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満月の章 ダリアの黙示録
設定資料(ダリア教団編)1
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Ⅰ ダリア教団
ベルギウス帝国の混乱期に必ず現れると言う、かつてのベルギウス皇帝(第三代 リチャード・ベルギウス)の妹、ダリアを女神とした宗教団体の総称。その規模は、小規模な土着信仰程度から大規模で組織体型が確立された場合等様々。行動方針はその時の組織によって様々だが、時代によらず明確に定められている願望としては、
「ベルギウス帝国の滅亡」
この一言に尽きる。
なお、ベルギウス帝国の民達は帝国上層部の徹底した情報統制によって名前すら知る由もない。
Ⅱ 救済の使徒
かつてベルギウス帝国を滅亡の危機に晒した、大衆救済を掲げる教国の設立を目的としたダリア教団の一派。
七人で構成された使徒を中心に、教義を迷える子羊へ浸透させ、帝国の軍事力を削ぎ落とし、来たるべき聖戦まで表立った行動はしていなかったが、ある時使徒の一人の動きで帝国に察知され、極秘戦争と呼ばれる死者を大勢出した戦いを勃発させた。
1 エラスムス(真理)
本名リーヴァス・シュライン。
元ベルギウス帝国顧問錬金術師。元々錬金術を帝国の平和に使う為に動いていたが、彼が協力していた一族であり、戦争によって魔術の発展を願うヴァルトに疎ましく思われる。
放たれた刺客に襲われ、なんとか傷を負いながら逃亡するも、傷が原因で死にかかる。
意識が途切れゆく中、平和に至る真理について憂いていた所、ダリアと名乗る女性が彼の視界に映る。
その際、彼女は「罪には罰を、腐敗には浄化を」とだけ呟いて消えた。
それから彼は、罪の無い民衆を導く為、救済の使徒を築き上げる。
極秘戦争で死亡。
2 レイン(宣教)
本名ヘンリー。
元々行商人の家系で、ヘンリーも教団に入信するまでは商人だった。
特に新しい物でも良いと思った物は積極的に取り入れ、周りにもそれを伝えた事から、人当たりのいい善人だったと遭遇者は言う。
主に薬草、保存食、毛皮の転売で細々と暮らしていたが、初めて行く新規開拓先で交通許可証が無いとイチャモンを帝国騎士につけられ、毛皮を密猟の産物と濡れ衣を着せられる。
その騎士が仕えている貴族は地元でも悪名高く、彼の領地内では度々旅商人が失踪したという。
ヘンリーもその一人である。
有り金、商売品はむしり取られ、身一つで命からがら逃げのびる。
ここで彼は疑問に思った。
今まで財こそが絶対の力だと思っていた彼だったが、所詮奪われてしまえば何も残らない。
絶対的に価値あるものとは何か?
