9 / 25
社長から甘い言葉をなくしたら
社長が後ろから抱きしめてくる。長くて筋肉質な腕。ガタイもしっかりしていてよく鍛えているのが、服越しに分かる。
チュウっと俺の首ぃ!! 吸ってんじゃん。めっちゃ吸われてる!!
「ぎゃぁ! 放してくださいっ!!」
この、酔っ払いめ~!!
抱き着いてくる腕を剥がそうとしていると、タクシーが来た。ナイスタイミングだ。社長をタクシーの後部座席に押し込んだ。
「社長! ご住所伝えてください!!」
「……」
ゆさゆさと身体を揺さぶると、コテンと頭が重たそうに下を向いた。
で、泥酔しておる……。しかし、なぜだ、俺の服の裾を掴んでいる。
「社長……おいっ! 社長ってば!! それは策略ですか!? 俺は騙されませんよ!」
「…………」
嘘だろう。
タクシーの運転手が、まだ? という顔でこちらを見ている。
ここで残された選択肢。
持ち帰る。
見捨てる。
……も、持ち帰るしかねぇじゃねぇか~……。
「ほらっ、社長! 抱き着いてないで、しっかり歩いてくださいっ!!」
俺は社長を見捨てられず、タクシーで一人暮らしのマンションまで連れてきた。
先ほど同様に社長に肩を貸して部屋まで行こうとしているのだけど、またまた後ろから抱き着いてくるので動きづらい。
「社長、このっ、抱き着き魔っ!! 鍵出すからちょっと、もう、離せってば!!」
「……」
抱き着いてくる腕を剥がし、鞄の中から鍵を出して、部屋のドアを開ける。
散らかってはいないけれど、狭い俺の部屋。
学生時代の友達や同僚は、酔っ払ったら俺の部屋に泊めることがある。
社長をこの部屋にいれていいものか……。
一瞬、ホテルの方が良いのではと思ったが、酔っ払い客ってホテル側は嫌がるだろうし。
皆、こういう時の介抱ってどうしているのだろうか。
社長を床に降ろすと、自分から、靴を脱ぎ始めた。
こういう動作は出来るらしい。吐き気もないようだし。泥酔まではいかないようだ。靴を脱いで、ふらりと立ち上がると、俺にまた抱き着いてくる。
「もう、またっ!?」
気分は、懐いてくる大型犬が主人にじゃれついて離れないみたいな感じだ。
いくら酔っ払っているからって、こんな風に甘えるかな!?
こんな姿、会社の女子が見たら泣くぞ……いや、喜ぶか!?
「……アンタ、今すげぇ、残念なイケメンだよ? はぁ、布団貸しますからそこで寝てください」
ワンルームマンションなので、キッチンを通り過ぎれば、ベッドが置いてある部屋だ。いつも寝ている俺のベッドにヨタヨタと社長を寝かせようとする。
「どうぞ。寝てください。……はい! 腕、手、俺から離しましょうね~~!! ぐ、ぐぐっ!! 離れろって!!」
「……」
先程から、俺の身体から腕を離すのが一苦労だ。
力を込めて外そうとさらに力を込めるので、バランスを崩して、ベッドに前のめり倒れた。
「うぐっ!」
社長の下敷きになった俺は喉から潰れた声がでた。
すぐに社長が腕を立てて上体を起こした。俺は、ベッドに突っ伏したまま。彼が退くのを待っているが、俺の身体を跨いた状態から動かない。
「……んん?」
い……、今、どういう状況なんだ!? 上体を起したら、退いてくれ!!
「拓郎君だ……」
「はいぃ!!! 俺ですよ!?」
「拓郎君がベッドにいる」
「え」
視線を凄い感じる。
俺にもし、カラータイマーがあるなら『ピコンッ、ピコンッ、ピコンッ!!』って鳴り響いているだろう。え、俺、ヤバい?
チラリと目だけを上に向けると、目が合う。
「……」
おい。黙ってないで、何か言ってくれぇ!?
その顔がゆっくりと近づいて来て、首筋に吐息がかかる。酔っ払っているせいか吐息が熱い。
「ひぅっ!?!?」
ま、また、首筋に唇が……。
チュウっと吸い付いてくる。今度は強めだ。それから、首筋に何度も唇が押し付けられて吸われる。楽しいのか、さらに唇で柔らかくハムハムされてる!!
