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奔走 9
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鉱山に辿り着くと倒れたゴーレムを囲む冒険者達が雄たけびを上げていた。
何とか無事にゴーレムを倒したようだ。
「ミツヤ、サーシャ、二人とも大丈夫か?」
ドワーフ族の勇者オイゲンと立ち話をしていた二人は、クリスに気が付き振り向いた。
「遅かったですね、クリスさん。ゴーレムは、倒しましたよ」
「それより、街の外からただならぬ力の気配と、魔法メテオが発動したような光景を目にしましたが、まさかクリスさんじゃないですよね?」
「うっ、悪い。サーシャのナパームボムを真似したら、なんか凄い物が落ちてきてしまった」
「お、恐ろしい。そんな危ない魔法は、絶対に街の中で使わないでくださいね」
「分かってる。サーシャの言う通り、人の多い所では使わないよ。それと、オイゲン、久しぶりだな。一緒に戦っていたのか」
「おおお、クリスじゃないか。彼等は、お前の仲間だったのか」
「ああ、そうだ。それにしても倒れているゴーレムは綺麗すぎないか? どうやって倒したんだ。今にも動き出しそうな状態だけど」
「それは、ミツヤが新たな倒し方を教えてくれたんだ」
「えっ、何だ。どうやったんだ」
勝者に注がれる様な熱い視線を受けるミツヤは、照れくさそうにしていた。
「あれは、ショートさせたんですよ」
「ショート? なんだそれ。新しい魔法か何かか」
「アーティファクト、それは科学的に作られた物でもあると思い、電撃を食らわせて中の機械を破壊したんです」
「雷撃で、そんな簡単に倒せるのか」
「いいえ、ただ雷撃で攻撃しても跳ね返されます。だから、ゴーレムの体内へ電気が伝わる様に媒体になりそうな鉄の棒を突き刺したんです」
自分も貢献したのを褒めて欲しいのか、自慢したいのか、ここでサーシャが前のめりになって話し出した。
「わ、私が突き刺さった棒に、雷撃を正確に落としたん・・・いっ」、声が裏がり思わず舌を噛んでしまった。
「そうか、二人とも良くやったな」
笑顔で話し合う三人の姿にシルクは、羨ましく思った。お互いを信じて互いに思いやれる、そんな仲間が欲しい。獣人族だから人間族の支配する国の中ではかなわぬ思いだったが。
「そうそう、お前の隣に居る獣人族のお嬢ちゃんは誰だ?」
顎髭を触るオイゲンは、シルクに近づき下から彼女の顔を覗き込む。ドワーフ族の成人男性でも身長は、シルクの胸元ぐらいしかない。
「彼女が、この騒動の首謀者だ。他に仲間が四人居たが、抵抗されたので始末した。ドワーフ族のルールで彼女を裁いてくれ」
「本当に良いのか?」
「ああ、死傷者も出ているんだ。無罪放免で解放できないだろ」
「そうなると、死刑だぞ。大斧で首を落とす」
「仕方が無いよ。それが掟だろ」
首を落とされると聞かされたシルクの顔が青ざめて行く。
命令された時点で間違っていると理解していたのに、それでもグランベルノの中で生きて行くには、逆らえなかった。覚悟が足りない、中途半端な自分の存在を自覚させられるが、やはり死ぬのは怖い。それが本音なのだ。
「ふう、なあクリス。殺しても憎しみだけしか残らんぞ。生きて反省し、残りの人生で償わせた方が儂は良いと思うのだが」
「あんたがそう言うのなら、償わさせても良いが。どうするんだ」
「簡単だよ、奴隷契約にしたら良い。クリスの奴隷なら償える機会は多いだろうからな」
奴隷契約と聞いたクリスは、慌てて拒否する仕草を見せた。
自由人の彼にとって一人の時間を邪魔されそうだし、身の回りの世話など付きまとわれるのが嫌だった。何より相手の心まで支配する奴隷契約には抵抗感を持っていた。
「いっ、要らない。俺には、奴隷契約は必要ないよ。それなら、ミツヤで良いじゃないか。人間族の勇者との奴隷契約でも良いだろ」