街道で乞食をしていた彼はその行動すらやめ、ただひたすら考え続けた。
そして一ヶ月悩みに悩んだ末に思い至ったのが、信仰である。
祈りとは自我を高める最高の財、目に見えなくとも信仰心の集約が何かの力になるのではないか。
気づくと彼は天井を見上げていた。
視界がぼやけ、口から漏れ出る息はか弱い。
命の灯火が消えかかるまで、彼はひたすら考えていたのだ。
そこへ老いた人物が手を差し伸べる。
エラスムスだ。
「あなたの目からは悟りの境地に達した眼力がにじみ出ている。どうか迷える子羊達に導きを与えて欲しい」
快く入信した彼は、それから旅を繰り返してきた経歴を活かし、辺境の地へ宣教の旅へ出る。
無論、全てが教団に対して友好的に接する訳もなく、特に彼が手始めに訪れた、かつて身ぐるみ剥がされた領地は、ダリア教団の使徒と判明する前に逃亡犯としてレインを見つけた途端、襲いかかった。
しかし、その日の内にその土地の支配者層は皆無様に死に絶える。
レイン本人は使徒の中でも非力であった為、パンドラとウォルターを同伴した結果だ。
愚者にはパンドラの力の源として浄化の道を与えられ、迷える子羊にはレインの導きによって信徒へと変貌を遂げ、ウォルターがそれらを神の軍隊として武装化させたのだから結果的に上々だった。
その成功以降、彼は洗礼の使徒ウォルターと共に行動することが多くなり、新たな布教の旅に出て勢力拡大を目指すが極秘戦争勃発後、使徒の中で一番初めに死亡。
3 ドロシー(探究)
本名リディー。
ベルギウス帝国でごく普通の家庭(庶民)の娘として生まれるが、その類まれな魔術の才能をヴァルト家の人間に発見され、それ以来ヴァルト家の教え子として魔術を学び、その傘下に入る。
歴代の教え子の中でも最優秀、神童とされていたが、ヴァルトが教え子に教えなかった魔術を好奇心により習得。
それを知ったヴァルト家は、後々ヴァルト家を脅かす存在として抹殺認定を下すが、それを事前に察知していたドロシーは、新月の季節を見計らって命からがら逃亡。
物事を探し続ける彼女にとっても、ヴァルトの掟は足枷でしかなく、本当の意味で魔術士と言える。
しかし行き場も無く、倒れかかって死が間近に迫った所、エラスムスに救われた。
魔術の新たな発見、探究を目指す彼女にとって、教団の存在は自己を守る組織と思い入信。
ヴァルト家と彼女は高みを目指す願望は同じでも、その行程には大幅な違いがあり、対立は必然だったと言える。
カインがパンドラと組むまでの間、彼とツーマンセルを組んでいた。
極秘戦争でエルヴァスト・ヴァルツァーと対峙、最終的に首を跳ね飛ばされ絶命。その首は帝国議会内で晒された。
そして、後にパンドラが創設した黙示の賢人の一人、ヘカテーの姉。
4 ウォルター(洗礼)
本名ウィリアム・ジェイル。
元ベルギウス帝国地方貴族に仕えていた騎士。
幼い頃から父に正しくあれと育てられ、本人も純粋な性格の持ち主だったので清く正しく生きる騎士となる。
だが、ある日任もなく管理を任されている村を馬で散歩していたところ、父が村人から徴税する姿を見て愕然とした。
本来、この土地では収穫期の秋に徴収すれば基本的に春先まで税は取られないはず。
痩せ細り、物も碌に食べていないであろう村人から、正しくあれと教えてきた父が絞っているのだ。
後日、彼は父に問い詰める。
「正しい騎士とは、弱い人々を守る為の存在ではないのか!」
すると、
「家臣である以上、領主こそが正義、必要な出費がある為、私はこの任を任されたのだ」
と答える。
ではその出費とは何か?
