54 / 190
新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌
秩序で守られる肯定された殺戮 3
しおりを挟む
食後。
「ところで」
「何?」
カレンは口についた肉油をナフキンで綺麗に拭き取ってこちらに返答する。
「そもそも被害があるノスタルジア領って地理的にどこなんだ?」
そう。連絡が入ってから一週間、なぜすぐに出陣しなかったのかが疑問なのだ。空白の一週間、その間に村レベルならすぐに荒廃するだろう。盗賊は生産性に欠ける反面、略奪に長けている。
普通のリーダーなら、ただ暴れまくって略奪するだけ、またはゲリラ戦術を駆使して、疲弊させてから狙うといった行動を平然とやってのける。俺としては村の人たちには可哀想だが、後者であってくれると助かる。基本的に一気に略奪する盗賊団は最後に火をつける。理由は不明だが、多分火災を利用して領主の軍勢を撹乱し、逃亡するからだろう。
だが、後者の場合、村を焼くことがまずない。なぜかと言うと繰り返し略奪する為に、あえて一度奪うと、いったん村から出ていくからだ。周期的に繰り返すタイプの連中なら、一見それは物資の供給がしやすいと思えるだろう。定期的にいくつかの村を回るからだ。
だがその分痕跡が残るし、逃亡成功率が下がる事を意味する。
以前盗賊団の傘下らしいグループが死んだことで、ようやくボスの指導のもと、活発に動き出したわけだが、逆に言うとそのボスのタイプが不明な以上、現状把握から推測するしかない。
今の所、カレンは村を燃やされたとは言っていなかった。となると、まだ後者の確率が高い。なら後は帝都からの距離を算出すれば、ある程度は見えてくるはずだ。恐らく村を燃やさず周期的に略奪するタイプなら、領主の行動、帰る季節をある程度知っている。なら不確定要素の俺が、カレンには悪いがいったん独断行動をして、混乱して残ったそいつらを、貴族連合に殲滅させればいい。
さて、被害にあった領地はいかほどに。
「ここから強行軍で二日ほどの所ね。残念ながら配下を駐屯させてないから、私たちが早馬で行かないといけない。でもまだ村は焼かれてないし、賊たちが奪っていったものを取り返すチャンスはあると思うわ。焼かない所を見ると、これからまた奪いに来るわね」
冷静に、淡々と話すカレン。どうやら俺と同じ考えのようだ。
「本当は私だってすぐに出立したかったんだけど、地位が高いとそうもいかないのよ」
と、そこで区切る。今日のカレンはいつもより疲れていそうな感じがする。気苦労が絶えないようだ。
「とにかくもう食べたんだし、行きましょ」
会計を済ませ、すぐに集合場所に移動する。
すると、一目でわかるくらいの貴族服を着た男と甲冑で身を覆った十人ほどの騎士が騎乗したまま止まっていた。
「ところで」
「何?」
カレンは口についた肉油をナフキンで綺麗に拭き取ってこちらに返答する。
「そもそも被害があるノスタルジア領って地理的にどこなんだ?」
そう。連絡が入ってから一週間、なぜすぐに出陣しなかったのかが疑問なのだ。空白の一週間、その間に村レベルならすぐに荒廃するだろう。盗賊は生産性に欠ける反面、略奪に長けている。
普通のリーダーなら、ただ暴れまくって略奪するだけ、またはゲリラ戦術を駆使して、疲弊させてから狙うといった行動を平然とやってのける。俺としては村の人たちには可哀想だが、後者であってくれると助かる。基本的に一気に略奪する盗賊団は最後に火をつける。理由は不明だが、多分火災を利用して領主の軍勢を撹乱し、逃亡するからだろう。
だが、後者の場合、村を焼くことがまずない。なぜかと言うと繰り返し略奪する為に、あえて一度奪うと、いったん村から出ていくからだ。周期的に繰り返すタイプの連中なら、一見それは物資の供給がしやすいと思えるだろう。定期的にいくつかの村を回るからだ。
だがその分痕跡が残るし、逃亡成功率が下がる事を意味する。
以前盗賊団の傘下らしいグループが死んだことで、ようやくボスの指導のもと、活発に動き出したわけだが、逆に言うとそのボスのタイプが不明な以上、現状把握から推測するしかない。
今の所、カレンは村を燃やされたとは言っていなかった。となると、まだ後者の確率が高い。なら後は帝都からの距離を算出すれば、ある程度は見えてくるはずだ。恐らく村を燃やさず周期的に略奪するタイプなら、領主の行動、帰る季節をある程度知っている。なら不確定要素の俺が、カレンには悪いがいったん独断行動をして、混乱して残ったそいつらを、貴族連合に殲滅させればいい。
さて、被害にあった領地はいかほどに。
「ここから強行軍で二日ほどの所ね。残念ながら配下を駐屯させてないから、私たちが早馬で行かないといけない。でもまだ村は焼かれてないし、賊たちが奪っていったものを取り返すチャンスはあると思うわ。焼かない所を見ると、これからまた奪いに来るわね」
冷静に、淡々と話すカレン。どうやら俺と同じ考えのようだ。
「本当は私だってすぐに出立したかったんだけど、地位が高いとそうもいかないのよ」
と、そこで区切る。今日のカレンはいつもより疲れていそうな感じがする。気苦労が絶えないようだ。
「とにかくもう食べたんだし、行きましょ」
会計を済ませ、すぐに集合場所に移動する。
すると、一目でわかるくらいの貴族服を着た男と甲冑で身を覆った十人ほどの騎士が騎乗したまま止まっていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる