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社長の背後にはフォロワー10000がいる
「はぁ~~~」
貴重品棚から家のスペアキーを取り出して、ゴロリとベッドに寝転がる。
スペアキーについた剣のキーホルダーを上に上げて眺めてみる。
この剣のキーホルダーはお菓子の応募券を集めて応募して抽選で当たったもの。ちなみにD賞だ。その時、お菓子を食べるのを付き合ってくれたヤツがいた。
小学校の友達の田中清一郎だ。D賞が二回当たったので、一つは彼に渡した。
社長と同姓同名……。
「——社長が、なんで、このキーホルダーを持っているんだろう?」
小学校の友達とは中学離れてしまって連絡が途絶えてしまった。
「社長が“せいちゃん”?」
いや、でも、あまりに外見が違いすぎる。友達の方の田中清一郎は、“マシュマロみたいな太っちょ”だった。真っ白な肌で一重の細目だった気がする。思い浮かべるが、全然似てない。
仮に社長が友達の“せいちゃん”なら、俺に挨拶してくれてもいいだろう? そうだよな。結構仲良かった友達だもん。正体を隠す理由がこれっぽっちもない。
『社長、俺と昔に会った事ありませんか?』
その疑問のまま聞いてみるとする。もし友達のせいちゃんなら、嬉しいよな。旧友との再会だもん。でも、違ってみろ。
『っ、どういうことだい? 昔には会った事はないけれど……、ん——、そう思ってしまうほど僕の隣は居心地よかったってことかい? それはもう運命だ。番かな。運命の伴侶だ。もう君のことを離さない。愛している』
そう言って社長は俺の事をキスして抱きしめ————……ん、ん……。いや、何想像してんだ。俺よ。
考え方が毒されている。完全に思考が社長色だ。
仲の良い友達だったから会えたら嬉しいなと思ったけど、社長とは違い過ぎる。
偶然か。
そう思い、俺はキーを棚に戻した。
◇
週末過ぎて、月曜と火曜日過ぎて、水曜日だ。
ピンポーン。
水曜日は取り寄せグルメが届く日。
なんだかんだ食いしん坊の俺はこの日を楽しみにしていたりする。
「宅急便です」
インターフォンから宅配業者と名乗る男の声がする。
「……」
社長だろうか……この美声は。
宅配業者がこんなイケボイスをしていたら、受取人の奥様方はさぞ驚くだろう。
ガチャリ。
ドアを開けるとバラだった。
「へ!?」
目の前がバラだらけだ!? 花束だと気付いたのはそれを受け取らされた時だ。
「お届けものです」
「……」
俺は、でかいバラの花束から、そう~~っと顔を出すと、凄いオシャレして恰好付けた社長がいた。
「どんな花より君がキレイだけど、渡さずにはいられない」
ふっと髪の毛をかきわけて、長し目を送ってくる。
凄い恰好付けている。
「あ——……、ありがとうございます」
いや、こうとしか言いようがないだろう。こんなデカい花束をもらった後では、バラ一輪がどれくらい親切でありがたいことか。
社長の手にはもう一つ、小包がある。手一杯になっている俺を見て片方の唇をニヤリと釣り上げて、ニヒル……、多分俺以外から見たらニヒルに見えるような笑みを浮かべた。
「今宵は満月ではないから狼にはならないよ。プレゼントを部屋に置きに入ってもいいかい?」
「……」
今。満月の日には社長に会わないことを決めました。
「どうぞ」
俺は社長を部屋にあげた。リビングのテーブルの上に小包を置くように伝える。社長が、そわそわと俺の部屋を眺めている……。前回も来ただろう……。
しかし、このバラの花束どうしたらいいんだ……。
花瓶もなければ置く所がない。仕方がないので、風呂に置いた。
「お茶でもどうですか?」
すると、台所に立つ俺に彼が近付いてくる。ん? なんだ?
「ドアから出た時から思っていたけれど、湯上りかい?」
「あ、は……はい」
「少しピンクめいた頬にスイーツのような唇、濡れた髪の毛が少しうねって煽情的だ」
「……」
スイーツ? 煽情的?? ………………いや、今更だ。
「君は媚薬なのかい?」
「??」
社長がうっとりしながら近づいてくる。おいっ!! 距離が近い!! 距離が近いじゃねぇかっ!!