彼は領主の出費を調べた。
宴、女、実用に欠けた見た目だけの馬。
ふざけるな。
彼は思った。
帰属の見栄、快楽の為に食うに食えない民から絞り尽くすこの悪行。
こんな物が正義など許せない。
彼は行動を開始する。
夜中、寝ている父の気道をナイフで掻き切り、領主の館に忍びこんで料理に毒を盛ることに成功。
その日は毒味係が味見をする際、領主が卑しい者に高価な物は例え毒味でも食わせんと言ったのが功を奏し、めでたく領主、その奥方、子供全員を暗殺した。
無論、一夜開けてウォルターが犯人と断定され、追手に応戦しながら逃亡を繰り返したが、やがて数の暴力、終わらない追跡から馬が潰れ落馬する。
もはやこれまでかと死を覚悟した所、老いた男性と幼く見える少女に救われる。
小一時間ほどで追手全てを浄化した二人のうち、老いたほうが手を差し伸べた。
「その清い心で、弱い民を神の偉大さに気づかせ、民を守る天使となって欲しい」
正しさを追い求めた彼は、理想とほぼ同じ教団の思想に感化され、使徒となる。
エラスムスより洗礼を受けた彼は、今度は洗礼を与える立場となり、弱い者は守り、強き者に抗うための技術を民に提供して武装化を施す。
彼に訓練された信徒は神の軍隊として強大な軍事力を教団に捧げた。
役割の都合上レインと行動を共にすることが多かった。
極秘戦争にてレインに次いで早くに死亡。
死因は不明となっているが、彼が引き連れていた神の軍隊の一部も周囲で死んでいた事から、恐らくエルヴァスト・ヴァルツァーによるものではないかと帝国議会では記録されている(本人は否定)
実は先祖を遡ると黙示の賢人のベイロンと遠縁関係にある。
5 ダグラス(戒律)
本名モーリス・ランドルフ。
ベルギウス帝国の属国で、方角的には帝都から南東をひたすら進んだ先にあるフォーレス公国。
その国で大臣の息子(ヤーコフ)を教育していた元家庭教師。
身なりは長年愛用しているボロボロの服、擦り減った革靴と粗末で、とても高貴な人間の教師になるはずがないだろうが、彼自身は遠縁ながらグランドル家の子孫(と言ってもグランドルの分家の末っ子の妾の子の妾の子の妾の子と、良い環境とは言えない)。
フォーレス公国随一の秀才で、杓子定規のような真面目の塊、国家の支配階級にでさえ、間違ったこととなると大声を上げる。
そんな彼は、全ての人種が全ての決まり事を守れば、世界に平穏が訪れると独特の思想を持っていたが、人間の業を家庭教師をしている内にこれでもかというほど味わう。
そんな中、フォートレス公国にエラスムスが訪れ、彼と対話をする。
その時エラスムスに言われたのが、
「人類を上下、支配の枠組みから解放し、神の定めた法の元に生きる国を作りたい。その決まり事の柱としてあなたの力を借りたい」
その言葉を聞いて、ダグラスはこの組織に身を置けば、その先とやらも見れるかもしれないと思い、使徒として入信。
手始めにフォーレス公国をベルギウス帝国の未来の縮図として教団化を謀る。
生徒である大臣の息子を洗脳し、実の親である大臣を謀殺させ、古参の有力者を一人残らず浄化。神が定めた戒律に従う敬虔なる集団を作った。
極秘戦争にて、フォーレス公国はグランドル家の大軍勢と戦闘、兵法を熟知していたダグラスの指揮で優勢に動いていたが、エルヴァスト・ヴァルツァーの参戦によって敗北、彼に体をバラバラにされるほどの魔術を関節という関節に加えられ、悶絶の末に絶命する。
無論、大臣の息子も同じように処刑された。
6 パンドラ(永眠)
本名クローディア・ヴァルトーガ。
言わずとしれたヴァルトの出身にして、無能の烙印を押された少女(発動するための回路が無いため魔術を行使できないが、マナ自体はヴァルトの中でも屈指の持ち主)。
話す際は無駄に明るく、歌うような喋り方で、常に無邪気な笑顔こそ浮かべているものの、ヴァルト家の事となるとガラリと変わる。
何故かエメラルド色の瞳以外はソフィー・ヴァルツァーと同じ姿らしい。(アベル視点)
彼女にとって生家は地獄だった。
ただ魔術の才能がないだけで存在全てを否定され、憂さ晴らしに殴られ、蹴られ、魔術の実験としての的にされ、性欲解消の為の性的奉仕を強要された。
当時の彼女は感情が無いに等しく、ひたすらそれに従う肉人形であった。
その思考を放棄した彼女はそのまま永眠寸前まで使い潰されたが、ある時を境にエラスムスに救出される。
自由とは何か? ダリアとは何か?
