
家の前だという事を忘れ、キスに没頭しているところに、視線を感じる。
先に気づいた鷹橋が、ギクリと固まって、何か……? と思ったら、母が口元を抑えてニヤニヤとこちらを見ていた。
「母さん!」「お母様っ!?」
ん。鷹橋の“お母様”という言い方が引っ掛かるが、そんな場合じゃない。
「若いっていいわねぇ、あ? 続けて? どうぞ?」
ほほほほほっと母が家に入るフリをするが、隠れてこっちを見ている。そうだった、母は恋愛話が大好きな野次馬心のあるお節介な人だ。
このままだと、鷹橋とまともに話しをすることもできないので、鷹橋の腕を引っ張って、俺の部屋の中に入れた。
そして、冒頭部分に戻る。
久しぶりのキスの感覚は、ヤバかった。一度口づけると止まらなくなったのは鷹橋だけじゃなくて……、俺も同じ。なので、彼だけ責める訳にはいかない。
「……とりあえず、座れば?」
座ればって言っても、ベッドと勉強机しかない部屋だ。鷹橋には勉強机の椅子を勧め、自分はベッドに座る。
「……いいんか?」
「うん。どうぞ」
椅子にすわった鷹橋は、きょろきょろと部屋中を見渡す。
「そんな眺めて楽しいか?」
「委員長の部屋って感じ。ちょっと感激してる」
先程まで、かなり落ち込んでいたのに、キス一つで元通りの鷹橋に戻っている気がする。
「でも、ホイホイ男連れこんじゃ駄目だ。男は狼なんだから襲われるぞ! 危機管理をもっとちゃんと持て! さっきだって……」
さっきだって、と言い出して口を噤む鷹橋。
「さっきって何?」
鷹橋が落ち込む原因が分からず聞いているのに、鷹橋は言いづらそうだ。
「……委員長、朝日川と一緒にいたろ。楽しそうに話しててさ。俺には全然笑ってくれねぇのに」
「お前、修二さんと歩いている所見ただけで、あんなに落ち込んでたの?」
「……修二さん?」
鷹橋の目つきが鋭くなったのを自分でも気づいたのか、下を向いた。
何だ……、もっと海外の事とか深刻な話だと思っていたのに。
なんか、鷹橋っていつもそうだよな。
「ありゃ、叔父さんだ。バーカ。修二さんは俺の父の弟」
「叔父? …………でも、アルファで、男には違いない。委員長の身体は、敏感で気持ちいい事大好きだから」「ストップ」
何か嫌な事を言われそうなので、黙らせた。
「ない。今まで、お前しかそういう関係になってない」
面倒くさいので、きっぱり言う。でも、と鷹橋が言うが、ないもんはないっと答える。
「さっきも俺がキスしたら、抵抗しなかったし……委員長は自分が考えるよりチョロい」
「……それは—————……もにょもにょ……」
「え? 何? 聞こえない。委員長?」
それは、お前だから抵抗しなかったんだ。
確かに、鷹橋の匂いで猫マタタビ状態で足を開いている俺だが、俺みたいな平凡な見た目で愛想がないオメガにここまで求愛活動してくる奴はコイツ以外いない。
アルファの匂いって、厄介だ。自分が気づく前に嗅覚が求めてしまうのだから。
「ごほん。まぁ、修二さんはない」
「…………そう。よかった。吐き気がなくなった。あのさ、委員長、さっきの続きなんだけど、好きです」
「…………」
唐突に告白が始まったので、思わず赤面する。
俺も答えなくちゃと思うけど、“海外留学”という大きな問題が一つ残っている。俺に海外の話をしないところ、鷹橋の中では完全に行かないと決めている事なんだろう。
「————……お前さ、海外行けよ」
鷹橋の才能を横で見ていると、狭いところに留まらず、もっと広い場所へ行くべきだと思う。
「……え?」
その瞬間、鷹橋の顔がさーっと血の気が引いていく。一気に真っ青になって表情をなくした顔を見て、こいつにとって、これは地雷だったのだと思った。
放っておけない表情に近くまで駆け寄って手を握る。俺から手を握るのは初めてだ。
鷹橋は、真っ青な顔で、唾液が溜まったのか、ゴクリ。と大きく喉ぼとけが動いた。
