17 / 190
新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌
契約労働者アベル その3!
しおりを挟む
さて、俺は仕事で森林にいくために都の東門前にいる。昨日久しぶりにボードゲームであるマルドラフをやったら、だいぶ頭を使ったのでそのまま宿へ直行し睡眠を十分にとって現在に至る。
締切は、キノコ採取が明日、賊退治は明後日だけど可能ならまとめてクリアしたい。
森に入ると木漏れ日が優しく俺を照らす。小鳥のさえずりが癒された体に染みわたり、心地いい。森林浴をしたいのはやまやまだが、今は勤務中だ。気を引き締めねば。
そもそも何故盗賊が出没するのに、国や貴族、騎士の軍が制圧に向かわないか、理由は簡単。単純に自分たちの兵士を犠牲にしたくないからだ。そんな事に使うなら隣国や同じ国の政敵を牽制するために、常備しておきたい腹づもりだろう。全く困った話だ。
ただそこに目を付けたのがギルドで、傭兵に盗賊退治の依頼をするようになった。カネで戦闘力を買えるシステムを構築することで血の気が多く、命知らずで、腕っぷしの強い男の確保が容易となった。その恩恵でこうして仕事をいただける。
依頼者の村や庶民が金銭と引き換えに要請し、ギルドが手数料を差っ引いて傭兵に仕事を紹介し、受注者は仕事を完遂して報酬をもらう。全員が得する商売だ。
ただし受注者の死亡や命からがら逃げて失敗したり、期限までに間に合わなかった場合は失敗となり、仕事を待っている次の人にそのまま受け継がれる。死亡してもなんの保証もないのは言うまでもない。
傭兵稼業に死は隣りあわせだ。
ギルドでは傭兵と言っても、戦うだけが仕事でなく、俺が受注してるように採取の依頼やその他の仕事がある。
つまりギルドの傭兵とは何でも屋なのだ。
今回の採取もその例。
使い道はアレクスター王国との戦争で負傷した将兵の治療用だろう。戦争に参加せずとも間接的にベルギウス側に貢献しているあたり、俺も兵士の一人になるのだろうか。いや、ない。
正直しがらみとかはもう十分だ。仕事に移ろう。
エイドマッシュルームは黄緑色のキノコでつぶして何種類かの材料と水を混ぜ合わせると治療薬を作れる。重宝される理由としては、他の材料と比べ、人の手で管理するのが困難だからだ。
何回か専門家が庭の木に胞子をつけて栽培しようとしたが、全く育たなかったとのこと。詳細は不明だが、都市や町では作れないのが判明している。
だから森に生えている自然由来のエイドマッシュルームを山菜取りや猟師が採取して、市場に出回るのだが、盗賊が出現したせいで、森に入れなくなったとか。
盗賊の規模はどれぐらいだろう。二、三人なら一人ずつ仕留めればどうにかなるしな。足音できずかれないようにゆっくりと移動する。
だいぶ歩いていると、だんだん視界が暗くなり、死角が増えてくる。
全く見えない訳ではないが、潜伏されてると厄介だ。なにせむこうはある程度住み着いてるから、場所の把握が可能で、こちらは迷い込まないよう慎重に動く必要があるから。
土地勘がある者は少数でも大軍を倒せるとよく言うが俺は一人。こんなところで慣れている敵に出くわしたら逃げるしかない。
周囲を見渡すと黄緑色に輝くエイドマッシュルームが沢山生えているエリアに到着していた。
今のうちに採れるだけ採っておこう。
護身用投擲ナイフでエイドマッシュルームを切り取ろうとするが、投擲用だからか、それともキノコが切りづらいのか。
なかなか時間がかかる。こりゃ長期戦だな。
エイドマッシュルームをポーチに十五個ほどどうにか詰める。
もう少し採りたかったが、もうポーチはパンパン。これ以上詰めたら、エイドマッシュルームがつぶれて使い物にならない。
「一度帰るか」
宿に置いて、また来よう。まだ朝と昼の間くらいの時刻。今日中に三十個ほど確保したい。部屋に転がしとくのも何だし、納品用に雑貨屋で麻袋を買っておくか。
ずっとしゃがんでいたので腰が痛い。立ち上がり、体をそらして腰をバキバキ鳴らす。
さて帰るかと振り返ると、
いた。
数歩先に
そいつがいた。
誰かって?
