断罪のアベル

都沢むくどり

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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌

平和的な生活 7

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 さて、黒パン物価上昇という財布にとって天災レベルのハプニングを乗り越えるために、麻袋と八方向に車輪付属の縦横共に九十センチの硬い板切れ一枚を購入する。これは前回の失敗を活かしたこと。ベルトポーチだけでは持ち運ぶ量にすぐ限界が訪れるし、入れすぎて重くなった荷物を運ぶには骨が折れる。なぜ荷車を買わないか。金銭がないし、宿におけないからだ。

 そこで車輪つきの板切れの登場だ。これなら麻袋を板の上に乗せて、スムーズに移動出来る。それに使い終わっても、部屋に置ける上に立てれば邪魔にならない。

 森において滑車仕掛けは移動しづらく、他者に盗まれないためにも、近くの茂みに袋と、板を隠す必要性はあるが、帰りが楽なだけありがたい。

 そして今、俺はエイドマッシュルーム二百個の採集に成功した。単純計算で二万ウォルス! 盗賊退治と同額だ。乱獲したことで自然に影響が出るかもしれないが、俺の懐の肥やしになってもらうため、ここは仕方がない。

 時刻も昼過ぎ。約五時間の作業。茂みに伏せながらやってたらもっと時間を食ってただろう。

 ならなぜこんなに堂々と作業していられるか。ツバキちゃんに今の森の状況を聞いたのだが、盗賊が消えたことで、山菜採りも安心して入れるレベルになったからだそうな。

 よって俺も周囲に最小限の警戒に留め、作業できたのだ。

 後は納品して仕事は終了、報告でギルドに戻ろう。



 ギルドに到着して、迷わず奥へ。たかがエイドマッシュルーム、されどエイドマッシュルーム。数の暴力で二万ウォルスに生まれ変わると思うと、足取りも軽い。

 早速ツバキちゃんの所に持ってくと、

「はい、じゃあ18000ウォルスね」

「ちょっと待てい!」

「え、何?」

 あくまで自然体なツバキちゃん。

 何、じゃねぇ!相場が減ってるぞ。

「買い取り価格がおかしいよ、ツバキちゃん」

「需要と供給って分かる?」

 唐突に話題を変えるツバキちゃん。

「分かるけどそれが…………」

「簡単に言うとギルドでは納品されたエイドマッシュルームが豊富にあって、上が用意した買い取り限度が残り180までだから、もう無理。それ以上出されても、単価の値段を限度から納品分割っちゃうから」

 最も重要なところを忘れてた。資本主義社会の基本。

 過剰生産は物の単価を下げてしまうことに。
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