「う、あっ、やめ……」
俺の首に何があるって言うんだ! 旨くないぞ!!
「社長っ!!」
俺は、声を荒げて、乗っかかっている社長から上体を起して身を捻じる。少し彼が身を引いた時、彼の腕を引いて、ベッドに無理矢理寝かせた。酔っ払っているからそれほど力はいらなかった。
「これ以上は駄目です」
「……」
不満げに眉をひそめて、薄目で俺を見てくる……おぉい。激しい色気だな!? 普段の俺に向けるにこやかな社長じゃない。
顔が派手にいいだけあって、黙っていると、迫力に負けてしまう。
立ち上がった俺の服の裾を掴んでジッと見てるし。俺の顔、穴開く。
……ボキャブラリー満載な社長の方が、お笑い要素があっていいと思う。
「寝てください。それで、明日の朝、帰ってくださいね」
俺は立ち上がって、部屋のドアを閉めた。
ひーっと思いながら、サッと風呂に入る。風呂に入った後は、社長はスース―と寝息を立てて寝ていた。
ホッとして、彼のジャケットだけは脱がしてやる。
「たくろ……」
「!?」
また、襲ってくる!? と身構えたが、寝言だった。
「すぅすぅ」
「寝言まで、俺なの!?」
「好き……だ」
「寝言でも、告白なの!?」
「……すぅ」
ーーーー……いやはや、驚いた。
こう言っちゃなんだが、この人マヂで俺のこと好きなんだ。モブ専のナンパだと思ってた。
「どうしろっていうんだよー?」
ドッと疲れた。そうして、部屋の端っこでビーズクッションに身を沈めてタオルケットを被った。
チュウっと俺の首ぃ!! 吸ってんじゃん。めっちゃ吸われてる!!
「ぎゃぁ! 放してくださいっ!!」
この、酔っ払いめ~!!
抱き着いてくる腕を剥がそうとしていると、タクシーが来た。ナイスタイミングだ。社長をタクシーの後部座席に押し込んだ。
「社長! ご住所伝えてください!!」
「……」
ゆさゆさと身体を揺さぶると、コテンと頭が重たそうに下を向いた。
で、泥酔しておる……。しかし、なぜだ、俺の服の裾を掴んでいる。
「社長……おいっ! 社長ってば!! それは策略ですか!? 俺は騙されませんよ!」
「…………」
嘘だろう。
タクシーの運転手が、まだ? という顔でこちらを見ている。
ここで残された選択肢。
持ち帰る。
見捨てる。
……も、持ち帰るしかねぇじゃねぇか~……。
「ほらっ、社長! 抱き着いてないで、しっかり歩いてくださいっ!!」
俺は社長を見捨てられず、タクシーで一人暮らしのマンションまで連れてきた。
先ほど同様に社長に肩を貸して部屋まで行こうとしているのだけど、またまた後ろから抱き着いてくるので動きづらい。
「社長、このっ、抱き着き魔っ!! 鍵出すからちょっと、もう、離せってば!!」
「……」
抱き着いてくる腕を剥がし、鞄の中から鍵を出して、部屋のドアを開ける。
散らかってはいないけれど、狭い俺の部屋。
学生時代の友達や同僚は、酔っ払ったら俺の部屋に泊めることがある。
社長をこの部屋にいれていいものか……。
一瞬、ホテルの方が良いのではと思ったが、酔っ払い客ってホテル側は嫌がるだろうし。
皆、こういう時の介抱ってどうしているのだろうか。
社長を床に降ろすと、自分から、靴を脱ぎ始めた。
こういう動作は出来るらしい。吐き気もないようだし。泥酔まではいかないようだ。靴を脱いで、ふらりと立ち上がると、俺にまた抱き着いてくる。
「もう、またっ!?」
気分は、懐いてくる大型犬が主人にじゃれついて離れないみたいな感じだ。
いくら酔っ払っているからって、こんな風に甘えるかな!?
こんな姿、会社の女子が見たら泣くぞ……いや、喜ぶか!?
