スクランブル・ファースト

五來 小真

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スクランブル・ファースト

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 交差点のど真ん中に、ファーストフード店が出来た。
 世のドライブスルーも真っ青だろう。
 この交差点は信号待ちが長く、先頭であれば買いやすかった。

 ところが、しばらくして交差点に苦情が入ったのか、信号待ちの時間が大幅に削られた。

 すぐに潰れるかと思いきや、ファーストフード店は踏ん張った。
 ポテトを勧めるのを止めるなど独自の進化をし、土俵際で踏ん張ったのだ。
 店員も職場が潰れてはたまらないと研鑽を努め、他店舗と別次元の早さでメニューが出てくる。

「注文まで3秒でお願いします」
「えーっと……」
「時間切れです、またのお越しを」

 客ものんびりしていては、買えない。
 買えなかった客は、白けて買える客もいただろう。
 しかし、中にはそれが却ってチャレンジ精神に、火が付く客もいたのである。
 買えるようになるまで、何周も回る客が出だしたのである。
 店も客も、互いに研磨し合ったのだ。

 最近、セットメニュー4人分を、受け取りに成功させた猛者が出た。

 こうして店の危機は、去った。

 更にシステムがバージョンアップし、事前予約、スマホで精算を済ませられるようになった。
 全ては平和に戻った、かに見えた。
 しかし、客はそれでは最早物足りなくなっていた。

 最近では、信号待ちですらないのに、そのままの速度で受け取るそうである。
 連続する客がいる時は、店側の連携が素晴らしい。
 位置情報から客の順番を割り出し、商品を持った店員が順に並ぶ。
 商品を受け取ってもらった店員は、すぐに引っ込み、次の店員にリレーするのである。
 店員の数は3人しかいないのに、12連続で続いた時には歩行者から拍手が起きた。
 但しこれは12回目は、カラスが持っていったので、11回だという意見もある。

 そのせいか、交差点にはよく商品が散らばっている。
 子供に拾い食いを戒める教育の場として、今では親しまれている。
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