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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌
ファルネーの戦い 5
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突如、地震並みの振動が響く。それからすぐにあのブラム殿が一瞬にして食い殺された。
斥候の金切り声がそう告げる。
始めは近くの兵士だけにしか届かなかったが、波紋のように伝達される。これには後方に待機していたユリアスも驚く。
「どういうことだ!? 斥候をこの場に連れてこい!!!」
ここからでは自軍が壁となって前が見えない。詳細な情報を得なければ…………。
驚きこそしたが、まだ冷静な思考はできる。
(落ち着け………落ち着け………)
「報告します!!! 騎士ブラム、ドラグニア竜王国の対軍勢用生体兵器、ファフニールが第一の門の後ろから瞬く間に門を破壊! その勢いで馬ごと捕食され、戦死なされました!」
顔を青くした伝令が急いで報告に駆けてきた。
「ファフニールだと!?」
ファフニール。紅蓮の鱗に覆われた体長30メートルは普通に超えるドラグニア竜王国最強の二大兵器の片割れ。ファフニールは歩くだけで周囲の障害物を破壊する巨体を武器にする。口から吐き出される獄炎の吐息、そして水蒸気が湧き出る灼熱の爪と牙、業火を纏い、引きずられた跡がマグマになるほどの尻尾と災厄レベルの生体兵器だ。基本的に四足歩行であるため、広く大きい第一の城塞の影に隠れていたのだろう。
冷静な思考が一瞬にして吹っ飛ぶ。
(ファフニールと言えばドラグニア竜王国最強の兵器ではないか!!! 奴等め、ベルギウスへの従属国を呑み込んで足掛かりにするつもりか…………! クソッ! 始めから我々と戦争するつもりだったか…………! 今の戦力ではとても倒せぬ、こんなときにヴァルトがいれば…………)
が、いなければどうしょうもない。
(撤退か? シュタイン家出身でもうすぐ当主の座を受け継ぐこの卿が撤退!? ありえぬ! だがここでもしも死んだら…………)
いくらすごんでも無い袖は振れない。
口元から赤い液体が出る。プライドと保身からでた怒りが、理性の杯からあふれ、己の肉体を傷付けることで逃避する。
つまり自分の歯で口内を強く噛み千切ったのだ。
が、そんなことを考えていたところで事態はさらに悪化する。
馬ではなく二足歩行する地竜に乗った軍勢がファフニールの横に隊列を揃えて布陣する。
それから、こちらから見て軍勢の左側が二手に別れて散開すると、綺麗に作られた道から漆黒の地竜に跨がる人物が出てきた。
爬虫類の顔がある頭部には髪の毛は無く、代わりにリバーファルコンの羽で作った飾りをつけ、身を包む衣もこれまた羽をふんだんに使い、着飾っている。
蜥蜴人。ドラグニア竜王国を長年守り、自身より巨大な竜達を使役しながら闘う戦闘民族。彼らは魔術や呪術等を駆使することは不可能だが、荒れ果てた環境故か、教えずとも自然と戦う力が備わっている。
特徴的な所は世襲制度がない。竜を使わず己の戦闘力のみで王座を勝ち取るのが慣習だ。
ただヴァルトと違うのは決まった年月がない。強ければ死ぬまで、弱ければ挑戦者に殺されるまでトップでなくてはならないのだ。
まぁいくら弱い蜥蜴人と言えど、普通の真人十人程度なら楽々屠れるらしいが。
そして、そのトップかと思われる人物がゆっくりと、ゆっくりとベルギウス軍へ近づいてくる。それもたった一人で。それはまさに王者の品性を備えた優雅な動きだ。
しかし不意打ちで射殺そうとしても隙が一切見当たらない。鋭い爬虫類の眼光が弓兵達に向けられるだけで、怯ませる。
仕方の無いことだ。本能が体を痙攣させるくらいの眼力なのだから。
ようやく軍の目の前に来て、地竜を止めた。
斥候の金切り声がそう告げる。
始めは近くの兵士だけにしか届かなかったが、波紋のように伝達される。これには後方に待機していたユリアスも驚く。
「どういうことだ!? 斥候をこの場に連れてこい!!!」
ここからでは自軍が壁となって前が見えない。詳細な情報を得なければ…………。
驚きこそしたが、まだ冷静な思考はできる。
(落ち着け………落ち着け………)
「報告します!!! 騎士ブラム、ドラグニア竜王国の対軍勢用生体兵器、ファフニールが第一の門の後ろから瞬く間に門を破壊! その勢いで馬ごと捕食され、戦死なされました!」
顔を青くした伝令が急いで報告に駆けてきた。
「ファフニールだと!?」
ファフニール。紅蓮の鱗に覆われた体長30メートルは普通に超えるドラグニア竜王国最強の二大兵器の片割れ。ファフニールは歩くだけで周囲の障害物を破壊する巨体を武器にする。口から吐き出される獄炎の吐息、そして水蒸気が湧き出る灼熱の爪と牙、業火を纏い、引きずられた跡がマグマになるほどの尻尾と災厄レベルの生体兵器だ。基本的に四足歩行であるため、広く大きい第一の城塞の影に隠れていたのだろう。
冷静な思考が一瞬にして吹っ飛ぶ。
(ファフニールと言えばドラグニア竜王国最強の兵器ではないか!!! 奴等め、ベルギウスへの従属国を呑み込んで足掛かりにするつもりか…………! クソッ! 始めから我々と戦争するつもりだったか…………! 今の戦力ではとても倒せぬ、こんなときにヴァルトがいれば…………)
が、いなければどうしょうもない。
(撤退か? シュタイン家出身でもうすぐ当主の座を受け継ぐこの卿が撤退!? ありえぬ! だがここでもしも死んだら…………)
いくらすごんでも無い袖は振れない。
口元から赤い液体が出る。プライドと保身からでた怒りが、理性の杯からあふれ、己の肉体を傷付けることで逃避する。
つまり自分の歯で口内を強く噛み千切ったのだ。
が、そんなことを考えていたところで事態はさらに悪化する。
馬ではなく二足歩行する地竜に乗った軍勢がファフニールの横に隊列を揃えて布陣する。
それから、こちらから見て軍勢の左側が二手に別れて散開すると、綺麗に作られた道から漆黒の地竜に跨がる人物が出てきた。
爬虫類の顔がある頭部には髪の毛は無く、代わりにリバーファルコンの羽で作った飾りをつけ、身を包む衣もこれまた羽をふんだんに使い、着飾っている。
蜥蜴人。ドラグニア竜王国を長年守り、自身より巨大な竜達を使役しながら闘う戦闘民族。彼らは魔術や呪術等を駆使することは不可能だが、荒れ果てた環境故か、教えずとも自然と戦う力が備わっている。
特徴的な所は世襲制度がない。竜を使わず己の戦闘力のみで王座を勝ち取るのが慣習だ。
ただヴァルトと違うのは決まった年月がない。強ければ死ぬまで、弱ければ挑戦者に殺されるまでトップでなくてはならないのだ。
まぁいくら弱い蜥蜴人と言えど、普通の真人十人程度なら楽々屠れるらしいが。
そして、そのトップかと思われる人物がゆっくりと、ゆっくりとベルギウス軍へ近づいてくる。それもたった一人で。それはまさに王者の品性を備えた優雅な動きだ。
しかし不意打ちで射殺そうとしても隙が一切見当たらない。鋭い爬虫類の眼光が弓兵達に向けられるだけで、怯ませる。
仕方の無いことだ。本能が体を痙攣させるくらいの眼力なのだから。
ようやく軍の目の前に来て、地竜を止めた。
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