「ひっ……!?」
彼が腰を曲げて俺の首の匂いをクンっと嗅ぐ。
洗ったばっかりだから臭くない!! 多分!! ってなんで!?
今日は満月じゃねぇんだろ!?
「しゃ、社長……っ!?」
「……っ、うん。分かっているさ。僕は狼にならない。そうだろう」
「ごもっともです」
なんだ。この会話。
だ、だけど……、なんだ? 今日はやけに距離が近い。俺が湯上りで頬がピンクで煽情的な姿だからか? お、お色気がムンムン?
「社長?」
「僕の目が君から離れない。どんな魔法を使っているの?」
いや、知らんがな。
社長が、俺の全身みて……見すぎだ……。
ジッと見られると、流石にバクバク心臓が動悸してくる。
「君のような天使をデートに誘いたいと思う僕は罪深い。でもその罪を負う覚悟は一生ある。週末デート行かないかい?」
台詞が、長く。そして重い。
………先週の金曜日の大人な対応する社長はどこへ行っちゃったのだろう?
しかし、至近距離すぎるっ!!
「……えーっと、週末用事が~……」
「丁度、首都ゲームショーというイベントがあってだね」
「いきます!」
考えるより早く頷いていた。ゲーマーなので行きたかったけれど行ったことがなかった。同志のいない俺は、イベントに一人で行く勇気が持てなかったのだ。
社会人になると、友達って作りにくいよね……。え、俺だけ? え、友達ってなんだっけ? 同僚ならいるんだけど。
しかし、社長は、俺の行きたいところへのリサーチが完璧だな……。
「嬉しいよ」
「ひぅっ!?!?!」
耳元で囁いた。今のは確信犯だ。
睨むと、社長は目だけが俺に固定して離れた。い……いや、その状態も怖い。見られすぎて俺の色んなところ、穴空いちゃうよ~。
「今度から、湯上りに白いTシャツは着ない方がいい……甘そうで魅力的で蠱惑的だ。君を抱きたくなる」
「ひ……ぃ。社長は……、何をおっしゃって? え? 社長は紳士ですよね? え? 社長は紳士?」
何を言っているのか、驚きすぎる。だが、社長は、今までそういうの言ったことないし。言動おかしいだけの紳士だよね? 紳士ってスケベェじゃないよな? Hしないもんな?
え? 紳士ってなんだっけ? 紳士とは……!?
本当に金曜日の中華街での、紳士で大人で格好いい社長はどこ行ったの?
どうして、戻ってんの?
またうっとりと近づいてくる社長に、ド、ド、ド、ド、と呼吸と鼓動が乱れる。
チュッと挨拶のキスを頬にされ、微笑まれる。
「じゃ、週末に。おやすみマイエンジェル」
その水曜日を境に社長は、夜になると電話をかけてくるようになった。電話自体はいい。あ? あれ? 何言ってんだ。俺!? 電話も駄目だろう。
『今日は取引先でトラブルあったんだって?』
『えぇ……社長の耳に入っていましたか。すみません』
『いや、君が頑張ってトラブル修正したと聞いたよ。お疲れ様』
『……(ちょっとジーン)』
『世界中の人が君の敵になったとしても僕は君の味方だよ』
『……ぐ』
そんなサムイ電話を聞いて、迷惑以外何でもないだろう。なのに、俺の迷惑なんて関係なく毎日20時にかけてきやがって!!
しかも、週末のデート、ゲームショーの後、クルージングだ。聞いてない。聞いてないし、甘い声で散々迫られた。おい、それも聞いてない。俺はびっくりするあまり腰砕けになった。い、いや、腰砕け……なんだそれ。腰に力が入らなくなった……だな。うん。
「どういうことなんだ……?」
俺の中で、ピーピーと矛盾が発生した音がする。
社長は、金曜日の中華街で『普通』って言った。
俺と普通に会話して美味しいもの食べて、日常的なのを楽しみたい。確かにそう言った。だけど、ここ最近の社長はまたバブル期を背負った男になって迫ってくる……。
昨日の電話ではアイシテルって何回言われたか!! いや、いつものこと? 何も変わらない? あれ……俺の感じ方が変わった……?? え?
