断罪のアベル

都沢むくどり

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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌

平和的な生活 8

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 何度、苦難を味わえば俺は幸せの階段を登れるのだろうか?

 帝都に来てから、金が底をつく恐怖に怯えたり、裏通りで殺害されそうになったり、盗賊団に追い剥ぎ及びこれまた殺害されそうになったり。

 そして今、資本主義の基本とも言える需要と供給の変化から生じる物価の上下に直面した。

 仕方がないので買い取り値が下落しない180個を納品して、他はお持ち帰り。残ったエイドマッシュルームが入った麻袋を板切れに乗せ、宿まで帰る。トボトボ歩いているため、車輪の音も小さくカラカラ鳴った。宿までは緩い下り坂なので移動は楽だが足取りが重い。

 あぁ、空は雲一つなく、こんなに青いのに、お先真っ暗☆、俺の心は灰色だ。

 としばらく現状に嘆いていたが、まだ日にちはある。ギルドに売れなくとも使い道を見つけるまでは捨てない。何も納品しなくとも、何かしらに使えるはずだ。他の事を考えつつ同時進行する事が重要である。

 並列思考は女性の方が得意らしいが、男でもできないことではないし優秀なのは優秀、バカはバカだ。

 幸い、俺は並列思考を徹底して叩き込まれたのでこの手の考え方は苦労しない。これは考えだけでなく魔術においても言えるのだが、いくら一つに集中したところで、最強になるわけではないのだ。

 例えば雷の基本魔術ザンディオ。詠唱後に雷を上から落とす魔術でその性質上、基本属性の魔術では命中率が低い代物で、いくら詠唱と集中力の精度を上げて、いざ実践に応用したとしても、そちらに意識を移しすぎて攻撃対象への注意を疎かにしては意味がない。詠唱中に殺されるか、威力だけバカ高くてあらぬ方向にザンディオを落とした後にやはり殺されるのがオチだ。それらを知ってたあの家だからこそ魔術を例えとして、そういう考え方を教育したのだろうか。

 宿に戻ったので、とりあえず板切れと採集したエイドマッシュルームに麻袋一式を部屋に置く。

 さて、まだまだ活動できる。このまま森に戻ろう。


 いざ準備が整った俺はまたしても道具を購入。これは浪費ではない。先を見越しての投資だ。

 先ほどの森よりさらに深い所まで歩く。獣道なので移動には手間取った。以前盗賊達と死闘を繰り広げた視界の悪いエリアも通ったが、全く闘いの爪痕を感じさせないくらいの光景だった。

 ではここまで潜ってでも苦労して手にいれたいものとは?

 ウォルスの次に大事な物。ひとつしかないだろう? 生物の三大欲求の一つにして、次の行動に移るための言わば生き物の燃料!

 食料の確保さ。特に肉。
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