家畜の様な生活を送っていた彼女は、思考を繰り返す度に自我が芽生える。
次第にそれはヴァルトに対する憎悪を生み出し、教団を理解しない愚者を、腐敗した貴族を、かつて無能と罵った魔導師一族を永眠に導く信者へと導いた。
その過程において、自身が『遺骸ヲ冒涜セシ大罪ノ棺』と言う特殊な能力を有している事を知る。
ベルギウス帝国では死者を現世に蘇らせる行為自体、紛れもない大罪であるが、本人は腐りきった世界を浄化させる聖なる力と思っている。
極秘戦争にて死亡と帝国に断定されたが、その後の生存がノスタルジア一行に確認されており、ダリア教団の一派、黙示の賢人の教皇として君臨している。
その時代の彼女は別記する。
7 カイン(天罰)
本名不明。
救済の使徒において聖人の象徴とされた人物。
教団に敵対する人物から組織まで、ことごとくを断罪して来た使徒。
口数も少なく、出自と言った情報が帝国側に一切暴かれる事なく極秘戦争を終え、追い詰められた氷海に身を投げて以降死亡とされている。
極秘戦争時、帝国がなんとか入手した情報は、巨大な赤黒い鎌を振り回し、獰猛で巨大な犬のような何かを従え、戦場から流血、血痕、返り血、血に関する全てを根こそぎ吸収した姿。
それと、教団の使徒が彼を除いて死んだとされた時から、北の最果てで身を投げるまでの短い期間のみである。
なぜこんなに帝国の人間を殺害したのになかなか情報が掴めなかったのかというと、この男の性格からか、目撃者は皆殺し、あるいは大衆の目に止まらないよう、なるべく影に徹していたと考えられる。
それこそ、人の手だと思われない天罰とされる裁きで。
なお、鎌について。
この男以外の使徒も赤黒い鎌は所持していたが、カインの鎌のみ、大きさがその2倍の大きさだったと生き残りは証言している。
『断罪のアベル』における、キーマンの一人。
🌕🌕🌕🌕🌕🌕🌕🌕🌕🌕🌕🌕🌕🌕🌕🌕
※大変遅れて申し訳ございません。
ベルギウス帝国の混乱期に必ず現れると言う、かつてのベルギウス皇帝(第三代 リチャード・ベルギウス)の妹、ダリアを女神とした宗教団体の総称。その規模は、小規模な土着信仰程度から大規模で組織体型が確立された場合等様々。行動方針はその時の組織によって様々だが、時代によらず明確に定められている願望としては、
「ベルギウス帝国の滅亡」
この一言に尽きる。
なお、ベルギウス帝国の民達は帝国上層部の徹底した情報統制によって名前すら知る由もない。
Ⅱ 救済の使徒
かつてベルギウス帝国を滅亡の危機に晒した、大衆救済を掲げる教国の設立を目的としたダリア教団の一派。
七人で構成された使徒を中心に、教義を迷える子羊へ浸透させ、帝国の軍事力を削ぎ落とし、来たるべき聖戦まで表立った行動はしていなかったが、ある時使徒の一人の動きで帝国に察知され、極秘戦争と呼ばれる死者を大勢出した戦いを勃発させた。
1 エラスムス(真理)
本名リーヴァス・シュライン。
元ベルギウス帝国顧問錬金術師。元々錬金術を帝国の平和に使う為に動いていたが、彼が協力していた一族であり、戦争によって魔術の発展を願うヴァルトに疎ましく思われる。
放たれた刺客に襲われ、なんとか傷を負いながら逃亡するも、傷が原因で死にかかる。
意識が途切れゆく中、平和に至る真理について憂いていた所、ダリアと名乗る女性が彼の視界に映る。
その際、彼女は「罪には罰を、腐敗には浄化を」とだけ呟いて消えた。
それから彼は、罪の無い民衆を導く為、救済の使徒を築き上げる。
極秘戦争で死亡。
2 レイン(宣教)
本名ヘンリー。
元々行商人の家系で、ヘンリーも教団に入信するまでは商人だった。
特に新しい物でも良いと思った物は積極的に取り入れ、周りにもそれを伝えた事から、人当たりのいい善人だったと遭遇者は言う。
主に薬草、保存食、毛皮の転売で細々と暮らしていたが、初めて行く新規開拓先で交通許可証が無いとイチャモンを帝国騎士につけられ、毛皮を密猟の産物と濡れ衣を着せられる。
その騎士が仕えている貴族は地元でも悪名高く、彼の領地内では度々旅商人が失踪したという。
ヘンリーもその一人である。
有り金、商売品はむしり取られ、身一つで命からがら逃げのびる。
ここで彼は疑問に思った。
今まで財こそが絶対の力だと思っていた彼だったが、所詮奪われてしまえば何も残らない。
絶対的に価値あるものとは何か?