「山川くーん。何、ゲッソリしているの?」
柏木さんだ。
「はは……いえ。何も」
「肌ツヤ良さそうなのに、ゲッソリしているって変なの」
「フカヒレ……」
小嶋さんが首を傾げる。
月曜は、出勤しただけで己を褒めたい。ゲッソリしてもいい。こうして社会人として出勤した月曜日の自分は偉いのだ。
すると、柏木さん、小嶋さんがまた二人でキャッキャウフフ喜んでいる。アイドルグループの何かでも見ているのだろうか。
「キャー! もう息子みたいな気持ちで応援しちゃう!」
「ぶぶっ!! 本当にやってるのかな? だとしたら凄くない?」
応援……。若いアイドル?
「せいちゃんは嘘はつかないわよ!」
「はは。恋のアタック期間、残り一か月だもんねー!!」
!?!?!?
せいちゃん????
“せいちゃん”“恋のアタック期間”という俺にとってのパワーワードに思わず、彼女達を見た。
「一体、何を見ているんですか?」
すると、小嶋さんが ん? と振り返り教えてくれる。
「山川くんも知ってるでしょ。“田中清一郎”よ。ずっと応援してるんだから」
「え? まだ彼を??」
田中清一郎のSNSは飽きたのではなかったか? しかし、彼女たちは何を応援していると言うんだ。
「恋のアタック期間の三か月」
「!?」
「振られても悲しくても“好き”なのは止まらない」
「そう。“せいちゃん”は一度振られているの。そこで全国の彼のフォロワーは胸をギュッと切なくやられたわ」
「…………」
彼女達が言うには、田中清一郎は、一度好きな人にフラれている。新たに恋のアタック三か月期間というものを提案し、今猛アタックらしい。フラレても諦めない姿が女性の心を鷲掴みしたそうな……?
「すみません。そのSNS見せてもらっていいですか!?」
俺は、柏木さんの持っているスマホを覗きこんだ。俺はそのアイコンに映る数を見て驚いた。
「えっ!? フォロワー10000?」
いつの間に……?? めちゃくちゃバズっている。
俺は、彼のつぶやきをみた。するとコメントも100とか200とか有り得ない桁になっている。
フォロワー10000が、社長の恋のアタック三か月を応援しているのか!?!?
貴重品棚から家のスペアキーを取り出して、ゴロリとベッドに寝転がる。
スペアキーについた剣のキーホルダーを上に上げて眺めてみる。
この剣のキーホルダーはお菓子の応募券を集めて応募して抽選で当たったもの。ちなみにD賞だ。その時、お菓子を食べるのを付き合ってくれたヤツがいた。
小学校の友達の田中清一郎だ。D賞が二回当たったので、一つは彼に渡した。
社長と同姓同名……。
「——社長が、なんで、このキーホルダーを持っているんだろう?」
小学校の友達とは中学離れてしまって連絡が途絶えてしまった。
「社長が“せいちゃん”?」
いや、でも、あまりに外見が違いすぎる。友達の方の田中清一郎は、“マシュマロみたいな太っちょ”だった。真っ白な肌で一重の細目だった気がする。思い浮かべるが、全然似てない。
仮に社長が友達の“せいちゃん”なら、俺に挨拶してくれてもいいだろう? そうだよな。結構仲良かった友達だもん。正体を隠す理由がこれっぽっちもない。
『社長、俺と昔に会った事ありませんか?』
その疑問のまま聞いてみるとする。もし友達のせいちゃんなら、嬉しいよな。旧友との再会だもん。でも、違ってみろ。
『っ、どういうことだい? 昔には会った事はないけれど……、ん——、そう思ってしまうほど僕の隣は居心地よかったってことかい? それはもう運命だ。番かな。運命の伴侶だ。もう君のことを離さない。愛している』
そう言って社長は俺の事をキスして抱きしめ————……ん、ん……。いや、何想像してんだ。俺よ。
考え方が毒されている。完全に思考が社長色だ。
仲の良い友達だったから会えたら嬉しいなと思ったけど、社長とは違い過ぎる。
偶然か。
そう思い、俺はキーを棚に戻した。
◇
週末過ぎて、月曜と火曜日過ぎて、水曜日だ。
ピンポーン。
水曜日は取り寄せグルメが届く日。
なんだかんだ食いしん坊の俺はこの日を楽しみにしていたりする。
「宅急便です」
