断罪のアベル

都沢むくどり

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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌

白夜の箱庭 1

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 気がついたら見知らぬ場所にいた。

「ここは…………?」

 一面の白。

 汚れを寄せ付けぬ神聖なる純白。

 地面も、その上に生えている花の花弁に茎も、空までも。

 なにもかも白い。

 そのせいで遠近法がうまく掴めず、どこまでも空間があるように見える。

 ぼんやりとだが動かない四つの巨大な歯車が四方のはるか彼方に存在している。

 遠くとはいえ、間近で二階建てのレンガ造りの頂上を見上げるぐらいの角度まで首を上げないと、歯車のてっぺんが見えないほどの大きさだ。

 白い空間の中でその歯車だけは銀色に輝いていた。

 何一つ動かないことも効いて、まるでこの場所だけが世界から切り取られ、時が止まっているような錯覚に陥る。

「フフフ、驚いても仕方がないです」

「っ!」

 女性の声だった。

 急いで声のする方を見る。

 すると目の前に美しい少女がすべて純白の服装をまとって佇んでいた。

 服装や場所とのコントラストで青い瞳、金髪の長いストレートがさらに彼女の美を引き立てている。

 ? この姿、どこかで………。

「単刀直入に聞く、ここはどこでお前は誰だ?」

「さっそくですね、まぁ見知らぬところに連れてこられた人間は現状把握が先決ですものね」

 その女性はふぅ、と一息ついて、

「ここは白夜の箱庭エリドです。現在あなたの肉体は眠っている状態にあり、意識だけがこちらを訪れています。まぁ、この空間は精神世界の一つと受け取っていただいて構いません」

「つまり夢か」

「似て非なる物ですが、今のところはそう思っていてください」

 似て非なる物?

「分かりやすく言うと、あなたの記憶や無意識による願いの断片から作られた世界です」

 ??? さっぱりわからん。余計こんがらがってきた。

「分からないならそれで仕方ありません。それで私の名前ですか、名前は………何でしょうか?」

 小首をかしげて聞いてくる。

「いや、初めて会ったんだから俺が知るわけないだろう」

 こっちが聞きたいわ。

「おかしいですね、この世界と私の姿はあなたの記憶を元に作られているはず。つまり私の容姿は過去に、あなたにとって強烈な印象を与えた人物をかたどったものなのですが………」

 過去? 自身の記憶を記憶を思い浮かべる。

 金髪にロングストレート、青い瞳。

 一人しか思い浮かばない。

 しかし、年齢はカレンと同じくらいで顔は似ているがやや違う顔つきだ。少なくともそのような人物と出会った事はない。

 特に印象深いの思い出にも思い当たる節はないのだ。

 だがなぜだろう。知らないはずの女性なのにどこかで会ったような感覚がする。

「記憶にないんだが………」

 すると残念そうな表情で、

「そうですか………」

 とつぶやいた。
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