街道で乞食をしていた彼はその行動すらやめ、ただひたすら考え続けた。
そして一ヶ月悩みに悩んだ末に思い至ったのが、信仰である。
祈りとは自我を高める最高の財、目に見えなくとも信仰心の集約が何かの力になるのではないか。
気づくと彼は天井を見上げていた。
視界がぼやけ、口から漏れ出る息はか弱い。
命の灯火が消えかかるまで、彼はひたすら考えていたのだ。
そこへ老いた人物が手を差し伸べる。
エラスムスだ。
「あなたの目からは悟りの境地に達した眼力がにじみ出ている。どうか迷える子羊達に導きを与えて欲しい」
快く入信した彼は、それから旅を繰り返してきた経歴を活かし、辺境の地へ宣教の旅へ出る。
無論、全てが教団に対して友好的に接する訳もなく、特に彼が手始めに訪れた、かつて身ぐるみ剥がされた領地は、ダリア教団の使徒と判明する前に逃亡犯としてレインを見つけた途端、襲いかかった。
しかし、その日の内にその土地の支配者層は皆無様に死に絶える。
レイン本人は使徒の中でも非力であった為、パンドラとウォルターを同伴した結果だ。
愚者にはパンドラの力の源として浄化の道を与えられ、迷える子羊にはレインの導きによって信徒へと変貌を遂げ、ウォルターがそれらを神の軍隊として武装化させたのだから結果的に上々だった。
その成功以降、彼は洗礼の使徒ウォルターと共に行動することが多くなり、新たな布教の旅に出て勢力拡大を目指すが極秘戦争勃発後、使徒の中で一番初めに死亡。
3 ドロシー(探究)
本名リディー。
ベルギウス帝国でごく普通の家庭(庶民)の娘として生まれるが、その類まれな魔術の才能をヴァルト家の人間に発見され、それ以来ヴァルト家の教え子として魔術を学び、その傘下に入る。
歴代の教え子の中でも最優秀、神童とされていたが、ヴァルトが教え子に教えなかった魔術を好奇心により習得。
それを知ったヴァルト家は、後々ヴァルト家を脅かす存在として抹殺認定を下すが、それを事前に察知していたドロシーは、新月の季節を見計らって命からがら逃亡。
物事を探し続ける彼女にとっても、ヴァルトの掟は足枷でしかなく、本当の意味で魔術士と言える。
しかし行き場も無く、倒れかかって死が間近に迫った所、エラスムスに救われた。
魔術の新たな発見、探究を目指す彼女にとって、教団の存在は自己を守る組織と思い入信。
ヴァルト家と彼女は高みを目指す願望は同じでも、その行程には大幅な違いがあり、対立は必然だったと言える。
カインがパンドラと組むまでの間、彼とツーマンセルを組んでいた。
極秘戦争でエルヴァスト・ヴァルツァーと対峙、最終的に首を跳ね飛ばされ絶命。その首は帝国議会内で晒された。
そして、後にパンドラが創設した黙示の賢人の一人、ヘカテーの姉。
4 ウォルター(洗礼)
本名ウィリアム・ジェイル。
元ベルギウス帝国地方貴族に仕えていた騎士。
幼い頃から父に正しくあれと育てられ、本人も純粋な性格の持ち主だったので清く正しく生きる騎士となる。
だが、ある日任もなく管理を任されている村を馬で散歩していたところ、父が村人から徴税する姿を見て愕然とした。
本来、この土地では収穫期の秋に徴収すれば基本的に春先まで税は取られないはず。
痩せ細り、物も碌に食べていないであろう村人から、正しくあれと教えてきた父が絞っているのだ。
後日、彼は父に問い詰める。
「正しい騎士とは、弱い人々を守る為の存在ではないのか!」
すると、
「家臣である以上、領主こそが正義、必要な出費がある為、私はこの任を任されたのだ」
と答える。
ではその出費とは何か?