「僕ですか・・・」と、困惑するミツヤの横から険しい表情のサーシャが「駄目ですよ。ミツヤさんには、奴隷契約は未だ早いです。クリスさん見たいにエッチじゃないですから」
「はあー、奴隷契約イコールそっちに重点を置くのか。俺もミツヤもそんな事を考えて・・・」
焦るクリスを後目に瞳に涙を溜めるシルクは、跪きクリスの手を握りしめた。
「そ、それでも良いです。償えるのなら、夜伽でも何でもします。でも、痛いのは苦手なので、その時は優しくしてくださいね」
クリスは、追い詰められた気分になる。
本当に抱かれたいと思うのなら相手をしても良い、それにカレンも奴隷の一人や二人何とも思わないだろう。それにここで拒否してしまえば、彼女に残されるのは死だけだ。
「仕方がないな。俺と奴隷契約を結ぶか」
「良いんですか、クリスさん。カレンさんには、何て説明したら・・・」
心配そうにするミツヤにクリスは、「カレンなら大丈夫だよ。そんな心の狭い女房じゃないから」
「なんだ、クリスには奥さんが居るのか」
オイゲンの質問にサーシャが、嬉しそうに答える。
「はい。クリスさんは、魔族の勇者が奥さんなんですよ」
「何と、響きは良いが、夫婦喧嘩で死人が出そうな奥さんを貰ったんだな」
「オイゲン、質の悪い冗談はやめてくれよ。そんな大層な喧嘩なんてしないよ」
話は、纏まった。オイゲンに連れられドワーフ族の長の館を訪れたクリスは、シルクと奴隷契約を交わした。
この世界では、奴隷契約は罪の一つである。
力の支配による奴隷とは、全く意味が違うのだ。
単なる奴隷なら心まで支配出来ない。
そう、場合によっては解放される機会が与えられている。
それに比べ魔法による奴隷契約は、身も心も全てが契約者に支配されてしまう。
魔法により腕に奴隷紋が刻まれてしまえば、例え主が死んでも奴隷紋は消えない。
自分が死ぬまで一生奴隷として生きて行かなければならないのだ。
それまで、自分の犯した過ちを反省し償わせる意味を持っていた。
シルクにとってクリスとなら奴隷契約を結ぶのは嫌では無かった。
一度だけでなく再び自分の命を救ってくれた恩人だ。そんな彼を身も心も捧げる主人とするならそれで良いと思っていた。それに、女として望まれるのならそれはそれで嬉しくもあったから。
何とか無事にゴーレムを倒したようだ。
「ミツヤ、サーシャ、二人とも大丈夫か?」
ドワーフ族の勇者オイゲンと立ち話をしていた二人は、クリスに気が付き振り向いた。
「遅かったですね、クリスさん。ゴーレムは、倒しましたよ」
「それより、街の外からただならぬ力の気配と、魔法メテオが発動したような光景を目にしましたが、まさかクリスさんじゃないですよね?」
「うっ、悪い。サーシャのナパームボムを真似したら、なんか凄い物が落ちてきてしまった」
「お、恐ろしい。そんな危ない魔法は、絶対に街の中で使わないでくださいね」
「分かってる。サーシャの言う通り、人の多い所では使わないよ。それと、オイゲン、久しぶりだな。一緒に戦っていたのか」
「おおお、クリスじゃないか。彼等は、お前の仲間だったのか」
「ああ、そうだ。それにしても倒れているゴーレムは綺麗すぎないか? どうやって倒したんだ。今にも動き出しそうな状態だけど」
「それは、ミツヤが新たな倒し方を教えてくれたんだ」
「えっ、何だ。どうやったんだ」
勝者に注がれる様な熱い視線を受けるミツヤは、照れくさそうにしていた。
「あれは、ショートさせたんですよ」
「ショート? なんだそれ。新しい魔法か何かか」
「アーティファクト、それは科学的に作られた物でもあると思い、電撃を食らわせて中の機械を破壊したんです」
「雷撃で、そんな簡単に倒せるのか」
「いいえ、ただ雷撃で攻撃しても跳ね返されます。だから、ゴーレムの体内へ電気が伝わる様に媒体になりそうな鉄の棒を突き刺したんです」
自分も貢献したのを褒めて欲しいのか、自慢したいのか、ここでサーシャが前のめりになって話し出した。
「わ、私が突き刺さった棒に、雷撃を正確に落としたん・・・いっ」、声が裏がり思わず舌を噛んでしまった。