「……重くて悪いんだけどさ……あー、また吐き気してきた。……あのさ、委員長と離れたくねぇの。どこで、その話聞いたのか知らねぇけど、もう、この話しないで」
委員長に言われたら、辛い。
「……」
鷹橋には悪いが、母性本能が芽生えるならこの瞬間だ。
なんで、こんなにコイツは愛おしいんだろうか、とかそういう気持ち。ぶわぁっと俺の中から匂いが増すのが自分でもわかる。
「———……委員長? なんで? ————っこの匂いは?」
鷹橋が口を押さえる。狭い密室空間でオメガに匂いを香らされては堪らないだろう。でも、鷹橋は襲いにはこない。俺の気持ちを重んじているから。
「———……やっぱり、海外留学しろ。もっと、いい男になりそうな気がする」
「……っ、委員長」
俺は、鷹橋が口元を抑える手を離して、両手を拘束するみたいに握った。驚く顔をする鷹橋にもっと近づく。
この男が、活躍する姿を見るのを傍で見たい気がするから。
最大のやる気になる餌を投入してやることにした。
「俺が欲しいなら、海外留学してこい」
☆鷹橋視線
委員長は、俺を動かす方法を知ったようだ。
この二年間、ほぼ、俺の行動は委員長に限っていたので、彼に気づかれても仕方がない。
目の前の美味しい匂いを醸しているプレゼントにメラメラと闘志が湧いてきた。
『俺が欲しいなら、海外留学してこい』と言った。一言一句間違わず聞いた。
握られた手を握り返し前のめりになる。
「絶対にくれるんだな? 絶対。今、念書書かせるぞ!」
キョトンと目を丸くした彼が、クックッと初めて笑顔を見せたので、じわぁっと腰が甘くなるのを堪えて念書を書かせた。委員長は分かってないけど、これでもう、半分結婚したも同じだ。
俺と言う男は現金なもので、その瞬間からヤル気に満ち溢れた。
再度心配である委員長と朝日川の関係を聞いた。叔父と甥っ子と言う関係は間違いなく、委員長の母親が作るおかずを渡しに行っていただけだった。それがようやく真実だと受け取って、胃の吐き気がすぅっと消えるから本当に不思議だ。
そうして、俺は、別人のようにガリ勉になった。時折、委員長が遊びに来てくれて、ムラムラさせて帰っていく。何度か押し倒して、首とか唇とか嘗め回して、「あぁん」と委員長が喘ぐ声を聞いて、ハッと首を振る。
身体だけの関係はダメ―……!
委員長に帰ってもらった後は、もう自慰にふけって、それが発散になったかと言うと、ムラムラ悶々するだけだった。
しかし、そうなると今後のバロメーターがどんどん大きくなる。
本気になったアルファ程、怖いモノはない。海外へ飛ぶ前の模試はほぼ満点に近い点数を叩きだして、朝日川も腕を組んで、唸っていた。
そうして、海外へ飛び、大学受験も一発で合格した。
合格発表、親も流石だと言っていたが、そんなもんは俺にとっては何の価値もない。
ただ……もう、早く日本に帰りたい。絶対、飛び級してやる。いい男の条件は分かんねぇ。企業でも立ち上げたらいいんか?博士号か?
とにかくやる事はいっぱいだが、委員長の事が勉強外の半分を埋め尽くす。
こうしている間に委員長が誰かにかっさられたらどうしよう。とにかく次の週末には日本に帰らなきゃ。
俺は、広い芝生に座りながら、委員長と電話していた。
俺の住んでいる地域は、子供も多くて広い公園がとても多い。今座っている芝生もとてもよく整備されている。今日はなんだか、とてもいい匂いがする。春なので、色んな花が咲いているからかもしれない。
「なぁ、俺、モテないぞ?」
「そんな事ない!! 委員長ったら、目キラキラして可愛いし、ちっちゃい口が大きいモン頬張っていたらそれだけで勃起案件だし、急なデレがやってきた時の照れ顔だけで、軽くご飯三杯はイケる!!」
「褒められている気がしねぇ」
「委員長は、意外とチョロいところがあるから、絶対アルファに近づいちゃ駄目だからなっ!!」
あ————————……もういい。と電話越しで委員長が呆れている。
はっ!! やばい、電話切られる!! 俺の委員長が!! 俺の癒しがぁ!!