彼は領主の出費を調べた。
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ふざけるな。
彼は思った。
帰属の見栄、快楽の為に食うに食えない民から絞り尽くすこの悪行。
こんな物が正義など許せない。
彼は行動を開始する。
夜中、寝ている父の気道をナイフで掻き切り、領主の館に忍びこんで料理に毒を盛ることに成功。
その日は毒味係が味見をする際、領主が卑しい者に高価な物は例え毒味でも食わせんと言ったのが功を奏し、めでたく領主、その奥方、子供全員を暗殺した。
無論、一夜開けてウォルターが犯人と断定され、追手に応戦しながら逃亡を繰り返したが、やがて数の暴力、終わらない追跡から馬が潰れ落馬する。
もはやこれまでかと死を覚悟した所、老いた男性と幼く見える少女に救われる。
小一時間ほどで追手全てを浄化した二人のうち、老いたほうが手を差し伸べた。
「その清い心で、弱い民を神の偉大さに気づかせ、民を守る天使となって欲しい」
正しさを追い求めた彼は、理想とほぼ同じ教団の思想に感化され、使徒となる。
エラスムスより洗礼を受けた彼は、今度は洗礼を与える立場となり、弱い者は守り、強き者に抗うための技術を民に提供して武装化を施す。
彼に訓練された信徒は神の軍隊として強大な軍事力を教団に捧げた。
役割の都合上レインと行動を共にすることが多かった。
極秘戦争にてレインに次いで早くに死亡。
死因は不明となっているが、彼が引き連れていた神の軍隊の一部も周囲で死んでいた事から、恐らくエルヴァスト・ヴァルツァーによるものではないかと帝国議会では記録されている(本人は否定)
実は先祖を遡ると黙示の賢人のベイロンと遠縁関係にある。
5 ダグラス(戒律)
本名モーリス・ランドルフ。
ベルギウス帝国の属国で、方角的には帝都から南東をひたすら進んだ先にあるフォーレス公国。
その国で大臣の息子(ヤーコフ)を教育していた元家庭教師。
身なりは長年愛用しているボロボロの服、擦り減った革靴と粗末で、とても高貴な人間の教師になるはずがないだろうが、彼自身は遠縁ながらグランドル家の子孫(と言ってもグランドルの分家の末っ子の妾の子の妾の子の妾の子と、良い環境とは言えない)。
フォーレス公国随一の秀才で、杓子定規のような真面目の塊、国家の支配階級にでさえ、間違ったこととなると大声を上げる。
そんな彼は、全ての人種が全ての決まり事を守れば、世界に平穏が訪れると独特の思想を持っていたが、人間の業を家庭教師をしている内にこれでもかというほど味わう。
そんな中、フォートレス公国にエラスムスが訪れ、彼と対話をする。
その時エラスムスに言われたのが、
「人類を上下、支配の枠組みから解放し、神の定めた法の元に生きる国を作りたい。その決まり事の柱としてあなたの力を借りたい」
その言葉を聞いて、ダグラスはこの組織に身を置けば、その先とやらも見れるかもしれないと思い、使徒として入信。
手始めにフォーレス公国をベルギウス帝国の未来の縮図として教団化を謀る。
生徒である大臣の息子を洗脳し、実の親である大臣を謀殺させ、古参の有力者を一人残らず浄化。神が定めた戒律に従う敬虔なる集団を作った。