「そうか、二人とも良くやったな」
笑顔で話し合う三人の姿にシルクは、羨ましく思った。お互いを信じて互いに思いやれる、そんな仲間が欲しい。獣人族だから人間族の支配する国の中ではかなわぬ思いだったが。
「そうそう、お前の隣に居る獣人族のお嬢ちゃんは誰だ?」
顎髭を触るオイゲンは、シルクに近づき下から彼女の顔を覗き込む。ドワーフ族の成人男性でも身長は、シルクの胸元ぐらいしかない。
「彼女が、この騒動の首謀者だ。他に仲間が四人居たが、抵抗されたので始末した。ドワーフ族のルールで彼女を裁いてくれ」
「本当に良いのか?」
「ああ、死傷者も出ているんだ。無罪放免で解放できないだろ」
「そうなると、死刑だぞ。大斧で首を落とす」
「仕方が無いよ。それが掟だろ」
首を落とされると聞かされたシルクの顔が青ざめて行く。
命令された時点で間違っていると理解していたのに、それでもグランベルノの中で生きて行くには、逆らえなかった。覚悟が足りない、中途半端な自分の存在を自覚させられるが、やはり死ぬのは怖い。それが本音なのだ。
「ふう、なあクリス。殺しても憎しみだけしか残らんぞ。生きて反省し、残りの人生で償わせた方が儂は良いと思うのだが」
「あんたがそう言うのなら、償わさせても良いが。どうするんだ」
「簡単だよ、奴隷契約にしたら良い。クリスの奴隷なら償える機会は多いだろうからな」
奴隷契約と聞いたクリスは、慌てて拒否する仕草を見せた。
自由人の彼にとって一人の時間を邪魔されそうだし、身の回りの世話など付きまとわれるのが嫌だった。何より相手の心まで支配する奴隷契約には抵抗感を持っていた。
「いっ、要らない。俺には、奴隷契約は必要ないよ。それなら、ミツヤで良いじゃないか。人間族の勇者との奴隷契約でも良いだろ」
「僕ですか・・・」と、困惑するミツヤの横から険しい表情のサーシャが「駄目ですよ。ミツヤさんには、奴隷契約は未だ早いです。クリスさん見たいにエッチじゃないですから」
「はあー、奴隷契約イコールそっちに重点を置くのか。俺もミツヤもそんな事を考えて・・・」
焦るクリスを後目に瞳に涙を溜めるシルクは、跪きクリスの手を握りしめた。
「そ、それでも良いです。償えるのなら、夜伽でも何でもします。でも、痛いのは苦手なので、その時は優しくしてくださいね」
クリスは、追い詰められた気分になる。
本当に抱かれたいと思うのなら相手をしても良い、それにカレンも奴隷の一人や二人何とも思わないだろう。それにここで拒否してしまえば、彼女に残されるのは死だけだ。
「仕方がないな。俺と奴隷契約を結ぶか」
「良いんですか、クリスさん。カレンさんには、何て説明したら・・・」
心配そうにするミツヤにクリスは、「カレンなら大丈夫だよ。そんな心の狭い女房じゃないから」
「なんだ、クリスには奥さんが居るのか」
オイゲンの質問にサーシャが、嬉しそうに答える。
「はい。クリスさんは、魔族の勇者が奥さんなんですよ」
「何と、響きは良いが、夫婦喧嘩で死人が出そうな奥さんを貰ったんだな」
「オイゲン、質の悪い冗談はやめてくれよ。そんな大層な喧嘩なんてしないよ」
話は、纏まった。オイゲンに連れられドワーフ族の長の館を訪れたクリスは、シルクと奴隷契約を交わした。
この世界では、奴隷契約は罪の一つである。
力の支配による奴隷とは、全く意味が違うのだ。
単なる奴隷なら心まで支配出来ない。
そう、場合によっては解放される機会が与えられている。
それに比べ魔法による奴隷契約は、身も心も全てが契約者に支配されてしまう。
魔法により腕に奴隷紋が刻まれてしまえば、例え主が死んでも奴隷紋は消えない。
自分が死ぬまで一生奴隷として生きて行かなければならないのだ。
それまで、自分の犯した過ちを反省し償わせる意味を持っていた。
シルクにとってクリスとなら奴隷契約を結ぶのは嫌では無かった。
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