「キャッハァッ! 野郎どもォォォォォッ! エモノダァァァァァァァァァ!」
賊だよ。
締切は、キノコ採取が明日、賊退治は明後日だけど可能ならまとめてクリアしたい。
森に入ると木漏れ日が優しく俺を照らす。小鳥のさえずりが癒された体に染みわたり、心地いい。森林浴をしたいのはやまやまだが、今は勤務中だ。気を引き締めねば。
そもそも何故盗賊が出没するのに、国や貴族、騎士の軍が制圧に向かわないか、理由は簡単。単純に自分たちの兵士を犠牲にしたくないからだ。そんな事に使うなら隣国や同じ国の政敵を牽制するために、常備しておきたい腹づもりだろう。全く困った話だ。
ただそこに目を付けたのがギルドで、傭兵に盗賊退治の依頼をするようになった。カネで戦闘力を買えるシステムを構築することで血の気が多く、命知らずで、腕っぷしの強い男の確保が容易となった。その恩恵でこうして仕事をいただける。
依頼者の村や庶民が金銭と引き換えに要請し、ギルドが手数料を差っ引いて傭兵に仕事を紹介し、受注者は仕事を完遂して報酬をもらう。全員が得する商売だ。
ただし受注者の死亡や命からがら逃げて失敗したり、期限までに間に合わなかった場合は失敗となり、仕事を待っている次の人にそのまま受け継がれる。死亡してもなんの保証もないのは言うまでもない。
傭兵稼業に死は隣りあわせだ。
ギルドでは傭兵と言っても、戦うだけが仕事でなく、俺が受注してるように採取の依頼やその他の仕事がある。
つまりギルドの傭兵とは何でも屋なのだ。
今回の採取もその例。
使い道はアレクスター王国との戦争で負傷した将兵の治療用だろう。戦争に参加せずとも間接的にベルギウス側に貢献しているあたり、俺も兵士の一人になるのだろうか。いや、ない。
正直しがらみとかはもう十分だ。仕事に移ろう。
エイドマッシュルームは黄緑色のキノコでつぶして何種類かの材料と水を混ぜ合わせると治療薬を作れる。重宝される理由としては、他の材料と比べ、人の手で管理するのが困難だからだ。
何回か専門家が庭の木に胞子をつけて栽培しようとしたが、全く育たなかったとのこと。詳細は不明だが、都市や町では作れないのが判明している。
だから森に生えている自然由来のエイドマッシュルームを山菜取りや猟師が採取して、市場に出回るのだが、盗賊が出現したせいで、森に入れなくなったとか。
盗賊の規模はどれぐらいだろう。二、三人なら一人ずつ仕留めればどうにかなるしな。足音できずかれないようにゆっくりと移動する。
だいぶ歩いていると、だんだん視界が暗くなり、死角が増えてくる。
全く見えない訳ではないが、潜伏されてると厄介だ。なにせむこうはある程度住み着いてるから、場所の把握が可能で、こちらは迷い込まないよう慎重に動く必要があるから。
土地勘がある者は少数でも大軍を倒せるとよく言うが俺は一人。こんなところで慣れている敵に出くわしたら逃げるしかない。
周囲を見渡すと黄緑色に輝くエイドマッシュルームが沢山生えているエリアに到着していた。
今のうちに採れるだけ採っておこう。
護身用投擲ナイフでエイドマッシュルームを切り取ろうとするが、投擲用だからか、それともキノコが切りづらいのか。
なかなか時間がかかる。こりゃ長期戦だな。
エイドマッシュルームをポーチに十五個ほどどうにか詰める。
もう少し採りたかったが、もうポーチはパンパン。これ以上詰めたら、エイドマッシュルームがつぶれて使い物にならない。
「一度帰るか」
宿に置いて、また来よう。まだ朝と昼の間くらいの時刻。今日中に三十個ほど確保したい。部屋に転がしとくのも何だし、納品用に雑貨屋で麻袋を買っておくか。
ずっとしゃがんでいたので腰が痛い。立ち上がり、体をそらして腰をバキバキ鳴らす。
さて帰るかと振り返ると、
いた。
数歩先に
そいつがいた。
誰かって?
「キャッハァッ! 野郎どもォォォォォッ! エモノダァァァァァァァァァ!」
賊だよ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる