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第一章 精霊使いは金色の王と戯れる
3 邂逅、ごめんなさい!
しおりを挟む「────広い! あと部屋多すぎっ!!」
知らない城の中は広すぎて、完全に迷子になってしまってた。
「それもこれも全部!この黄金が悪いんだ────!!」
黄金は少しだけなら綺麗だとおもうが、こんなに大量では目の毒過ぎる。しかも、ただの金属ではないというのが僕の気分を憂鬱にしてしまう。
彷徨って、また一人犠牲者を見つける。前を見つめる瞳は、人でなくなった無念さを僕に訴えているみたいだ。
「……ただの魔法だったら、良かったんだけどな……」
僕の片目には、片眼鏡のようなファイト補助装置【Fモノクル】が着いている。これは通信機能や言語解読など様々な機能が詰まっている便利アイテム。
それが、この状態は【呪い】によるものだと教えてくれている。
呪いとは、魔法の中でも強力かつ酷く悪質で、呪いを掛けた本人が解くか何らかの条件を満たさなければ、半永久的に解けないもののこと。
過去には、石化の呪いを行なった呪者が解呪を拒否して自害。解呪の条件が不明で被害者が元に戻ることはなかったという事例があったことを授業で教えられた。
呪いを使う相手が解呪方法をわざわざ教えてくれるなんて有り得なさそう。王女様は討ち滅ぼせと言ったが、仮にそれで元に戻らなかったら?
(えぇいっ! 暗いこと考えるのは無し!)
考え過ぎて思考が暗くなっていた。まだそうと決まった訳じゃない。解呪の条件は相手がうっかり漏らすかもしれないし、倒してみんな元通りのハッピーエンドだって有り得るんだ。
(いや、待てよ?もう一つ方法があるじゃないか。そっちの方が────)
思案しながら歩いていると、近くの部屋から何かが動く音がした。
「…………っ!?」
神経を尖らせ、警戒。カードケースから一枚のカードを取り出す。扉が、開いた。
「ワールウィンド!」
「ギィッ!」
カードから素早く飛び出だしたのは、子供程の大きさの黒い鳥。音源へと襲いかかっていく
【旋風のワールウィンド】は怪盗ブラックから譲り受けた分霊カード。
分霊とは、精霊の許可をもらってコピーした本物の精霊同様の自我と記憶を持つ精霊カードのこと。
バサバサガチャガタンドッタンと暴れる音から、やはりそこに何かがいたらしい。
「うっ、うわああぁっ!?」
「ギィッ! ギィッ!」
ワールウィンドの嘴につつかれ這うように出てきたのは、黒いローブを着た、顔にそばかすの浮いた少年。
「ごめんなさい知らない人! 戻れワールウィンド!」
まさかの敵じゃなかった。
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