「……アンタ、今すげぇ、残念なイケメンだよ? はぁ、布団貸しますからそこで寝てください」
ワンルームマンションなので、キッチンを通り過ぎれば、ベッドが置いてある部屋だ。いつも寝ている俺のベッドにヨタヨタと社長を寝かせようとする。
「どうぞ。寝てください。……はい! 腕、手、俺から離しましょうね~~!! ぐ、ぐぐっ!! 離れろって!!」
「……」
先程から、俺の身体から腕を離すのが一苦労だ。
力を込めて外そうとさらに力を込めるので、バランスを崩して、ベッドに前のめり倒れた。
「うぐっ!」
社長の下敷きになった俺は喉から潰れた声がでた。
すぐに社長が腕を立てて上体を起こした。俺は、ベッドに突っ伏したまま。彼が退くのを待っているが、俺の身体を跨いた状態から動かない。
「……んん?」
い……、今、どういう状況なんだ!? 上体を起したら、退いてくれ!!
「拓郎君だ……」
「はいぃ!!! 俺ですよ!?」
「拓郎君がベッドにいる」
「え」
視線を凄い感じる。
俺にもし、カラータイマーがあるなら『ピコンッ、ピコンッ、ピコンッ!!』って鳴り響いているだろう。え、俺、ヤバい?
チラリと目だけを上に向けると、目が合う。
「……」
おい。黙ってないで、何か言ってくれぇ!?
その顔がゆっくりと近づいて来て、首筋に吐息がかかる。酔っ払っているせいか吐息が熱い。
「ひぅっ!?!?」
ま、また、首筋に唇が……。
チュウっと吸い付いてくる。今度は強めだ。それから、首筋に何度も唇が押し付けられて吸われる。楽しいのか、さらに唇で柔らかくハムハムされてる!!
「う、あっ、やめ……」
俺の首に何があるって言うんだ! 旨くないぞ!!
「社長っ!!」
俺は、声を荒げて、乗っかかっている社長から上体を起して身を捻じる。少し彼が身を引いた時、彼の腕を引いて、ベッドに無理矢理寝かせた。酔っ払っているからそれほど力はいらなかった。
「これ以上は駄目です」
「……」
不満げに眉をひそめて、薄目で俺を見てくる……おぉい。激しい色気だな!? 普段の俺に向けるにこやかな社長じゃない。
顔が派手にいいだけあって、黙っていると、迫力に負けてしまう。
立ち上がった俺の服の裾を掴んでジッと見てるし。俺の顔、穴開く。
……ボキャブラリー満載な社長の方が、お笑い要素があっていいと思う。
「寝てください。それで、明日の朝、帰ってくださいね」
俺は立ち上がって、部屋のドアを閉めた。
ひーっと思いながら、サッと風呂に入る。風呂に入った後は、社長はスース―と寝息を立てて寝ていた。
ホッとして、彼のジャケットだけは脱がしてやる。
「たくろ……」
「!?」
また、襲ってくる!? と身構えたが、寝言だった。
「すぅすぅ」
「寝言まで、俺なの!?」
「好き……だ」
「寝言でも、告白なの!?」
「……すぅ」
ーーーー……いやはや、驚いた。
こう言っちゃなんだが、この人マヂで俺のこと好きなんだ。モブ専のナンパだと思ってた。
「どうしろっていうんだよー?」
ドッと疲れた。そうして、部屋の端っこでビーズクッションに身を沈めてタオルケットを被った。
あなたにおすすめの小説
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する
知世
BL
大輝は悩んでいた。
完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。
自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは?
自分は聖の邪魔なのでは?
ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。
幼なじみ離れをしよう、と。
一方で、聖もまた、悩んでいた。
彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。
自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。
心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。
大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。
だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。
それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。
小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました)
受けと攻め、交互に視点が変わります。
受けは現在、攻めは過去から現在の話です。
拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
宜しくお願い致します。
平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法
あと
BL
「よし!別れよう!」
元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子
昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。
攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。
……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。
pixivでも投稿しています。
攻め:九條隼人
受け:田辺光希
友人:石川優希
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグ整理します。ご了承ください。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
【花言葉】
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!
【異世界短編】単発ネタ殴り書き随時掲載。
◻︎お付きくんは反社ボスから逃げ出したい!:お馬鹿主人公くんと傲慢ボス