「まって、委員長————切らな……!!!!」
俺の必死の叫びも空しく、プツンと電話が切られてしまった。
「……」
俺の情緒、また不安定になりそう……。
いつまでも、俺だけが焦ってる……。
はぁ、っと溜息を付きながら、スマホを見つめる。その暗くなった画面に俺と……
「なぁ、ところで、俺っていつまで、委員長って呼ばれるの?」
「え?」
振り向くと、そこには、恋焦がれた委員長がいた。バックには咲き乱れた花。
一瞬、ここが天国かと思った。
どういう事? 天国じゃないなら夢?
完全に固まった俺を見て、委員長が座っている俺に視線を合わせるように座った。
照れて、恥ずかしそうに俺を見ている。
「俺も近くの大学、ってまぁ、二流の大学だけど通える事になったの。すげぇ勉強してた。知らなかっただろう?」
「委員長……」
「サ、サプライズってやつ? はは……え、恥ずかしい」
本物だ……。本物の委員長だ。委員長の目に俺が映っている。
委員長が、何か重要な事言っているけど、驚きすぎて頭に入って行かない。今、なんて言った? すぐに分からない。
近くの大学に通うって言わなかった……?
それって、俺を追いかけてきてくれたって事?
委員長、いつもガリ勉だから、分からなかった。でも、ここまで来れるオメガなんて……
「追いかけても追いかけられるとは思わなかっただろ? なんで来たと思う?」
驚いた俺にしてやったりと、いたずらっ子のように笑う。
委員長が俺の左手を軽く持って唇に近づける。普段可愛いだけの彼が格好良く見えた。
「好きって言い忘れてた。今度は俺が求愛しようと思って」
左手の唇の感触に全身が鳥肌が立つ。
「委員長……好きだ」
待ちきれず、先に言ってしまう。待ちきれない……
「ふは。馬鹿。俺の番だって言っただろ」
そう言って、左手から唇を離し、目を閉じながら俺の唇に近づいてくる。
何度としたことあるキスなのに、これほどドキドキした事はない。
そうか……、これが委員長の求愛か……。なんてワクワクするのだろう。
目を閉じて、ワクワクドキドキする甘いキスを堪能した。
終わり。
「…………………」
鷹橋が、俺の部屋で大袈裟に頭を下げた。
先程、鷹橋と俺がキスした場所は、俺の家の前だ。
家の前だという事を忘れ、キスに没頭しているところに、視線を感じる。
先に気づいた鷹橋が、ギクリと固まって、何か……? と思ったら、母が口元を抑えてニヤニヤとこちらを見ていた。
「母さん!」「お母様っ!?」
ん。鷹橋の“お母様”という言い方が引っ掛かるが、そんな場合じゃない。
「若いっていいわねぇ、あ? 続けて? どうぞ?」
ほほほほほっと母が家に入るフリをするが、隠れてこっちを見ている。そうだった、母は恋愛話が大好きな野次馬心のあるお節介な人だ。
このままだと、鷹橋とまともに話しをすることもできないので、鷹橋の腕を引っ張って、俺の部屋の中に入れた。
そして、冒頭部分に戻る。
久しぶりのキスの感覚は、ヤバかった。一度口づけると止まらなくなったのは鷹橋だけじゃなくて……、俺も同じ。なので、彼だけ責める訳にはいかない。
「……とりあえず、座れば?」
座ればって言っても、ベッドと勉強机しかない部屋だ。鷹橋には勉強机の椅子を勧め、自分はベッドに座る。
「……いいんか?」
「うん。どうぞ」
椅子にすわった鷹橋は、きょろきょろと部屋中を見渡す。
「そんな眺めて楽しいか?」
「委員長の部屋って感じ。ちょっと感激してる」
先程まで、かなり落ち込んでいたのに、キス一つで元通りの鷹橋に戻っている気がする。
「でも、ホイホイ男連れこんじゃ駄目だ。男は狼なんだから襲われるぞ! 危機管理をもっとちゃんと持て! さっきだって……」
さっきだって、と言い出して口を噤む鷹橋。
「さっきって何?」
鷹橋が落ち込む原因が分からず聞いているのに、鷹橋は言いづらそうだ。
「……委員長、朝日川と一緒にいたろ。楽しそうに話しててさ。俺には全然笑ってくれねぇのに」
「お前、修二さんと歩いている所見ただけで、あんなに落ち込んでたの?」
「……修二さん?」
鷹橋の目つきが鋭くなったのを自分でも気づいたのか、下を向いた。
何だ……、もっと海外の事とか深刻な話だと思っていたのに。