極秘戦争にて、フォーレス公国はグランドル家の大軍勢と戦闘、兵法を熟知していたダグラスの指揮で優勢に動いていたが、エルヴァスト・ヴァルツァーの参戦によって敗北、彼に体をバラバラにされるほどの魔術を関節という関節に加えられ、悶絶の末に絶命する。
無論、大臣の息子も同じように処刑された。
6 パンドラ(永眠)
本名クローディア・ヴァルトーガ。
言わずとしれたヴァルトの出身にして、無能の烙印を押された少女(発動するための回路が無いため魔術を行使できないが、マナ自体はヴァルトの中でも屈指の持ち主)。
話す際は無駄に明るく、歌うような喋り方で、常に無邪気な笑顔こそ浮かべているものの、ヴァルト家の事となるとガラリと変わる。
何故かエメラルド色の瞳以外はソフィー・ヴァルツァーと同じ姿らしい。(アベル視点)
彼女にとって生家は地獄だった。
ただ魔術の才能がないだけで存在全てを否定され、憂さ晴らしに殴られ、蹴られ、魔術の実験としての的にされ、性欲解消の為の性的奉仕を強要された。
当時の彼女は感情が無いに等しく、ひたすらそれに従う肉人形であった。
その思考を放棄した彼女はそのまま永眠寸前まで使い潰されたが、ある時を境にエラスムスに救出される。
自由とは何か? ダリアとは何か?
家畜の様な生活を送っていた彼女は、思考を繰り返す度に自我が芽生える。
次第にそれはヴァルトに対する憎悪を生み出し、教団を理解しない愚者を、腐敗した貴族を、かつて無能と罵った魔導師一族を永眠に導く信者へと導いた。
その過程において、自身が『遺骸ヲ冒涜セシ大罪ノ棺』と言う特殊な能力を有している事を知る。
ベルギウス帝国では死者を現世に蘇らせる行為自体、紛れもない大罪であるが、本人は腐りきった世界を浄化させる聖なる力と思っている。
極秘戦争にて死亡と帝国に断定されたが、その後の生存がノスタルジア一行に確認されており、ダリア教団の一派、黙示の賢人の教皇として君臨している。
その時代の彼女は別記する。
7 カイン(天罰)
本名不明。
救済の使徒において聖人の象徴とされた人物。
教団に敵対する人物から組織まで、ことごとくを断罪して来た使徒。
口数も少なく、出自と言った情報が帝国側に一切暴かれる事なく極秘戦争を終え、追い詰められた氷海に身を投げて以降死亡とされている。
極秘戦争時、帝国がなんとか入手した情報は、巨大な赤黒い鎌を振り回し、獰猛で巨大な犬のような何かを従え、戦場から流血、血痕、返り血、血に関する全てを根こそぎ吸収した姿。
それと、教団の使徒が彼を除いて死んだとされた時から、北の最果てで身を投げるまでの短い期間のみである。
なぜこんなに帝国の人間を殺害したのになかなか情報が掴めなかったのかというと、この男の性格からか、目撃者は皆殺し、あるいは大衆の目に止まらないよう、なるべく影に徹していたと考えられる。
それこそ、人の手だと思われない天罰とされる裁きで。
なお、鎌について。
この男以外の使徒も赤黒い鎌は所持していたが、カインの鎌のみ、大きさがその2倍の大きさだったと生き残りは証言している。
『断罪のアベル』における、キーマンの一人。
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※大変遅れて申し訳ございません。
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