インターフォンから宅配業者と名乗る男の声がする。
「……」
社長だろうか……この美声は。
宅配業者がこんなイケボイスをしていたら、受取人の奥様方はさぞ驚くだろう。
ガチャリ。
ドアを開けるとバラだった。
「へ!?」
目の前がバラだらけだ!? 花束だと気付いたのはそれを受け取らされた時だ。
「お届けものです」
「……」
俺は、でかいバラの花束から、そう~~っと顔を出すと、凄いオシャレして恰好付けた社長がいた。
「どんな花より君がキレイだけど、渡さずにはいられない」
ふっと髪の毛をかきわけて、長し目を送ってくる。
凄い恰好付けている。
「あ——……、ありがとうございます」
いや、こうとしか言いようがないだろう。こんなデカい花束をもらった後では、バラ一輪がどれくらい親切でありがたいことか。
社長の手にはもう一つ、小包がある。手一杯になっている俺を見て片方の唇をニヤリと釣り上げて、ニヒル……、多分俺以外から見たらニヒルに見えるような笑みを浮かべた。
「今宵は満月ではないから狼にはならないよ。プレゼントを部屋に置きに入ってもいいかい?」
「……」
今。満月の日には社長に会わないことを決めました。
「どうぞ」
俺は社長を部屋にあげた。リビングのテーブルの上に小包を置くように伝える。社長が、そわそわと俺の部屋を眺めている……。前回も来ただろう……。
しかし、このバラの花束どうしたらいいんだ……。
花瓶もなければ置く所がない。仕方がないので、風呂に置いた。
「お茶でもどうですか?」
すると、台所に立つ俺に彼が近付いてくる。ん? なんだ?
「ドアから出た時から思っていたけれど、湯上りかい?」
「あ、は……はい」
「少しピンクめいた頬にスイーツのような唇、濡れた髪の毛が少しうねって煽情的だ」
「……」
スイーツ? 煽情的?? ………………いや、今更だ。
「君は媚薬なのかい?」
「??」
社長がうっとりしながら近づいてくる。おいっ!! 距離が近い!! 距離が近いじゃねぇかっ!!
「ひっ……!?」
彼が腰を曲げて俺の首の匂いをクンっと嗅ぐ。
洗ったばっかりだから臭くない!! 多分!! ってなんで!?
今日は満月じゃねぇんだろ!?
「しゃ、社長……っ!?」
「……っ、うん。分かっているさ。僕は狼にならない。そうだろう」
「ごもっともです」
なんだ。この会話。
だ、だけど……、なんだ? 今日はやけに距離が近い。俺が湯上りで頬がピンクで煽情的な姿だからか? お、お色気がムンムン?
「社長?」
「僕の目が君から離れない。どんな魔法を使っているの?」
いや、知らんがな。
社長が、俺の全身みて……見すぎだ……。
ジッと見られると、流石にバクバク心臓が動悸してくる。
「君のような天使をデートに誘いたいと思う僕は罪深い。でもその罪を負う覚悟は一生ある。週末デート行かないかい?」
台詞が、長く。そして重い。
………先週の金曜日の大人な対応する社長はどこへ行っちゃったのだろう?
しかし、至近距離すぎるっ!!
「……えーっと、週末用事が~……」
「丁度、首都ゲームショーというイベントがあってだね」
「いきます!」
考えるより早く頷いていた。ゲーマーなので行きたかったけれど行ったことがなかった。同志のいない俺は、イベントに一人で行く勇気が持てなかったのだ。
社会人になると、友達って作りにくいよね……。え、俺だけ? え、友達ってなんだっけ? 同僚ならいるんだけど。
しかし、社長は、俺の行きたいところへのリサーチが完璧だな……。
「嬉しいよ」
「ひぅっ!?!?!」
耳元で囁いた。今のは確信犯だ。
睨むと、社長は目だけが俺に固定して離れた。い……いや、その状態も怖い。見られすぎて俺の色んなところ、穴空いちゃうよ~。
「今度から、湯上りに白いTシャツは着ない方がいい……甘そうで魅力的で蠱惑的だ。君を抱きたくなる」
「ひ……ぃ。社長は……、何をおっしゃって? え? 社長は紳士ですよね? え? 社長は紳士?」
何を言っているのか、驚きすぎる。だが、社長は、今までそういうの言ったことないし。言動おかしいだけの紳士だよね? 紳士ってスケベェじゃないよな? Hしないもんな?