なんか、鷹橋っていつもそうだよな。
「ありゃ、叔父さんだ。バーカ。修二さんは俺の父の弟」
「叔父? …………でも、アルファで、男には違いない。委員長の身体は、敏感で気持ちいい事大好きだから」「ストップ」
何か嫌な事を言われそうなので、黙らせた。
「ない。今まで、お前しかそういう関係になってない」
面倒くさいので、きっぱり言う。でも、と鷹橋が言うが、ないもんはないっと答える。
「さっきも俺がキスしたら、抵抗しなかったし……委員長は自分が考えるよりチョロい」
「……それは—————……もにょもにょ……」
「え? 何? 聞こえない。委員長?」
それは、お前だから抵抗しなかったんだ。
確かに、鷹橋の匂いで猫マタタビ状態で足を開いている俺だが、俺みたいな平凡な見た目で愛想がないオメガにここまで求愛活動してくる奴はコイツ以外いない。
アルファの匂いって、厄介だ。自分が気づく前に嗅覚が求めてしまうのだから。
「ごほん。まぁ、修二さんはない」
「…………そう。よかった。吐き気がなくなった。あのさ、委員長、さっきの続きなんだけど、好きです」
「…………」
唐突に告白が始まったので、思わず赤面する。
俺も答えなくちゃと思うけど、“海外留学”という大きな問題が一つ残っている。俺に海外の話をしないところ、鷹橋の中では完全に行かないと決めている事なんだろう。
「————……お前さ、海外行けよ」
鷹橋の才能を横で見ていると、狭いところに留まらず、もっと広い場所へ行くべきだと思う。
「……え?」
その瞬間、鷹橋の顔がさーっと血の気が引いていく。一気に真っ青になって表情をなくした顔を見て、こいつにとって、これは地雷だったのだと思った。
放っておけない表情に近くまで駆け寄って手を握る。俺から手を握るのは初めてだ。
鷹橋は、真っ青な顔で、唾液が溜まったのか、ゴクリ。と大きく喉ぼとけが動いた。
「……重くて悪いんだけどさ……あー、また吐き気してきた。……あのさ、委員長と離れたくねぇの。どこで、その話聞いたのか知らねぇけど、もう、この話しないで」
委員長に言われたら、辛い。
「……」
鷹橋には悪いが、母性本能が芽生えるならこの瞬間だ。
なんで、こんなにコイツは愛おしいんだろうか、とかそういう気持ち。ぶわぁっと俺の中から匂いが増すのが自分でもわかる。
「———……委員長? なんで? ————っこの匂いは?」
鷹橋が口を押さえる。狭い密室空間でオメガに匂いを香らされては堪らないだろう。でも、鷹橋は襲いにはこない。俺の気持ちを重んじているから。
「———……やっぱり、海外留学しろ。もっと、いい男になりそうな気がする」
「……っ、委員長」
俺は、鷹橋が口元を抑える手を離して、両手を拘束するみたいに握った。驚く顔をする鷹橋にもっと近づく。
この男が、活躍する姿を見るのを傍で見たい気がするから。
最大のやる気になる餌を投入してやることにした。
「俺が欲しいなら、海外留学してこい」
☆鷹橋視線
委員長は、俺を動かす方法を知ったようだ。
この二年間、ほぼ、俺の行動は委員長に限っていたので、彼に気づかれても仕方がない。
目の前の美味しい匂いを醸しているプレゼントにメラメラと闘志が湧いてきた。
『俺が欲しいなら、海外留学してこい』と言った。一言一句間違わず聞いた。
握られた手を握り返し前のめりになる。
「絶対にくれるんだな? 絶対。今、念書書かせるぞ!」
キョトンと目を丸くした彼が、クックッと初めて笑顔を見せたので、じわぁっと腰が甘くなるのを堪えて念書を書かせた。委員長は分かってないけど、これでもう、半分結婚したも同じだ。
俺と言う男は現金なもので、その瞬間からヤル気に満ち溢れた。
再度心配である委員長と朝日川の関係を聞いた。叔父と甥っ子と言う関係は間違いなく、委員長の母親が作るおかずを渡しに行っていただけだった。それがようやく真実だと受け取って、胃の吐き気がすぅっと消えるから本当に不思議だ。
そうして、俺は、別人のようにガリ勉になった。時折、委員長が遊びに来てくれて、ムラムラさせて帰っていく。何度か押し倒して、首とか唇とか嘗め回して、「あぁん」と委員長が喘ぐ声を聞いて、ハッと首を振る。
身体だけの関係はダメ―……!
