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冒険者
脱出した場所は
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やあ、俺は召喚されたにも関わらず、なぜか女神に裏切られて悪魔呼ばわりされた挙句牢屋に入れられたけど、そこで出会った爺さんに手助けされて脱出できたものの、予想していなかった場所に出たし着ている服がどう考えてもこの世界風ではないため一人浮いている勇者だよ。
すまん。長くなった。
つまりだな。
あの牢屋にあった穴は、城の裏に繋がっていたわけだ。
つまり、どういうことかわかるよな?
ろくに情報を得ないまま出たから、城の裏に何があるかわからず、目の前にある建物に驚愕しているんだ。
わかるか?この、事前にヤマを張って勉強していたから、自身の勘が外れてヤマを張った場所とは違う場所が出て焦っている状態。まさにこれだよ。
わからなかったやつ。すまん。簡単に言えば、予想外って意味だ。
なぜ浮いているかって?
灰色の石畳に灰色の壁、そして灰色の壁に囲まれた何やら怪しい教会のようなものが目の前に鎮座しておりまして、それがリュミエルなんちゃらの協会だったら嫌だなあと思っているんだよ。
でも、この教会らしき建物、屋根とか壁に十字架みたいなマークがないから、本当に教会かどうかがわからないんだよね。
お化け屋敷?いやいや、こんな城の裏にお化け屋敷なんて……いやいや、この歳でお化けが怖いとかないですよ。ええ、怖くなんかないです。何か建物の中から無数の目がこちらを見ているように感じますが、気のせいです。ええ、きっと恐怖で幻覚が見えているだけです。
「あの……」
「なぁ!?」
「ひゃあ!?」
気配もなくいきなり後ろに立たれ、さらにいきなり声をかけられたら驚くに決まっている。え、俺だけ?
俺の大声に驚いたのか、後ろの声も悲鳴をあげた。
気のせいか女性の声に聞こえた。ええ、幽霊はいると思いますけど見たいとは思いません。今後ろを振り向いたか後悔すると思いますともさ。
「あ、あの!」
しかし、俺の思いは伝わらなかったのか、後ろの女性は気にせず俺に声をかけてくる。
いや、口に出して言わなければ伝わらないことくらいわかっていますともさ。
「私の孤児院に何か用でしょうか!」
「え、孤児院?」
孤児院と聞いてうっかり振り向いてしまった。しっかりしろよ俺の意思。
そして、振り向いたそこには、俺より少し背の小さい、黒髪で肌が薄紫の女性がいた。
流石にアレだよな。振り向いてそこにいたのが女性だったわけだけども、そこでさらに驚いた声をあげたら失礼だよな。うん。失礼だから我慢したさ。考えただけでも失礼だって?そんなことは知らん。
さて、孤児院とはなんぞ?
地球じゃ、児童養護施設という名前だった気がしないでもないんだが、どうも俺の記憶力は信用ならんな。
「孤児院ですよ!どこからどう見ても孤児院でしょう!?」
俺には、どこからどう見てもお化け屋敷にしか見えない。
お前んちがお化け屋敷!とか、某少年のように叫びたい。
「とにかく!見てしまったからには逃がしませんから!」
女性は俺の両手をガシッと掴むと、引きずるようにして孤児院?に連れ込もうとした。
「いやちょっと待て。俺が何をした?」
「何もしていませんが、何かしそうだったので」
失礼きまわりない。間違えた、失礼極まりない。
俺のどこが怪しいというんだ。
ちょっと服装が地球で暮らしてた時のままで、城の牢屋から脱獄してきた直後で、目の前に建っている建物を訝しげに観察して、幽霊がいないかキョロキョロと辺りを見回していただけじゃないか。
はい、立派な不審者です。
こうして俺は、異世界の一般市民第一号と出会ったのであった。
え、城にいたやつ?棒倒しの棒だと思ってる。
すまん。長くなった。
つまりだな。
あの牢屋にあった穴は、城の裏に繋がっていたわけだ。
つまり、どういうことかわかるよな?
ろくに情報を得ないまま出たから、城の裏に何があるかわからず、目の前にある建物に驚愕しているんだ。
わかるか?この、事前にヤマを張って勉強していたから、自身の勘が外れてヤマを張った場所とは違う場所が出て焦っている状態。まさにこれだよ。
わからなかったやつ。すまん。簡単に言えば、予想外って意味だ。
なぜ浮いているかって?
灰色の石畳に灰色の壁、そして灰色の壁に囲まれた何やら怪しい教会のようなものが目の前に鎮座しておりまして、それがリュミエルなんちゃらの協会だったら嫌だなあと思っているんだよ。
でも、この教会らしき建物、屋根とか壁に十字架みたいなマークがないから、本当に教会かどうかがわからないんだよね。
お化け屋敷?いやいや、こんな城の裏にお化け屋敷なんて……いやいや、この歳でお化けが怖いとかないですよ。ええ、怖くなんかないです。何か建物の中から無数の目がこちらを見ているように感じますが、気のせいです。ええ、きっと恐怖で幻覚が見えているだけです。
「あの……」
「なぁ!?」
「ひゃあ!?」
気配もなくいきなり後ろに立たれ、さらにいきなり声をかけられたら驚くに決まっている。え、俺だけ?
俺の大声に驚いたのか、後ろの声も悲鳴をあげた。
気のせいか女性の声に聞こえた。ええ、幽霊はいると思いますけど見たいとは思いません。今後ろを振り向いたか後悔すると思いますともさ。
「あ、あの!」
しかし、俺の思いは伝わらなかったのか、後ろの女性は気にせず俺に声をかけてくる。
いや、口に出して言わなければ伝わらないことくらいわかっていますともさ。
「私の孤児院に何か用でしょうか!」
「え、孤児院?」
孤児院と聞いてうっかり振り向いてしまった。しっかりしろよ俺の意思。
そして、振り向いたそこには、俺より少し背の小さい、黒髪で肌が薄紫の女性がいた。
流石にアレだよな。振り向いてそこにいたのが女性だったわけだけども、そこでさらに驚いた声をあげたら失礼だよな。うん。失礼だから我慢したさ。考えただけでも失礼だって?そんなことは知らん。
さて、孤児院とはなんぞ?
地球じゃ、児童養護施設という名前だった気がしないでもないんだが、どうも俺の記憶力は信用ならんな。
「孤児院ですよ!どこからどう見ても孤児院でしょう!?」
俺には、どこからどう見てもお化け屋敷にしか見えない。
お前んちがお化け屋敷!とか、某少年のように叫びたい。
「とにかく!見てしまったからには逃がしませんから!」
女性は俺の両手をガシッと掴むと、引きずるようにして孤児院?に連れ込もうとした。
「いやちょっと待て。俺が何をした?」
「何もしていませんが、何かしそうだったので」
失礼きまわりない。間違えた、失礼極まりない。
俺のどこが怪しいというんだ。
ちょっと服装が地球で暮らしてた時のままで、城の牢屋から脱獄してきた直後で、目の前に建っている建物を訝しげに観察して、幽霊がいないかキョロキョロと辺りを見回していただけじゃないか。
はい、立派な不審者です。
こうして俺は、異世界の一般市民第一号と出会ったのであった。
え、城にいたやつ?棒倒しの棒だと思ってる。
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