え? 紳士ってなんだっけ? 紳士とは……!?
本当に金曜日の中華街での、紳士で大人で格好いい社長はどこ行ったの?
どうして、戻ってんの?
またうっとりと近づいてくる社長に、ド、ド、ド、ド、と呼吸と鼓動が乱れる。
チュッと挨拶のキスを頬にされ、微笑まれる。
「じゃ、週末に。おやすみマイエンジェル」
その水曜日を境に社長は、夜になると電話をかけてくるようになった。電話自体はいい。あ? あれ? 何言ってんだ。俺!? 電話も駄目だろう。
『今日は取引先でトラブルあったんだって?』
『えぇ……社長の耳に入っていましたか。すみません』
『いや、君が頑張ってトラブル修正したと聞いたよ。お疲れ様』
『……(ちょっとジーン)』
『世界中の人が君の敵になったとしても僕は君の味方だよ』
『……ぐ』
そんなサムイ電話を聞いて、迷惑以外何でもないだろう。なのに、俺の迷惑なんて関係なく毎日20時にかけてきやがって!!
しかも、週末のデート、ゲームショーの後、クルージングだ。聞いてない。聞いてないし、甘い声で散々迫られた。おい、それも聞いてない。俺はびっくりするあまり腰砕けになった。い、いや、腰砕け……なんだそれ。腰に力が入らなくなった……だな。うん。
「どういうことなんだ……?」
俺の中で、ピーピーと矛盾が発生した音がする。
社長は、金曜日の中華街で『普通』って言った。
俺と普通に会話して美味しいもの食べて、日常的なのを楽しみたい。確かにそう言った。だけど、ここ最近の社長はまたバブル期を背負った男になって迫ってくる……。
昨日の電話ではアイシテルって何回言われたか!! いや、いつものこと? 何も変わらない? あれ……俺の感じ方が変わった……?? え?
「山川くーん。何、ゲッソリしているの?」
柏木さんだ。
「はは……いえ。何も」
「肌ツヤ良さそうなのに、ゲッソリしているって変なの」
「フカヒレ……」
小嶋さんが首を傾げる。
月曜は、出勤しただけで己を褒めたい。ゲッソリしてもいい。こうして社会人として出勤した月曜日の自分は偉いのだ。
すると、柏木さん、小嶋さんがまた二人でキャッキャウフフ喜んでいる。アイドルグループの何かでも見ているのだろうか。
「キャー! もう息子みたいな気持ちで応援しちゃう!」
「ぶぶっ!! 本当にやってるのかな? だとしたら凄くない?」
応援……。若いアイドル?
「せいちゃんは嘘はつかないわよ!」
「はは。恋のアタック期間、残り一か月だもんねー!!」
!?!?!?
せいちゃん????
“せいちゃん”“恋のアタック期間”という俺にとってのパワーワードに思わず、彼女達を見た。
「一体、何を見ているんですか?」
すると、小嶋さんが ん? と振り返り教えてくれる。
「山川くんも知ってるでしょ。“田中清一郎”よ。ずっと応援してるんだから」
「え? まだ彼を??」
田中清一郎のSNSは飽きたのではなかったか? しかし、彼女たちは何を応援していると言うんだ。
「恋のアタック期間の三か月」
「!?」
「振られても悲しくても“好き”なのは止まらない」
「そう。“せいちゃん”は一度振られているの。そこで全国の彼のフォロワーは胸をギュッと切なくやられたわ」
「…………」
彼女達が言うには、田中清一郎は、一度好きな人にフラれている。新たに恋のアタック三か月期間というものを提案し、今猛アタックらしい。フラレても諦めない姿が女性の心を鷲掴みしたそうな……?
「すみません。そのSNS見せてもらっていいですか!?」
俺は、柏木さんの持っているスマホを覗きこんだ。俺はそのアイコンに映る数を見て驚いた。
「えっ!? フォロワー10000?」
いつの間に……?? めちゃくちゃバズっている。
俺は、彼のつぶやきをみた。するとコメントも100とか200とか有り得ない桁になっている。
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