委員長に帰ってもらった後は、もう自慰にふけって、それが発散になったかと言うと、ムラムラ悶々するだけだった。
しかし、そうなると今後のバロメーターがどんどん大きくなる。
本気になったアルファ程、怖いモノはない。海外へ飛ぶ前の模試はほぼ満点に近い点数を叩きだして、朝日川も腕を組んで、唸っていた。
そうして、海外へ飛び、大学受験も一発で合格した。
合格発表、親も流石だと言っていたが、そんなもんは俺にとっては何の価値もない。
ただ……もう、早く日本に帰りたい。絶対、飛び級してやる。いい男の条件は分かんねぇ。企業でも立ち上げたらいいんか?博士号か?
とにかくやる事はいっぱいだが、委員長の事が勉強外の半分を埋め尽くす。
こうしている間に委員長が誰かにかっさられたらどうしよう。とにかく次の週末には日本に帰らなきゃ。
俺は、広い芝生に座りながら、委員長と電話していた。
俺の住んでいる地域は、子供も多くて広い公園がとても多い。今座っている芝生もとてもよく整備されている。今日はなんだか、とてもいい匂いがする。春なので、色んな花が咲いているからかもしれない。
「なぁ、俺、モテないぞ?」
「そんな事ない!! 委員長ったら、目キラキラして可愛いし、ちっちゃい口が大きいモン頬張っていたらそれだけで勃起案件だし、急なデレがやってきた時の照れ顔だけで、軽くご飯三杯はイケる!!」
「褒められている気がしねぇ」
「委員長は、意外とチョロいところがあるから、絶対アルファに近づいちゃ駄目だからなっ!!」
あ————————……もういい。と電話越しで委員長が呆れている。
はっ!! やばい、電話切られる!! 俺の委員長が!! 俺の癒しがぁ!!
「まって、委員長————切らな……!!!!」
俺の必死の叫びも空しく、プツンと電話が切られてしまった。
「……」
俺の情緒、また不安定になりそう……。
いつまでも、俺だけが焦ってる……。
はぁ、っと溜息を付きながら、スマホを見つめる。その暗くなった画面に俺と……
「なぁ、ところで、俺っていつまで、委員長って呼ばれるの?」
「え?」
振り向くと、そこには、恋焦がれた委員長がいた。バックには咲き乱れた花。
一瞬、ここが天国かと思った。
どういう事? 天国じゃないなら夢?
完全に固まった俺を見て、委員長が座っている俺に視線を合わせるように座った。
照れて、恥ずかしそうに俺を見ている。
「俺も近くの大学、ってまぁ、二流の大学だけど通える事になったの。すげぇ勉強してた。知らなかっただろう?」
「委員長……」
「サ、サプライズってやつ? はは……え、恥ずかしい」
本物だ……。本物の委員長だ。委員長の目に俺が映っている。
委員長が、何か重要な事言っているけど、驚きすぎて頭に入って行かない。今、なんて言った? すぐに分からない。
近くの大学に通うって言わなかった……?
それって、俺を追いかけてきてくれたって事?
委員長、いつもガリ勉だから、分からなかった。でも、ここまで来れるオメガなんて……
「追いかけても追いかけられるとは思わなかっただろ? なんで来たと思う?」
驚いた俺にしてやったりと、いたずらっ子のように笑う。
委員長が俺の左手を軽く持って唇に近づける。普段可愛いだけの彼が格好良く見えた。
「好きって言い忘れてた。今度は俺が求愛しようと思って」
左手の唇の感触に全身が鳥肌が立つ。
「委員長……好きだ」
待ちきれず、先に言ってしまう。待ちきれない……
「ふは。馬鹿。俺の番だって言っただろ」
そう言って、左手から唇を離し、目を閉じながら俺の唇に近づいてくる。
何度としたことあるキスなのに、これほどドキドキした事はない。
そうか……、これが委員長の求愛か……。なんてワクワクするのだろう。
目を閉じて、ワクワクドキドキする甘いキスを堪能した。
終わり。
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